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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾参章 試行錯誤
487/814

拾参之肆拾弐 完成

 エネルギーの移動を初めて見ると、事前の予測よりも体に掛かる負荷は少なく、痛みも弱かった。

 コンタクトレンズの時に、一度エネルギーを通したことで、経路が拡張され、通りが良くなったのかもしれない。

 実際、エネルギーの流れは順調で、コンタクトレンズの時に感じた内側から無理矢理引き延ばされるような痛みは、まったくといって良い程なかった。

 懸念していた痛みがなかったことで、意識はこれ程のエネルギー量を必要とした志緒ちゃんのイメージに移る。

 既に一体の人形を二体に増やした上で、自分の人形にアレンジをするという想定外のイメージを送ってきた志緒ちゃんだけに、どんな事を考えついたのか予測が付かなかった。

 少なくとも、舞花ちゃんのリクエストである魔女姿ヘの変身能力や鉄壁スカートとかは含まれているだろうけど、それだけでこれ程のエネルギーが必要とは思えない。

 とはいえ、ヒントがほとんどない状況なので予測は立てられそうにないなとK見切りを付けた私は、大人しくエネルギーの移動に集中することにした。


 体を抜け掌から放たれたエネルギーは、舞花ちゃんの人形が着る制服へと注ぎ込まれていった。

 圧縮とか凝縮とかされているのか、服の形を崩すことなくエネルギーは吸い込まれていて、形状が変化する気配はない。

 変化している点を無理矢理挙げれば、心なしか輝度が上がっているような気がしなくもないといった感じで、明確なものは無かった。

 改めてイメージをのぞき見れるようになら無いといけないなと決意をしたところでエネルギーの流入が終わる。

「エネルギーの送り込みが終わったので、アップデートを開始しますね」

 進行状況は私にしかわからないので、報告を挙げると、志緒ちゃんと舞花ちゃん、そしてヴァイア達から了解の声が返ってきた。

「じゃあ、始めます」

 自分自身の気持ちを切り替える意味でも、アップデート開始の宣言をする。

 直後、わかりやすい形で、舞花ちゃんの人形が身につけている制服から色が飛び、線が消え、辛うじてシルエットがわかる白一色の衣装に替わると同時に、眩しいくらいに輝きだした。

 調節見ているわけではなく、頭に浮かんだイメージで見ていると言うよりは、感じ取っているだけなので、どれほど眩しいと感じても目がくらむとか見えなくなることはない。

 意識をすると白の中に黒い輪郭線を浮かび上がらせることが出来たので、服や体のラインの変化を見失うということはなさそうだ。

 そう思った直後、白が強まり、服から二つの塊が飛び出る。

 私はその変化に慌てて、カメラをズームアウト挿せるイメージでより口角になるように意識をした。

 イメージは即座に私の意識の影響を受けて、ギュッと舞花ちゃんの人形が小さくなる。

 黒い空間の中央に、舞花ちゃんの人形が小さく存在しているだけのイメージになったが、服から飛び出した二つの光の球の幾重を見失わないという目的は達せられた。

 まったく別の軌道を描いた二つの光球は、それぞれ何かに触れたのか、空中で急停止する。

 そのまま球体から形を変え始めた。

 ややあって、それが服の形になっていることに気が付いた私は、そのサイズから光が宿ったのが私と志緒ちゃんの制服ではないかと気付く。

 私が具体的な状況を意識したからか、服の形になった光を纏うように、私と志緒ちゃんの人形の輪郭がはっきりと浮かび上がり始めた。

 そこまで来て、志緒ちゃんが込めたイメージが、三体同時のアップデートなのだと確信する。

 魔女服への変身機能自体がそれなりにエネルギーを必要とする上に三体同時となれば、必要なエネルギーが大きくなるのは頷けるところだ。

 もちろんそれ以上のことを仕込まれている可能性もあるが、そこは状況を見守ることで気付くかもしれないと考えて、状況の変化に集中する。

 すると、私の人形の着ていた制服が大きく変化していることに気が付いた。

 アップデート前は緋馬織小学校の制服姿だったのが、そのシルエットがミルキィ・ウィッチの劇中に出ている制服に変化している。

 舞花ちゃんの人形の制服と同じように、色を失って白一色に輪郭の黒だけの状態なので、断言は出来ないけども、大きく間違ってはいないはずだ。

 志緒ちゃんの人形の方も服が白く輝いていて、その輪郭が黒で縁取りされている。

 三体を比較することで、制服がミルキィ・ウィッチのものに統一されたことを、より強く確信出来た。

 このまま光が散って制服が色を取り戻すのだろうと思っていたのだけど、私の人形だけ変化が止まらない。

 何故だろうと思い頭の中で私の人形をズームすると制服の輝きが私だけ足に向かって伸びていくのが見えた。

 ややあって足を覆い尽くした光は、膝上とスカートの間で切り離される。

 そこで制服から光が散り始めた。

 舞花ちゃんや志緒ちゃんの人形が着ているのと同じ空色のブレザーに赤のチェックのスカートに黄色のリボンを付けた私の人形が姿を現わす。

 普通のソックスの舞花ちゃん、タイツの志緒ちゃんと違って、私の人形は膝上のニーハイソックスをはいていた。

 それを見て、そういえば私の担当というか、配役された『月元蓮花』はニーハイソックスだったのと思い出す。

 志緒ちゃんがイメージを担当しているので、当然のこだわりだなと、もの凄く納得出来た。

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