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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾伍章 受容真意
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拾伍之肆拾 直前

「それじゃあ、変身します」

 私はそう宣言すると、目を閉じて気持ちを整えた。

 リンリン様の尻尾には封印のブレスレットが嵌まっているので、頭からは降りて貰っている。

 元々は、今の人間の姿の方が、尻尾や耳を変えた変身した後の姿なので、おかしな事になっているなと、集中しながら気になった。

 ムクムクとお尻から尻尾が生え、耳が顔の輪郭に沿って動いていく感覚がある。

 問題なく変身が進んでいるのを感じていると、不意に一つ疑問が頭に浮かんだ。

 思わず「あれ……?」と口にしてしまった直後、月子先生から「その件には仮説があるから、今は変身に集中したまえ」という声が掛かる。

 タブレットの動画経由で私の思考を見ているのであろう月子先生には、私の疑問もバッチリ伝わっていたようだ。

 意識が向く前に引き戻された形になった私は「あ、はい」と返して、変身の方に集中し直す。

 月子先生に仮説があると聞いたことで、今は考えなくても良いのだと思えたのが大きかったのか、変身はより速度を早めあっという間に終わりを迎えることが出来た。


「封印のブレスレットを付けているのに、何故、人間姿ヘの変身が解除されないかについてだが……」

 変身が終わるとすぐに、月子先生は私の疑問について話し始めた。

「単純に、継続的に使用されている術ではなく、変身終了の時点で術が完結しているからではないかと思う」

 月子先生の考えは、なんとなく言いたいことはわかるものの、頷ける程ではなく、上手く反応を返せない。

 そんな私に「例えば、これまで君の出現させたゲーム筐体やレコーダなどのガジェットは、具現化時点で君の手を離れる。一方で狐火や稲妻は出現している限り、君はエネルギーの消費をしなければならない」と具体例を示してくれた。

 私はその話を聞きながらまとめた内容を口にしてみる。

「えっと……つまり私の変身は、変身中、継続的にエネルギーを送り込むものではなく、変身が終わった時点でエネルギーの供給が不要になる術って事ですか?」

「そうだとすれば、封印のブレスレットを付けても、術が中断して変身が解除されることがない説明が付くだろう?」

 頷きながら言う月子先生の言葉に、私は「確かに」と納得した。

 月子先生は「つまり、君の変身は一時的なものではなく、そのものに変わっている……だから、体積がそもそも違う元の君には戻れないんじゃないかと思うね」と言い加える。

 その考察はなんだか頷きたくないと思うような内容だったが、納得は出来てしまった。

「ちなみに、私の変身はそう見えるようにイメージを私の姿の上に重ねているようなものだから、君のモノとは根本的に違うということだね」

「……なるほど」

 月子先生の言葉に頷きながら、変身と一口に言っても、形式が違う事もあるのだと、今更だけど、気が付く。

 そうして、何故だか、ふと、那美ちゃんの思考を読み取る能力と、私のコンタクトの応用で生まれたシステムも違うのかも知れないなと思った。


「リンリン様、ドローンの準備は良いですか?」

 私が声を掛けると、リンリン様は『特に異常はなさそうじゃ』と返ってきた。

 直後、月子先生が「あー、凛花さん」と声を掛けてくる。

「なんですか?」

 月子先生に振り返りながらそう尋ねると「変身の間も君を撮影していたから大丈夫だと思うが、一応姿が変わってるからね。全力を出す前に、軽めに動いてドローンが、君を撮影対象と認識してるかを、一応確かめてくれ」という言葉が返ってきた。

「確かに、変わりましたもんね」

 頭の上に上がった耳に触れながら頷くと、リンリン様に改めて「というわけで、軽く歩いてみる」と伝える。

『うむ。了解なのじゃ』

 リンリン様の返しを聞いた後で、私はドローンを見ながら軽く歩き出した。

 最初こそ気付いてなかったが、何度か実験と検証を繰り返した事で、ドローン本体の動きに加えて、カメラ自体も動く事で、私を撮影している。

 特に力も込めず普通に歩くだけなので、ドローンはカメラ位置を固定したままで、一定の距離を保って私に付いてきた。

「大丈夫そうですね」

 私に合わせて動くのが確認出来たのを確認する言葉に、月子先生とリンリン様がほぼ同時に返事をする。

「了解した」

『了解なのじゃ!』

 あまりにも綺麗に声が重なったので、一瞬噴き出しそうになったモノの、どうにか堪えてから、軽く咳払いをして「それじゃあ、本番で、いいかな?」と二人に問い掛けた。

 今度は先に月子先生が「どうぞ」と頷いた後で、リンリン様が『準備は出来ているのじゃ』と頷く。

 私の考えていることは筒抜けなので、その情報を共有しているであろうリンリン様が一歩反応を遅らせたのかもしれないと思ったが、そこに触れても仕方ないかなと思い、踏み込むのは辞めた。

 代わりに目を閉じて、深く深呼吸をする。

 体の感覚を確認するように、右手、左手と順番に握り込んでいった。

 続いて、床を踏み抜くイメージを浮かべつつ左足、右足と力を込めていく。

 意識に呼応して力強い感触が返ってくるだけでなく、具現化の時のように、エネルギーが体の中を通るような感覚がしていることに、私は気が付いた。

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