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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾陸章 急転直下
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拾陸之参拾陸 水のエネルギー

 右手に走った冷たい氷水に突っ込んだような感触に、私は思わず声を上げそうになってしまった。

 けど、一生懸命エネルギーを送ってくれている舞花ちゃんを驚かしちゃだめだという意識がすぐに湧いてきて、どうにか口を結んで無理矢理声を押し殺す事に成功する。

 そのまま数秒間堪えていると、冷水の感触に慣れてきて、多少思考を巡らせられるようになってきた。

 思考が回り始めたところで、私は最初に報告をしなければと考え「今右手に、水に手を入れた時のような感触がしています」と伝える。

「マイのエネルギーだからかしら?」

 呟く結花ちゃんに、私は「そうだと思います」と返した。

「な、何かが入ってくる感じはありますか!」

 急に花ちゃんがそう尋ねてきたことで、エネルギーの受け渡しが本題だったことを思い出す。

「ちょっと待ってください。もう少し意識を集中してみます」

 花ちゃんにそう断わりを入れてから、より意識をエネルギーの方に向くように集中してみた。

 すると、右手に集まっている冷水のような感触は、私の体の上を伝うようにして、舞花ちゃんのいる方向から流れてきて、手の周りでその密度を上げることで強くなっているらしいことが感じ取れる。

 更に集まってきた水のような気配は手の甲から、私の中へ入り込んでいるようだ。

「多分、舞花ちゃんが送ってくれたエネルギーだと思うんですけど、それが右手の甲から私の中に入り込んでいる感覚があります。ただ、何かが足りないのか掌から出せるという感覚が無いです」

 自分の感覚を元にした報告に対して、志緒ちゃんが「具現化までは出来てないけど、エネルギーの受け渡しは出来ているみたいだね」と言う。

 私が「そうだと思います」と同意すると、結花ちゃんが「マイ、ユイと交代して」と舞花ちゃんに声を掛けた。

 対して舞花ちゃんは結花ちゃんに一度「うん」と返事をしてから「リンちゃん、一端辞めるね」と言う。

「わかりました」

 私がそう返すと舞花ちゃんから流れてきたエネルギーの流れが途絶えたのがわかった。

「あ、エネルギーが流れてこなくなりました」

 そう報告してから、今度は意識を右手に向けて見る。

「手の中に、水の気配というか、エネルギーが溜まっているのを感じます」

 報告し終えてから私は目を開いた。

 具現化の時はそれが切っ掛けで能力自体が解除され、エネルギーが霧散してしまっていたけど、今は手の中にある水の気配は消えていない。

「舞花ちゃんから受け取ったエネルギーは私の中に留まっているみたいです」

 私の報告に対して、真っ先に反応したのは、舞花ちゃんではなく結花ちゃんだった。

「じゃあ、私のエネルギーも受け取ってみて!」

「う、うん」

 勢いに負けて頷いてしまったけど、花ちゃんが「ちょっと待ってください」と割って入ってくる。

「何、花ちゃん?」

 やる気満々だったのを止められた結花ちゃんは、少し不機嫌そうにそう尋ねた。

 対して花ちゃんは「恐らくですけど、マイちゃんのエネルギーが水属性だとして、多分、ユイちゃんは火属性ですよね? だとすると違う属性のエネルギーを送り込んで、リンちゃんは大丈夫かが気になります」と止めた理由を語る。

 結花ちゃんはハッとした表情を見せてから「確かに、それはそうね」と呟いた。

 その後で少し考えてから、結花ちゃんは「じゃあ、リンちゃんの中からマイのエネルギーを取り出さないとダメかしら?」と言いながら私を見る。

 私としては試してみないとわからない以外の答えがなかったのだけど、それを口にする前に志緒ちゃんが「花ちゃんの心配はわかるけど、大丈夫じゃないかな」と言い切った。

 自らの発言で皆の視線が自分に集まったタイミング、志緒ちゃんは自分の見解を口にする。

「私たちの神格姿の能力の分類、分析に五行の考えがあるでしょ? その五行の考えでは『水剋火(すいこくか)』と言って、水の力の方が火の力より強いとされているの。だから、水のエネルギーを持っているリンちゃんに、ユイちゃんが火のエネルギーを少しずつ送り込むのなら、問題は起きないと思う」

 志緒ちゃんの話を聞き終えた私は「もし、何か危険を感じたらストップを掛けるので、難しいかもしれないけど、少しずつエネルギーを送り込んで貰って良いかな、結花ちゃん」と視線を向けた。

 結花ちゃんは何かを確認するように、舞花ちゃんを見る。

 舞花ちゃんは笑みを浮かべて結花ちゃんの視線を受け止めてから「お姉ちゃんなら出来るよ」と言い切った。

 苦笑気味の表情で一度溜め息を吐き出してから、結花ちゃんは「そんなきっぱり言い切られたら、ユイの選択肢は成功しか無くなっちゃうでしょ! 意地悪な妹ね」と言う。

 その後で、はっきりと気合が入ったとわかるる良い表情を浮かべた結花ちゃんは「ユイの実力見せてあげるわ!」と断言して舞花ちゃんの座っていた椅子に交代で座った。

 自然と視線が交わったタイミングで、結花ちゃんは私に「おかしいと思ったらすぐに言って、いつでも止められるように集中しておくから」と真剣な表情で言ってくれる。

 私は結花ちゃんに「信じてます」とだけ返して、目を閉じた。

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