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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾弐章 構築新生
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拾弐之陸拾陸 新衣装

 意識を集中させるとすぐに頭の中に『コリンちゃん』の全身が浮かび上がった。

 今は、制服姿なので、これをスカイダイビング用のスーツに替えていく。

 そう思って意識を集中していると、全身から放たれたエネルギーが、体に沿ってお腹の前で構えた手と手の間に集まり始めた。

 エネルギーが集まり始めると、手の間でまずは球形の光球へと変化し、そこからしばらくして徐々に下に伸び始める。

 ラグビーボールを思わせる楕円状の球体へと変化し、そのまま制服へと接触した。

 直後、接触した制服のブラウス、スカートと光が広がっていき、そのまま足を伝って光は広がり続ける。

 脚を覆い、足首……靴下をも飲み込むとかかともつま先も完全に光に包まれた。

 一方、上半身を包んでいた光もその範囲を広げ、二の腕から肘、手首を広がり、お腹の上で向かい合わせになっている手の指先までが完全に光に包まれる。

 首から上だけを残し体全体が光に包まれたところで、那美ちゃんに「今から衣装の変更を始めます」と伝えた。

「集中するねぇ」

 頭の上から降ってくる様に聞こえる那美ちゃんの返事に、私は「はい」と返す。

 ちなみに、少し気になっていた服をアップデートする際の変化なのだけど、私の頭の中のイメージで体全体が光に包まれると、それに合わせて、現実では全身が白い全身タイツに包まれ、服が消えて裸になるといったことは起こっていなかった。

 これまで収録されていた動画でも変化は同様なので、一安心である。

 そもそも裸自体が恥ずかしいのもあるけど、私だけでなく、皆を模した人形も具現化しているので、服装を変える度に裸になる仕様は受け入れられないモノがあった。

 なので、全身がタイツで包まるなら、私としては十分な機能だと思うのだけど、那美ちゃんには『可愛くないので、変身中に仮の服が出現する様にして欲しい』と言われ、更に、志緒ちゃん、舞花ちゃん、結花ちゃんだけでなく、花ちゃんも同意すると思うと言っていたので、改善する必要がある。

 とはいえ、今回は次の実験も控えていることもあり、また、私が着替え中の服装を意識したことで、変化が起こる可能性も踏まえ、敢えて具体的な変身中の服は決めずに挑むことになった。

 そんなわけで、これから始まるアップデートにも影響が出るかもしれないのだが、それは後ほど記録映像で確認することにして、今はアップデートを無事終わらせることに集中する。

 意識を集中し直したことで、体の内側を伝わって手の先に流れたエネルギーが、今度は体の表面を伝って全身を包む光のタイツに流れ込み染み渡っていくのが感じ取れた。

 那美ちゃんの親指に頭を預けているのが功を奏して、エネルギーの流れが滞ったり途切れたり、集めたエネルギーが霧散したりすることは無く、かなり安定している。

 このままいけるという確信に従って、エネルギーの流れを維持し続けた。


「あんまり可愛く出来なかったわぁ」

 不満そうな那美ちゃんは、私の体を包む上下一体となったつなぎ状のウェアに不満そうな顔を見せた。

 ウェア自体はスカイダイビング用のスーツをベースにしていて、上から下まで一体となっている。

 長袖に長ズボンの仕様で、脱ぎ着用のファスナーは左脇の下に付いていた。

 特別なところといえばスーツ全体がピンク色なので、少し気恥ずかしい。

 ただ、服の構成として、ファスナーがサイドで、全面に開く要素がないせいか、胸が適度に潰されて、下向きの視界も広がったのは助かった。

「とりあえず、これで試してみようと思います」

 胸に手を当てて、アップデートして貰ったスーツに触れながら、私がそう伝えると、那美ちゃんからは「次はぁ、志緒ちゃんの力も借りてぇ、もっと可愛いものを目指すわぁ」と噛み合ってない言葉が返ってくる。

 咄嗟に返す言葉が浮かばなかったのだけど、那美ちゃんは何か期待する様な目で私を見ていた。

 これは私が何か言わないと話が先に進まないなと判断して、当たり障りがない様に「頑張ってください」と告げる。

 対して、那美ちゃんは嬉しそうに「がんばるわぁ!」と声を弾ませた。


 体験施設に戻ってきた私は、ウーノの時に出現させた安全帯を腰に巻いた。

 ワイヤーは自在に伸縮するので、腰に巻いている時に邪魔になることは無い。

 むしろ、胸の方が視線を遮ってるので、安全帯を巻き付けるのに邪魔だった。

 手元を確認出来ないので、目を閉じて指先に意識を集中させながら、安全帯の金具を固定していく。

 全ての金具を付け終えたところで、安全帯の各所を引っ張って密着が完璧なことを確認した。

 緩みも無く、問題点も感じなかったので、すぐに月子先生に声を掛ける。

「月子先生、お願いします!」

『了解』

 返事があってすぐに足下の金網から風が吹き始めた。

 バタバタと風に煽られて記事が音を立て始める。

 気体で足を吸着挿せていなかったのもあって、すぐに、下から突き上げるようにして足が掬い上げられ、私はバランスを崩された。

 反射で床に手を伸ばしたが、それよりも先に風圧で体の方が持ち上げられる。

 意図せず体を浮かすことには成功したものの、気体の服を纏っていた時とはまるで違って、体全体には強めに圧力がかかり、体にぶつかる風によって小刻みに全身は震えていた。

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