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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾肆章 天姿無縫
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拾肆之弐拾壱 計測へ

 告げ口をしないと約束したからか、花ちゃんは協力的だった。

「それじゃあ、私の聞き方が可愛すぎて、舞花お姉ちゃんがフリーズしたって言うんですか?」

「その通です!」

 すぐ返事がくるのは不安を感じなくてとてもいいと思うんだけど、花ちゃんがなんだかもの凄くへりくだっているように見えるのが気になって仕方ない。

「とりあえず、普通にして貰っても良いですか、花ちゃん」

 あからさまに不満そうな表情を見せる花ちゃんに、溜め息をついてから「花お姉ちゃん」と言い直すと途端にニコニコになった。

 操りやすいけど、それで良いのかとつい心の中でツッコんでしまう。

 少し呆れた気持ちで視線を向けると、花ちゃんは「着替える時に外しましたね?」と机に置いてある赤い数珠を指さした。

 それは雪子学校長に、能力を抑えるために借りている『火行』の力が込められた呪具で、私の能力を抑える効果がある。

 数珠の効果で抑えられているのは『魅了』だ。

 その事を思いだした私に対して、花ちゃんが言葉を重ねる。

「舞花さんにとって、悪阻無くなった凛花ちゃんは完全に自分より年下の護るべき存在だと映ったはず……だから、より強く欲庇護欲を刺激された可能性があります」

 花ちゃんにそう言われて、私はなるほどと思った。

 最初こそ大袈裟だと思ったものの、いくつもの事柄が重なったことで、舞花ちゃんが固まってしまった理由も納得出来る。

 少なくとも『可愛すぎた』という曖昧な表現よりはしっくりときた。


「じゃあ、リンちゃん、変身を解除して貰える?」

 志緒ちゃんの指示に私は頷いた。

 今、私は制服から変身した魔女服を全て脱いで、志緒ちゃんが作ったというワンピースを着ている。

 つまり、脱いだ状態で、私が変身解除を宣言したら魔女服はどうなるのかという検証だ。

「ステラ、シャー君、大丈夫?」

 私を挟むように前後に位置する二匹に、順番に視線を向けて、それぞれが頷くのを確認する。

「リンリン様も、いいですか?」

『うむ。任せるがよいのじゃ!』

 大きく頷くリンリン様は、机の上に立ち、目の前に折りたたまれた私の着ていた魔女服を記録するのが担当だ。

 録画係の三者が準備出来たのを確認した私は「ステラ、合図をお願い」と伝える。

 ステラは返事の代わりに『リンちゃん、ミルキィ・チェンジを解除して!』と変身解除用のセリフを口にした。

 ここで私の体が一瞬光に包まれる。

 が、ほんの一瞬で私の体には大きな変化はなさそうだ。

 一方、リンリン様が陣取っている魔女服の方は、全体が光に包まれ、状況が見て取れない。

 しばらく待っていると光は徐々に収まり、魔女服は制服へと姿を変えていた。

 ついでに、机に載せられていた私が脱いだセレニィ仕様のブーツも、上履きに戻っている。

「変身解除すれば、服を脱いでいても反映されるんだね」

 私が頷きながらそう言うと、花ちゃんが「えーと、リンちゃん」となんだか言い難そうに声を掛けてきた。

「どうしたの?」

 私がそう尋ねると、花ちゃんは返事をする代わりに、黙って鏡を私に向けてくる。

 それだけで、おおよその予測は付いたので、カルキ溜め息を吐き出しつつ鏡をのぞき込むと、そこには水色のエプロンドレスに身を包んだ銀髪のままの私が映り込んでいた。

「髪の色は銀色のままですね」

 予測していたのもあって、思いの外あっさりと受け入れた私に、花ちゃんは「あれ、驚いてない?」と目を丸くする。

「花ちゃ……花お姉ちゃんが鏡を見せてきた時に予測はしていたので」

 そう理由を説明すると、花ちゃんは上機嫌で「なるほどね」と頷いた。


「リンちゃんの髪の色が銀色のままなのって、リンちゃんの髪の色が変わるのは、制服から魔女服の変身とは違う仕組みで起こったと考えた方が居行って事だよね?」

 志緒ちゃんの問いに、私は「多分そうだと思います」と頷いた。

 体が小さくなったの同じく、髪の色が変わったのは、私自身の変身能力に由来しているんだと思う。

 具現化した制服に付与された能力では無く、その機能が送り込んできた髪の色が変わるとイメージに、私の変身能力が呼応したのだ。

 あるいは、これ以上の体の変化を現状でするのが危険と考えている私が、無意識下で変化を却下したのかもしれない。

 いずれにせよ、体は一瞬光に包まれただけで、変身はしなかったので、後ほど改めて変身については検証することになりそうだ。


「リンちゃん、とりあえず、サイズを確認して貰っても良い?」

「わかりました」

 志緒ちゃんから渡された計測用のメジャーを手に頷くと、早速リンリン様の前に置かれた制服一式に近づいた。

 見た目は着る前と同じように制服一式……ブレザー、ブラウス、ソックス、リボン、靴下に変化している。

 これから制服の各所のサイズを測るわけだけど、何故そんなことをするのかと言えば、魔女服の状態では、私以外の人が触れても変化が起きなかった……具体的には私の手が離れて、志緒ちゃんが触れてもサイズ変化が起こらなかったのだ。

 私が身に付けている状態でブーツ以外はサイズが変わったので、魔女服の状態でもアジャスター機能は働くはずなのに、実際には働いていない。

 この理由を突き詰めるために、現状をより細かく把握することになったのだ。

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