表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾弐章 構築新生
422/814

拾弐之肆拾肆 それならば

「まさか、東雲先輩が、やってみろというとは思いませんでした」

 私の思ったままを口にした発言に対して、東雲先輩は「正直、凛花の場合はやってみないとどうなるかわからないからな」と苦笑いのまま顔を掻いた。

「まあ、無理な場合は、エネルギーが霧散するようだし、安全面で問題がないなら、もうやってしまった方が良いだろ」

 東雲先輩はそこで一端区切ってから「出来る事は試させておかないと、誰も見ていないところで、実験して、大変なことになりかねないと、月子先生も言ってたしな」と付け足す。

 それを聞いた瞬間、月子先生の声で完璧に脳内で再現された。

 月子先生の発言を否定出来ない私は「い、言いそう……ですね」と言うことしか出来ない。

 東雲先輩はそんな私の返しに「心当たりがあるなら、月子先生の読みは当たってるってことだな」と溜め息を漏らした。

 ズバリと断言されてしまった私は言葉を失う。

 そんな私に東雲先輩は苦笑を浮かべたままで「同じ無茶をするなら、こうして他の人間の目がある時の方がマシ……というわけで、賛同した」と締めくくられてしまった。


 改めて校庭の端に移設した台風体感施設を前に、私は那美ちゃんに確認の言葉を掛けた。

「アップデートのイメージは、那美ちゃんに任せて大丈夫ですか?」

「任せてぇ、ちゃんと思い描いているわぁ」

 自信満々の那美ちゃんからは、エアバッグで動揺していた時の面影は感じられない。

「ちょっとぉ、リンちゃん!」

 急に大きめの声で名前を呼ばれた私の口から「うえっ!?」と間抜けな声が飛び出た。

「さっきのことは……忘れて……」

 下から迫力のある上目遣いで見詰められて、私はただひたすらに無言で頷く。

 が、それでは許してくれなかったので、私は『忘れます』と繰り返し念じることで、ようやく許しを得た様で、上目遣いを辞めてくれた。


「もぉ、リンちゃん、意地悪しないでぇ」

 可愛らしく頬を膨らせる那美ちゃんだが、余計なことを考えると先ほどの繰り返しになるので、施設のアップデートに集中することにした。

「そ、それじゃあ、始めますね」

 那美ちゃんから視線を外して、同行してくれている東雲先輩と、花ちゃんの代わりに合流してきた月子先生に視線を向ける。

「わかった」

 頷く東雲先輩の横で、ヒラヒラと手を振りながら「思いっきりやってくれて良いよ」と月子先生は笑んだ。

 そんな月子先生に、答えの予測はついているものの一応質問はしておく。

「それで、なんで月子先生がこちらに?」

「もちろん、君たちの補助だよ」

 笑みを絶やさずに月子先生は「本当は花子が君たちに就く予定だったけど、雪姉にお叱りを受けている最中だからね」と言い切った。

 その上で、月子先生は小脇に抱えているサメ型のぬいぐるみに視線を向ける。

「サーバー室付近にいなくても、この『オリジン』がいれば、録画管理が出来るからね。凛花さんには感謝しかないよ」

 わざとらしく思える言葉にジト目を向けた私に、那美ちゃんは「わかりにくいけど心から感謝してるわよぉ」と耳打ちした。

 が、私は認識を操れる月子先生に限っては、那美ちゃんでも欺けるんじゃ無いかと思えて、素直に受け止めることが出来ない。

 そう考えたからか、那美ちゃんは「んー」と唸りだしてしまった。

 流れから考えて、私が月子先生の言葉に疑念を抱いたのが原因だと思われるので「とりあえず、今はアップデートに集中しよう」と声を掛ける。

 頭の中で『月子先生は底の知れない人なので、考えても袋小路に迷い込むだけだ』と念じたのが功を奏したのか、那美ちゃんは「そうねぇ」と苦笑気味に頷いた。


「雅人くん、これをためしてくれるかな?」

 そう言って月子先生はパッドよりもやや小ぶりで、スマホよりやや大きい端末を手渡した。

「月子先生、これは?」

 東雲先輩の問い掛けに意味深な笑みを浮かべて「出所は秘密だが、最新の操作端末だよ」と答える。

「タッチパネル式で、君たちに貸与しているパッドよりもやれることが多くなっている」

 月子先生はそう説明しながら抱えていた『オリジン』を、東雲先輩に差し出す様に近づけた。

「操作のサポートは『オリジン』がしてくれるし、オリジンと直接情報交換が可能なアプリがインストールされている。録画機能を使うのに、十分なアシストが出来ると思うよ」

 東雲先輩は月子先生に頷きで答えてから「これを使って録画管理をすればいいんですね?」と尋ねる。

「いいね。理解が早くて助かるよ」

 月子先生は満足そうに頷いてから、私と那美ちゃんに視線を向けてきた。

「待たせたね。後は二人のタイミングで実験をは締めて貰って良いよ」

 そう言われた私は那美ちゃんに視線を送って頷いて貰い、続けて、東雲先輩にも視線を送る。

 新たに手にしたばかりの端末を操作してから、東雲先輩は私に視線を向けて頷いた。

 皆の態勢が整ったことを確認し終えた私は、台風の体験施設に向けて両手を伸ばして目を閉じる。

 アップデートすることを意識しながら、意識を集中すると、体感で裁ちばさみよりもやや遅れて頭の中に施設全体の像が浮かび上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ