表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾弐章 構築新生
413/814

拾弐之参拾伍 散光

 裁ちばさみのアップデートを録画した動画の中で、私が合図を出すと、那美ちゃんは頷いて私の右肩に左手を置いた。

 そうして、那美ちゃんがゆっくりめを閉じた後で、強烈な変化が起きる。

 私の掌の間、裁ちばさみが消えたあたりで一瞬だけど強烈な光が放たれた。

 直後、一気に物質としての姿を刃先から持ち手まで取り戻した裁ちばさみが、重力に引かれて机に落下して鈍い激突音を立てる。

 それに驚いた私が目を見開いたところで、映像が止まった。

「どうだ?」

 東雲先輩の声に応えようと思ったが、先に那美ちゃんが「私の見ていた光景と同じだったわぁ」と言う。

 それを聞いて、自分では無く那美ちゃんへの質問だったことに気が付いた私は、自分の自意識過剰っぷりに、一気に体が火照ってしまった。

 東雲先輩はそんな私の方に振り返って「凛花はどうだった?」と聞いてくれる。

 そのお陰で、私にも尋ねてくれていたのだとわかり、自意識過剰だったわけでは無かったとホッとした。

 が、余計なことを考えていたせいで、すぐに言葉が出ず「えっと……」と詰まってしまう。

 そんな私に対して、東雲先輩は「……そうか」と呟いた。

 東雲先輩が何に気付いたんだろうと思って、視線を向けた私に「目を閉じているから、直接確認はしていないんだったな」と言う。

 そのせいで言葉に詰まったんだと解釈したらしい東雲先輩に、私は「確かに直接は見ていませんけど、心の中で見たというか、頭に映像が浮かぶというか……」と少し慌て気味に伝えた。

 那美ちゃんが、そんな私の話に頷きながら「そういえばぁ、実際の映像のようなはっきりしたイメージがぁ、頭の中でぇ、再生されるのよねぇ」と言う。

 東雲先輩は那美ちゃんの言葉に頷くと、私に「その頭に浮かぶイメージと比較してどうだ?」と尋ねてきた。

 私は軽く頷いて「映像との違いは、頭のイメージの方は、消えるわけじゃ無くて、光る……エネルギー体の状態に戻るというか、変化する感じですね」と答える。

 対して、東雲先輩は少し辿々しい説明をしっかりと受け止めてくれたようで「俺たちの目やカメラには消えているように見える部分が、凛花の頭の中のイメージではエネルギー体に戻って光ってるイメージで見えるんだな」と、私よりも明確に言葉にしてくれた。

「なんか、私よりもわかりやすくまとめてくれましたね」

 私の驚きの籠もった言葉に、東雲先輩は苦笑してから「それで、聞きたいんだが、はさみが出現する寸前には、どんな変化が起きていたか、覚えているか?」と質問してくる。

 軽く状況を思い返して、私は「私のイメージでは、集まっていた光が、一気に散ったような感じだったと思います」と答えた。

「光が散ったのと、はさみが姿を再出現させたのとが、同じタイミングってことか?」

「はい。同じくらいだったと思います」

 頷いた私を見た後で、東雲先輩は「それが那美がイメージを送ったタイミングだったってことは、那美のイメージを上乗せすることが出来ないと凛華自身か、凛花の能力が判断して、具現化に失敗した時と同じ、光が散るイメージが見えたんだろう」と言う。

 東雲先輩の見解に、私は全身が震えるのを感じた。

「リンちゃん?」

 私が変な反応をしたことに気付いた那美ちゃんが声を掛けてくれる。

 遅れて、東雲先輩も「どうかしたのか?」と声を掛けてくれた。

 直ぐに応えたかったものの、私は自分の感じたものを把握し切れてなかったので「ちょっと、自分の中で整理してからじゃ無いと、上手く言えそうにないので、待ってください」と伝える。

 すると、那美ちゃんに振り返って様子を確認した東雲先輩は「わかった」と頷いてくれた。


 何故、私は東雲先輩のどの言葉に反応したのかを考えてみた。

 そこに答えがあるのは間違いないので、慎重に思い返す。

 東雲先輩は、私のイメージの話をしていて、その中でも光が散ったタイミングについて話していた時に、私は何かを感じた気がした。

 切っ掛けを掴み取るために、目を閉じて東雲先輩の発言を思い返す。

 そうして、吟味しているうちに閃くものを感じた私は、気付けば「あっ」と声を漏らしていた。

「どうした?」

 私の思考を見守ってくれていた東雲先輩が、不意に声を漏らしたことに反応して声を掛けてくれる。

 先ほど違って、違和感の種に見当を付けた私は、それを言葉にしてみた。

「時間差があるんじゃ無いかって気付いたんです」

「時間差?」

 オウム返ししてきた東雲先輩に頷いてから「集中するために目を閉じているので、今まで気付かなかったんですけど、私の頭の中に浮かぶイメージと実際に起きている現象に時間的なズレがあるんじゃ無いかと思ったんです」と伝える。

「なるほど……凛花の中のイメージが、実際の現象よりも先に見えてる……ある種のシミュレーションになっているって事だな」

 理解の言い東雲先輩に驚きつつも、私は「はい、そう思いました」と頷いた。

「と、すると、どの程度の時間差があるかはわからないが、多少でも、事前に具現化やアップデートが可能かどうかを知ることが出来ると……」

 呟くような東雲先輩の言葉に、那美ちゃんが「それよりもぉ、リンちゃんの安全が確保されているって事よねぇ!」と言う。

 東雲先輩は「検証はした方がいいが、那美の言うとおりなら、凛花の無茶にも多少は肝を冷やさずに済むかもな」と笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ