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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾参章 試行錯誤
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拾参之肆拾肆 推測と答え

「まだそんなに、ミルキィ・ウィッチがわかってない私が判定するのもどうかとは思いますが……」

 私はそう前置きをしてから「アニメに似ているなって思いました」と感じたままを伝えた。

「しーちゃん、やったね!」

 嬉しそうに寸劇の相方でもあった志緒ちゃんに、舞花ちゃんは笑いかける。

「やったわね」

 志緒ちゃんは頷きで応えた後で「でも」と続けた。

 当然、私も舞花ちゃんも視線を向ける。

「一番詳しい私たちが、上手いのは当たり前だから、自分がうまく出来るようになるだけじゃなくて、皆にも伝えたり教えたり出来るように頑張らないとね!」

「そうだね、舞花頑張るよ!」

 二人で頷き合う姿を見ながら、そう言えば、課外授業の一環で劇もやるんだったと思い出した。


「それで、変身アシストって……なんですか?」

 おおよその予想は付いているけども、確認しないうちは私の勝手な想像でしかないので、一応確認をしてみることにした。

 すると、志緒ちゃんが「ふふーーん」と誇らしげな顔をして胸を逸らす。

「劇中の変身バンクの動きを再現するための機能を付けたのよ」

 股買ったにそんなことをと思わなくないけども、その勝手が技術の進化に大いに貢献してもいるので、そこは飲み込むことにした。

 代わりに、思い浮かんだ内容が正しいか同格を確認することにする。

「えーと、つまり、体をアニメと同じように動かす機能ってことですか?」

「そう! そういうこと!」

 私の回答に対して満面の笑みで頷く志緒ちゃんに、更に質問を投げてみた。

「それってそれぞれの人形にインストールしたんですか?」

 志緒ちゃんは私の問いを聞くなり、ニッと笑みを深めて「ちっちっちっ」と右手の人差し指を振って、違うことをアピールし始める。

 実に楽しそうなので、どうやら志緒ちゃんの興が乗るような質問が出来た様だと、内心で安心しつつ「人形以外にインストールしたんですか?」と話の続きを促した。

 私の質問に満足そうに目を輝かせた志緒ちゃんは「そういうことです!」と大きく頷く。

 立て続けに正解を踏めたことで、志緒ちゃんのテンションはかなり上がっていた。

 これならよっぽど酷いことでも言わない限り、場の空気を壊すことはないだろうと少し軽くなった気持ちで「答えを教えて貰っても良いですか?」と聞いてみる。

 あまり考えずに質問したことを怒るだろうかと少し警戒していたけど、実際はそんなことは無かった。

「リンちゃん、聞きたいんですねぇ」

 怒らない代わりに、にまぁと笑いながら顔を近づけてくる。

 これはこれでちょっと気持ちが引き気味になってしまったけど、私の気持ちの問題なので、心を無にして乗り越えた。

 その上で「お願いします、志緒先生」と、再びの『先生』呼びで頼んでみる。

 すると、志緒ちゃんは「仕方ないですねぇ」と口元のニヤニヤさせつつも頷いてくれた。

「人形に動きをインストールする。ある意味でロボットにプログラムをインストールする感じで簡単にできそうだなって思ったんですよ」

 志緒ちゃんはそこで溜めを作ってから「そ・こ・で」と満を持して語り出す。

「服の方に体の動きをアシストする機能を付けたのです!」

「服に!」

 驚きの一言だけど、どちらかというと『そうか!』という思いが強かった。

 確かに人形自体に動きをインストールしていないなら、他に代用になるものといえば、服というのは当然と言えば当然だと、答えを聞いた後なら納得出来る。

 そんな私の目の前で、舞花ちゃんの人形が『そっか、制服とか魔女ドレスの方が動いてたから、なんか不思議な感じだったんだ!』と手を叩き合わせた。

「舞花ちゃんがどんな風に感じたかも気になるけど、何で制服にアシスト機能を入れたの?」

 アシスト機能のインストール先には納得出来たものの、それを選んだ理由までは飲み込めていなかったので、ストレートに聞いてみることにしたんだけど、考えることを放棄した私と違って、舞花ちゃんは理由に気が付いていたらしい。

「服を具現化したら、舞花たち()()()変身出来るからじゃない?」

「あ、なるほど」

 舞花ちゃんの発言で、私の頭の中の疑問の点が繋がり、一つの計画の輪郭を描き出す。

「私たちが変身する場合、人形に動きをインストールする形だと応用出来ないけど、動きを足捨てする洋服なら、具現化出来るってことですか!?」

 閃いたことが嬉し買った私は、気付けば、志緒ちゃんにそんな質問を投げ掛けていた。

 志緒ちゃんはうんうんとゆったりと頷きつつ「その通り」と両手で丸を作る。

 その後で「でぇもぉ」とくちにして、志緒ちゃんは先ほどと同じように右手の人差し指を左右に振って見せた。

「もしかして、それだけじゃないんですか?」

 まんまと言わされているんだろうなというのは自覚しつつも、ここで聞かない手はないので、素直に尋ねてみると、志緒ちゃんは「その通り」と笑みを深める。

「変身機能、つまり、それぞれの制服からそれぞれの魔女服に変化する機能を付けたんだけど、それって、どういうことが出来ると思う?」

 自信満々な笑みで尋ねてきた志緒ちゃんに、何かに気が付いた舞花ちゃんの人形が『あーーーっ!』と声を上げた。

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