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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾参章 試行錯誤
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拾参之弐拾肆 新体制

 新たな試みとして、模擬授業への挑戦が加わったものの、午後の授業の終了後、放課後の時間は昨日に引き続き、カードの量産と、疑似体験システムの構築に挑むこととなった。

 但し、昨日とはメンバーの入れ替わりが行われている。

 疑似体験システムチームから東雲先輩と那美ちゃんがカード量産組に移り、カード量産組からは志緒ちゃんと舞花ちゃんが合流することになった。

 舞花ちゃんと志緒ちゃんが、譲らなかったので、結花ちゃんが折れてくれた形である。

 なので、何かフォローしてあげたいなと思っていたのだけど、那美ちゃんに任せてと言われてしまった。

 たまにとんでもない発想をする那美ちゃんなので、まったく不安が無いかと言えば、微妙な部分がないとは言えない。

 でも、揶揄ったりふざけたりはしても、人を傷つける人ではないので、そこはちゃんとしてくれるはずだ。

 というか、被害妄想とか自意識過剰なのかもしれないけど、私だけが那美ちゃんのターゲットになっているような気がしなくもないので、結花ちゃんには矛先は向かないと思う。

 それは、やっぱり私が大人だからで、那美ちゃんにとっては多少気を抜ける相手になれているんじゃないかなと思えた。

 それはそれで、どこか誇らしいので、私としては那美ちゃんに何か言うつもりはない。

 とはいえ、那美ちゃんには考えが筒抜けなので、もう既に私の考えていることは知られてしまってるかもしれないが、考えたら負けな気がするので、それ以上考えるのは辞めた。


 今回のメンバー変更は、志緒ちゃんと舞花ちゃんの要望というが大きいが、私を除く五人の中で、アニメや漫画に詳しいのがこの二人というのが大きかった。

 特に、志緒ちゃんはそれに加えて、電子機器だとか家電だとかの知識が深い。

 現実に商品化や実用化されている技術であれば、すぐに情報を検索して提供してくれたことが既に何度もあった上に、ヴァイアを併用することで、その精度も速度も高くなるのだ。

 一方の舞花ちゃんは、その発想力が凄まじい。

 自由な考えで既存同士の作品の共通項を結びつけ、そこから新たなアイディアを導き出せるのが強みだ。

 柔軟な思考は、当たり前に囚われている私ではとても思いつけない。

 既存の施設の再現に行き詰まりを感じてしまった私にとって、この二人の化学反応は十分に期待を抱かせるものだった。


 これまでの経緯を改めて、説明し終えると、志緒ちゃんは「やっぱり、ヴァーチャルが良いと思うなぁ」と口にした。

 続いて、舞花ちゃんが「ゲームの世界に入れるヤツだよね! 舞花、楽しみ!」と表情を明るくする。

 対して、志緒ちゃんは「いきなりは無理かもしれない……結局、いまのVR技術ではアニメに出てくるようなフルダイブは難しいからね」と告げた。

 舞花ちゃんは少し残念そうな表情を浮かべて「そうかぁ」と漏らす。

 そんな舞花ちゃんに向けて、志緒ちゃんは「でも」と言って笑みを浮かべた。

 どんな話に展開していくんだろうと興味深く見ていると、志緒ちゃんは自信に満ちた表情で「オリジン太刀の力を借りれば、再現出来ると思うわ」と言い切る。

 途端に、舞花ちゃんの顔に笑みと明るさが戻った。

「ほんとぉ!?」

 舞花ちゃんに大きく頷いて見せながら「そのために必要な道具を、リンちゃんと作っていくのが今日の私たちのお仕事です」と笑みを深める。

 すると、舞花ちゃんは期待に満ちTラメを私の方に向けてきた。

 何か返さないと!とは思ったのだけど、何も浮かんでこなかったので、曖昧な表情で「一緒に頑張りましょう」と言うしか出来ない。

 それでも舞花ちゃんは「うん!」と力強く頷いてくれた。


 ヴァイアの中でも特殊な『オリジン』は、持ち出せなかったものの、私たち三人の元にはシャー君とリンリン様が並んでいた。

 それだけで舞花ちゃんも、志緒ちゃんもニコニコ状態でテンションが高い。

 ちなみに、二体とも微妙にアップデートがされていて、語尾が変わったり、妙に表情豊かになっていた。

『データの記録は、オイラに任せてほしいシャー』

 わかりやすい語尾に、一人称がオイラとなったシャー君は両手に当たるひれだけでなく、背びれも器用に動かしてかなりコミカルに動く。

 元々空を飛ぶことが出来たので、常に浮いた状態だ。

 一方、狐スタイルのリンリンは……その発言内容から私の中ではリンリン()になっている。

「リンリンちゃんはお手伝いしてくれないの?」

 舞花ちゃんの質問に対して、狐の姿のリンリン様はツーンと澄ました態度で『そなたらの手に負えなくなってからが、わらわの出番じゃ。それまでは皆、励め』と言い放った。

 単に口ぶりが尊大なだけでなく、妙に板に付いていて、らしく思えてしまうのが、リンリン様の凄いところだと思う。

 本人の気質もあるのだろうけど、志緒ちゃんは「お任せくださいっ! リンリン様の露払いはこの志緒めが見事果たしてご覧に入れますっ!」とノリノリで使用人か何かのロールプレイを熟していた。

 まあ、ほんの少し、若干、本気でへりくだっていそうな気もしなくもないけど、深掘りは危険な気がするので、私は何も言わず見守ろうと心に決めている。

 そんな三人と二匹? 二体? ……ともかく私たちで疑似体験装置の開発に着手することになった。

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