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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾弐章 構築新生
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拾弐之弐拾漆 急転

「あ、リンちゃんは水の上を歩く術とかぁ、手裏剣を投げたりとかぁ、いろんな忍術を想像をしてぇ、笑っちゃったみたい~」

 那美ちゃんが平然と私の行動の詳細を言い放ったことに、思わず「ちょっと、那美ちゃん!」と抗議の声を上げてしまった。

 妄想して笑っていたことが妙に恥ずかしい。

「あ、あら、凛花ちゃん、忍術に興味があるの?」

 嬉しそうで、それでいて窺うような警戒の滲んだ話しかけ方を花ちゃんはしてきた。

 私はその質問にどう答えようかと考えたところで、那美ちゃんがいればどうせ筒抜けだ品と思い、素直に「興味はあります」と答える。

「そうなの? ば、馬鹿にしてたりしない?」

 花ちゃんの発言に、妙に警戒心が籠もっている理由を感じ取った私は「正直」と一言口にしてから、苦笑を浮かべた。

 私の反応に戸惑った表情を見せた花ちゃんに「もの凄く興味があります」と告げると、途端に安堵の表情に変わる。

「よかった~凛花ちゃんに馬鹿にされたら生きていけなくなるところでした!」

 大袈裟なとは思ったものの、花ちゃんの目はかなり真剣に見える。

 私にとっては大袈裟でも、花ちゃんとしては真剣なのかもと思うと、茶化すのは良くないと思い「どんなことが出来るのか、どんな忍術が使えるのかは知っておきたいです」と自分の思ったままを伝えた。

 が、何故か露骨に花ちゃんの表情が変わる。

 期待を裏切られたと言わんばかりの表情の落ち込み具合に、私は何をやらかしたのだろうと思いながら「花ちゃん?」と声を掛けた。

 すると、花ちゃんは溜め息交じりに「なんで、くノ一衣装についてとか、お色気の術とか、そういった方向の質問じゃ無いんですか?」と尋ねてくる。

 一瞬、花ちゃんの発言内容の理解を脳が拒んだ私は、ただ瞬きを繰り返すだけになってしまった。


「何故、私がくノ一の衣装だとか、お色気の術に興味を示すと思ったんですか」

 半分呆れながら、花ちゃんの言葉を理解した私は、ジト目を向けた。

「え、可愛い服に興味あるでしょう?」

 まるでこっちがおかしなことを言ってるかのような真顔で花ちゃんにそう切り替えされる。

 更にジッと見詰められる事で、否定するのも駄目な気がしてきた。

「なく……は、ないですけど……」

 私としてはかなり折衷案な回答だったけど、花ちゃんには刺さったらしく「そうでしょうとも!」と明るい声と表情を見せる。

 このままの勢いで花ちゃんに引っ張られたら大変なことになると察しながらも、答えが見つけられず戸惑って「い、いや、あの……」と曖昧な言葉しか引き出せなかった。

「着せてあげる、凛花ちゃんに似合うミニスカくノ一衣装を!」

「えっ!?」

 何でそうなったと思った脳裏に、私で着せ替えを楽しんでいた花ちゃんの姿が鮮明に蘇る。

 同時に、もうこの勢いは止められないと、覚悟を決めなければいけないかと思った瞬間、そのの目先輩の「花子さん!」という強めの呼びかけが割って入った。

 呼びかけに反応して振り返った花ちゃんに、東雲先輩は毅然とした態度で「花子さん、目的を見失わないでください。。まずはエアバッグの確認ですよね」と言い放つ。

 勢いに飲まれそうな所を助けてくれたことと、何よりもその凜々しい物言いに、思わず東雲先輩に私は目が釘付けになってしまった。

 年下の相手に抱くとは思っていなかったけど、東雲先輩は間違いなく『格好いい』と思う。

 そんな気持ちで見惚れていると、東雲先輩の正論に、花ちゃんが明らかに肩を落として「確かにそうですね」と頷いた。

 暴走しかけていた花ちゃんを止めた上に、黙らせてしまうとは、東雲先輩は流石だと言わざるを得ない。

 そう思って一人頷いていると、花ちゃんの目が私に向いた。

 何を言われるのかという思いで思わず身構えてしまったが、花ちゃんは「くノ一……ミニスカ浴衣はもう少し我慢するので、ちゃんと来てくださいね」と言う。

 目を潤まして悔しそうに言われてしまうと、私の心はそれだけで何かしてあげなきゃと言う気持ちで一杯になってしまった。

 後先考えずに「わかりました」と答えた私は、気が付くと窒息しそうな勢いで花ちゃんに抱き付かれてしまう。

「は、花ちゃん!?」

「約束ですよ!」

 そう言って私を解放した花ちゃんは、改めてどこからかナイフを取り出して、颯爽とエアバッグに向かった。

 あまりにも早い展開に置いてけぼりにされている間に、花ちゃんは手にしたナイフを喜々としてエアバッグに突き立てる。

 が、鋭く勢いもある花ちゃんのナイフは、突き刺さったと思った瞬間、その場で軽く数回上下にバウンドした。

「え!?」

 思わず声を上げた私の横で、東雲先輩が私に視線を向けて「凛花……お前……」と明らかに引きつった表情を浮かべる。

「ま、待ってください! アレは、私が具現化したものですけど、イメージは那美ちゃんですからね!」

 そう返しながら、かなりの速度で振り下ろしたナイフを受け止めてしまうエアバッグの異常さに、私の背中には嫌な汗が滲み始めている。

 そんな私に対して、イメージを送り込んだ那美ちゃんは、実にのんびりとした声で「わぁ丈夫ねぇ」と頬に手を当てて笑みを浮かべていた。

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