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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾弐章 構築新生
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拾弐之伍拾弐 新体制

 月子先生の指摘に、私は全身を恥ずかしさの熱で包まれていた。

 断じて、そんなつもりが無かったのに、い、いわゆる、え、エッチに見える動きをしていたという事実に、私はその事実を否定したくてしょうがなくなる。

 そんな私に月子先生は「自覚が生まれた様で何より……まあ、行動には今まで以上に気を配りなさい」と言われてしまった。

 何も言い返せないまま、不供やらお腹やらをなで回していた事実を思い出して、私は頭を抱えることしか出来ない。

 そのまま、復帰まで無駄に時間を費やすことになった。


『みんな~~なにかあったのぉ~~』

 月子先生の持つ端末から那美ちゃんの声が響いた。

 私も東雲先輩もすぐに反応出来なかったが、そんな私たちに代わって月子線がいつも通りの口調で「今、那美さんがイメージしてくれた気体で出来た服を脱ぎ着出来るか試しているところだよ」と返す。

 すると、那美ちゃんが『あぁ、なるほどぉ~~だから、まーちゃんはぁ、リンちゃんを見てないのねぇ』と納得の籠もった声を上げた。

「そこで、丁度、視界の記録を私に切り替えようと思うんだが、そっちで確認して貰えるかな?」

 私や東雲先輩の反応を待つこと無く、月子先生はマイペースに那美ちゃんとの会話を進める。

『え、えーとぉ、私はどうしたら良いですかぁ?』

 急な指名に、那美ちゃんは慌てた様子で返事をしてきた。

 対して月子先生は「操作はこちらでするから、那美さんに預けてあるパッドのカメラ映像が雅人くんから私に切り替わるか確認していて欲しい」と落ち着いて指示を出す。

 見て確認するだけということで、安心したのか、那美ちゃんは『了解ですぅ』と明るい声で承諾した。

「では、早速切り替える」

 月子先生はそう宣言すると手にした端末を操作し始める。

 ややあって那美ちゃんから『切り替わりましたぁ~いま、端末を見てますかぁ?』と問い掛けがされた。

 その問い掛けを耳にした月子先生は、何故かこちらに微笑みかけながら「凛花さん……ウーノに視線が移ったかな?』と質問で返す。

『変わりましたぁ』

 那美ちゃんの返事に軽く頷いてから、月子先生は改めて「無事視点になる人間が切り替わったようなら、次は服について確認したいんだが、良いかな?」と問うた。

『服についてぇ、ですかぁ?』

 那美ちゃんの返答からは、どこか戸惑いの様なものが感じられる。

「今、凛花さんはビキニ姿なワケだけど、那美さんはこの上に気体で出来た服を着ているイメージをしていただろう?」

 月子先生の問い掛けに対する那美ちゃんの『そうですねぇ』という肯定の言葉からは、かなり戸惑いnの色が消えていた。

「凛花さんの感覚では全身タイツに近いみたいなんだが、気体で出来た服に対して、那美さんは何かイメージしていたものはあるのかな?」

 新たに投げ掛けられた質問に対して、那美ちゃんは即答せず『うーん』と悩んでいる様な声を上げる。

 それから『具体的なイメージは無いですけどぉ』と前置きをしてから那美ちゃんは話し出した。

『えーとぉ、イメージをリンちゃんに送る前に見た動画でぇ。なんかゴワゴワした服を着てたんですよぉ』

 頷きながら「スカイダイビング用のスーツだね?」と月子先生は問い、那美ちゃんは『そうだと思いますぅ』と返す。

『でもぉ、私はそのぉ、スカイダイビング用のスーツがぁ、どう言うのかよくわからなかったんでぇ、上手くイメージ出来なかったと思うんですよぉ』

 那美ちゃんはそう言うが、私としてはちゃんと服を着ている感触があるので、そこは伝えた方が良いと考えて報告することにした。

「私の感覚というか手触りとかで感じたところだと、ちゃんと服の形になっているみたいだよ。服の切れ目というか、端の存在がわかるのが首元だけって感じで、全身タイツみたいな感じに思えるよ」

 素直に感じたままを言葉にすると、那美ちゃんからは『スカイダイビングのスーツのイメージがうまく出来なかったからぁ、私の知っているスーツ状のもので代用されたんじゃ無いかと思うのぉ』という見解が返ってくる。

「それって?」

『水に潜るのに使うダイビングスーツだよぉ』

 那美ちゃんからの返答に、イメージが明確で無い部分は、私の能力が補填してくれることは多かった事を思い出した。

 その場合に記憶などから似たものがイメージとして引っ張り出されてもおかしくはないと思う。

『リンちゃん、首の後ろにい、ジッパーがあったりしない~?』

 那美ちゃんの推測に答えを出すため、私はすぐの首の後ろに手を回した。

 これまではスーツというか、気体で出来た服の堺を探すことに注目していたために気付かなかったけど、縁に沿って指を這わせた結果、首の後ろでそれらしいものに指が触れる。

「なんだかジッパーらしいものに指が触れました!」

 私の報告に、月子先生は「おろせそうかな?」と尋ねた。

「試してみます」

 そう答えてから手の感触だけで、シッパーの持ち手部分を指で挟んで、私はゆっくりと下に向けて手を動かす。

 すると、音こそないものの、ジッパー独特の繰り返し引っかかりが生まれる独特の感触を伴って、ファスナーがおろされる感覚が指に伝わってきた。

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