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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾参章 試行錯誤
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拾参之伍拾壱 着せ替え完了

「しまった」

 志緒ちゃんが眉を寄せてそう呟いたので、私は今一度首を傾げた。

『しまったって、どうかしました?』

 私の問い掛けに対して、志緒ちゃんは「リンちゃんが恥ずかしがって可愛い反応をしてくれるかなと思ったら、予想に反して、感謝されちゃったのよね」と言い放つ。

『そんな、花ちゃんみたいな事を……』

 思わず口にした感想に、舞花ちゃんが「舞花も、しーちゃんは花ちゃんに似てるなって思う時があるよ」と深く頷いた。

 対して志緒ちゃんは「それは、嬉しいような、踏み止まった方が良いような、悩ましいところだわ」と呟く。

 私はそこに敢えて口を挟まずに、スカートのホックを留めてブレザーを羽織ってから、リボンについているゴムを襟の裏に通して留め具を留め、ブレザーのボタンを留めてから、リボンの位置を少し調整してみた。

 鏡がないので、細かいところはどうしようかと考えて、自分の本体で見おる方法を歩も居着いたんだけど、それを行動に移すよりも先に舞花ちゃんが声を掛けてくる。

「リンちゃん、直したげる~」

 年齢的にも立場的にもやって貰う側になりやすい舞花ちゃんだけに、やってあげられる機会というのは少ないはずだ。

 だからこそウキウキしているし、目を輝かせているのだと思う。

 全部自分でやってしまうという気持ちもあったけど、舞花ちゃんの気持ちを裏切るってまで我を通すところでもないので『じゃあ、お願いします。舞花ちゃん』と軽く頭を下げてから、手を横に伸ばして気をつけの姿勢を取った。

「うん! 任せて!」

 早速、舞花ちゃんの手が伸びてきて、私の制服の微調整が始まる。

 顔を近づけたり遠ざけたししながら微調整するまいかちゃんは、実にお姉さんしているなと思っ手、微笑ましくなった。


「それじゃあ、変身してみようか?」

 舞花ちゃんのチェックが終わったところで、全身から好奇心を滲ませた志緒ちゃんが興奮気味に話しかけてきた。

 志緒ちゃんの人形が着ていた制服を着たのも、他の人の制服に紐付けられた魔女服に変身することが出来るか確かめるためでもある。

 これが無事成功すれば、制服を交換してしまえば他の魔女にも変人出来るって事だし、出来ないなら人形毎に変身出来る魔女服が決まって締まっているということになる筈だ。

 というわけで、私としても実験は望むところなんだけど、志緒ちゃんのワクワクっぷりがスゴイ。

 もっとも、志緒ちゃんだけじゃなくて、舞花ちゃんも楽しみなようで、ステラに「それじゃあ、お願いね」と念入りにお願いをしていた。

 やる気満々な二人に、私は『私は、いつでも良いですよ』と伝える。

 すると、こちらを見た舞花ちゃんが「あっ!」と声を漏らした。

『どうしました!』

 私が驚きつつ聞くと、舞花ちゃんは志緒ちゃんに顔を向けて「髪、大丈夫かな、しーちゃん?」と尋ねる。

『髪……』

 そう繰り返した私の頭に、そう言えば志緒ちゃんも、彼女が演じる予定の上地秋穂も三つ編みがトレードマークだったのを思い出した。

 なので早速質問してみる。

「もしかして、三つ編みにした方が良いですか?」

 やったことはないけど、出来なくはないと思うので、そう尋ねてみた。

 私と舞花ちゃんの視線を向けられることになった志緒ちゃんは腕組みをして「うーん」と唸る。

 それから志緒ちゃんは「リンちゃん。失敗しちゃうかもしれないけど、髪を結ばない場合どうなるか試しても良いかな?」と私に首を傾げながら尋ねてきた。

 ここで、純粋に疑問に思ったことを聞いてみる。

『やっぱり、髪を結ばないと失敗するのかな?』

「大丈夫だとは思うんだけど、アースリィの変身って、三つ編みが弾けてウェーブの掛かった髪に変わる演出があるから、そこに影響が出るかなとも思うんだよね」

 そう言いながら志緒ちゃんは視線を舞花ちゃんに向けた。

 舞花ちゃんは頷きつつ「舞花もそこが気になってたんだよ」と言う。

『なるほど……で、試してみようってことですね』

 私が確認のためにそう返すと、志緒ちゃんは「負担になったらごめんね」と手を合わせた。

 舞花ちゃんも志緒ちゃんの発言を聞いたからか、少し困り顔になってしまう。

 私はなるべく明るい声で『大丈夫だと思います』と宣言した。

 その後で『具現化やアップデートと違って、ステラに声を掛けて貰って変身出来るか試すだけなので、私自身には負荷は掛からないと思うので』と理由を付け足す。

 その説明で納得してくれたのか、舞花ちゃんは「でも、無理はしないでね」と両手の拳を握って後押しをしてくれた。

 志緒ちゃんも「おかしかったら、変身を中止してね」と声を掛けてくれる。

 けど、変身の中止なんてどうすればいいのかわからないので、私は素直に「変身の中止の仕方ってどうするんですか?」と尋ねた。

 すると、舞花ちゃん敏夫ちゃんは顔を合わせてから「「あ~」」と声を重ねる。

 どうやら二人には共通の認識があったらしく、二人は目で会話をした後で、舞花ちゃんが代表して説明をしてくれることになった。

「えっと、魔女の正体がばれちゃいそうになるお話があってね……」

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