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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾参章 試行錯誤
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拾参之参拾 拡張

「リンちゃん、すごいね」

 どこか驚いた様子で志緒先生はそう呟いた。

「何がですか?」

 驚かれている理由がいまいちよくわからずそう返すと、志緒先生は「漠然とサイズを大きくするわけじゃなくて、きっちり1/10から1/8にサイズを変更してくるなんて、正直驚いた」と言う。

 ここで話の流れに乗って、当然というのは簡単だけど、変に見えを張ると、後々、悪い方向に転がりそうな気がしたので、正直に答えることにした。

「私としては、具体的な数字はイメージしていませんでした……なので、事前に志緒先生が言っていた言葉が反映されたんじゃないかって思います」

 そう……私は具体的な数字を思い浮かべていなかったのは間違いないのだけど、その一方で、説明の過程で、具体的な数字を志緒先生が挙げていて、その影響を受けたのではないかと思う。

 対して、志緒先生は「でも、1/8はいっていなかったんじゃ無いかな?」と口に拳を当てて呟いた。

『そうですシャー。オイラの記録では、ご主人様は『1/8』を挙げていなかったシャー』

 ヴァイア……機械であるシャー君の発言で、志緒先生が言っていないことは確定したと思う。

 その前提に立って考えた結果を口にすることにした。

「私は具体的な数字をイメージしていなかったですが、直前に、志緒先生がいくつか具体的な数字を聞いたことで、無意識に数字が頭に浮かんでいたんだと思います。それで、少し大きくって考えた結果が、1/8だったんじゃないかな……と」

 感じたままをそのまま言葉にしただけなので、説明になっていないような気もしたが、志緒先生や舞花ちゃんは真面目な顔で頷いてくれる。

 ただ、反応して話し出すことは誰にも出来なかったようで、皆が黙り込んでしまった。

 そんな中、リンリン様が静寂を裂く。

『要はあれじゃな。具現化のカラクリじゃ……想定しない箇所は、具現化の能力自体が、主様の()()()想像を補うわけじゃな! その際に、事前の会話が影響を及ぼしておるという事じゃな』

 リンリン様の言葉に、志緒先生を始めた皆が納得したように頷く中、私は気付くと、聞き捨てならない発言に噛み付いていた。

「ちょっと、リンリン様! 誰の想像が貧相なんですかっ!」

『主様じゃ』

 シレッと悪びれもなく言い放つリンリン様を捕まえるために、頭の上に両手を伸ばすが、直接見えないのもあって、サラリと近くの机の上に着地されてしまう。

『わらわと戯れたい気持ちがわかるがのぉ。今は大事な実験の最中じゃろ?』

 コテンと小首を傾げて、リンリン様は右の前足を私に向けながら、そう言い放った。

 確かに、私の感情にまかせて、実験を停滞させるわけにも行かないので、追撃は大人しく諦める。

 忸怩(じくじ)たる思いで引き下がることに決めた私だったが、舞花ちゃんの「リンちゃんとリンリン様は仲良しさんだね!」と言われてしまい、一気に心が折れた。


『ほほう。舞花もわらわに様を付けるようになったか、良きことじゃ!』

 もの凄く嬉しそうなリンリン様に、舞花ちゃんは「喜んで貰えて良かった……じゃなかった。良かったです、リンリン様!」とわざわざ言い直してまで合わせていた。

『うむうむ。()いヤツじゃ!』

 満足を示すように、リンリン様の大きな狐の尻尾がゆらゆらと左右に揺れる。

 まあ仲良くなる分には悪いことじゃないので、何も言うまいと思って視線を外した直後、リンリン様の飛んでも発言が飛んできた。

『なんじゃ? 主様。拗ねるな拗ねるな。わらわの一番は舞花には悪いが、主様に決まっておろう?』

「ちょっ!」

 思わず振り返った私の目に、ちょっとイラッとする目つきを向けるリンリン様の姿が入る。

 思わず文句を言おうと思ったのだが、同時に舞花ちゃんと志緒先生がなんとも言えない表情でこちらを見ていることに気が付いて、方針を改めた。

「そんな冗談を言っていないで、実験を始めましょう」

 自然と震える声をゆったりとした声でカバーして、リンク用のヘルメットをさっさと被ってしまう。

 今回は立ち会ってくれているのが、舞花ちゃんと志緒先生なので、何かあった時、私が倒れ込んで危なくならないように、教室の床に体育用のマットを敷いて、その上に座ることにしているので、さっさと腰を下ろした。

 そのまま、ヘルメットの電源を付けると、バイザー部分にシステム起動を示す文字が投影される。

 表示されたキャラクターは『卯木凛花(1/8)』の一体だけ、ふと、ヴァイアにもリンク出来るんだろうかと考えると、更にリンリン様、シャー君、ステラと選択肢が増えた。

「あ、志緒先生」

「え? あ、なに?」

 私が勝手にスタンバイしたのを見て、行動を開始してくれたので、志緒さんはこちらに意識が向いてなく、慌てた反応になってしまう。

 少し申し訳なく思いつつも、報告を挙げた方が良いかと思ったので「えっと、リンク先にヴァイアは選べないのかなと思ったら、候補に表示されるようになりました」と伝えた。

「え、ヴァイアが!」

 驚く志緒先生に頷きで応えつつ、浮かんでいた懸念を伝えておく。

「人形と違って、皆意識を持っているので、リンクでどんな影響が出るかわかりません。今回は試さない方が良いと思います」

 私の意見に志緒先生は「そうだね」と頷いて同意した。

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