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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾弐章 構築新生
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拾弐之弐拾弐 次のステップ

「リンちゃんの能力に影響を与える内容だから、聞いては駄目なことよ……でも、恋愛要素は含まれてないから、安心して良いわ」

 那美ちゃんの言葉に、私は思わず「恋愛要素!?」と返してしまった。

 すると、那美ちゃんは目を細めて「あれぇ、まーちゃんと花ちゃんが内緒話してるのを見てぇ。モヤッとしちゃったのかと思ったんだけどぉ?」と首を傾げる。

 指摘された内容に身に覚えのない私は、気付くと思わず強めに「そんなことないですよ!」と返していた。

 対して那美ちゃんは「そぉ?」とクスクス笑うだけで、それ以上は何も言わない。

 そこまで来て揶揄われてると理解した私も、これ以上は墓穴を掘るだけだなと察して、結局、黙る事になった。


 手にしたパッドで、体験施設の扉を操作する東雲先輩に、花ちゃんは「確かに、ちゃんと扉が開閉してるわね」と頷いた。

「施設内の操作もできますよ」

 バッドを花ちゃんに見せながら、東雲先輩は操作する画面を説明していく。

 なんだか二人の距離……物理的な距離が近いような気がして、少しモヤッとしてきた。

 頭の中では、状況報告をしあってるだけだとわかっているのに、どうも腑に落ちない。

「リンちゃん」

 花ちゃんと東雲先輩のやりとりに注目していたせいもあって、急に那美ちゃんに声を掛けられた私は、思わず「へっ」と間抜けな声を上げてしまった。

 そんな私の反応は完全スルーで、那美ちゃんは「この後はぁ、どうするのぉ?」と質問してくる。

「この後?」

 那美ちゃんが何を聞きたいのかわからなくて首を傾げた。

 私が本気でピンときていないことをすぐに読み取った那美ちゃんは少し考える素振りを見せてから「確かぁ、台風の体験施設はぁ、目標の途中の施設だったよねぇ?」と言う。

 ようやく、那美ちゃんのしたい話の方向性がわかって、私は「台風体験施設の次ですか……」と口にして考えてみることにした。


 元々は東雲先輩の言っていたトレーニング施設が目標だった。

 様々な環境があるという『神世界』を想定した環境を再現して、安全な環境で経験を積めないかというものである。

 そのために人形用に様々な環境を再現出来る施設を具現化する第一歩として、現実にある台風体験施設を再現した。

 一応、無事に再現はできたと思うが、現時点ではただの体験施設でしか無い。

 目標とするのは、自在に体を動かして、台風だけで無く、様々な自然環境の中での戦い方のコツを学ぶというものなので、現実との差はかなり大きいのが実情だ。

 那美ちゃんの『次はどうするのか?』という質問は、まさに今考えるべき問題だったんだなと改めて思う。

 そんなことを考えながら、先ほどの体験を思い出してみたのだけど、台風体験のための大きな送風機や雨を降らせる仕組みは、実在のものを元に再現したに過ぎず、悪魔で具現化出来るかの実験にしかなっていなかった。

 私はそれよりも、那美ちゃんのイメージしてくれた粘着……というか、吸着する不思議な気体や全身を護るエアバッグの方がもの凄い発明な気がする。

 そう私が考えたタイミングで、那美ちゃんが「いやいや、リンちゃん」と声を掛けてきた。

 思考に耽っていたせいで、私にとっては不意打ち気味だったこともあって、思わず「那美ちゃん?」と疑問符付きで名前を呼んでしまう。

 が、那美ちゃんは特に気にした様子も無く、人差し指を立てて「リンちゃんの通信機器も凄いわよぉ」と言い切った。

 機械系の評価が来るとは思っていなかったので、少し驚いてしまった私に「まぁ、私はぁ詳しくないけどぉ」と那美ちゃんは口にする。

 その後で「あの部品一つでぇ、施設のいろんな操作ができたりするのとかぁ、距離が離れててもぉ、パッド操作ですぐに反応がするのはぁ、もの凄いことらしいわよぉ」と那美ちゃんは言い足した。

 私はそこで、先ほどの花ちゃんと東雲先輩の内緒話の内容が、今、那美ちゃんの言ったことなんだろうなぁと漠然と理解する。

 何しろ、私は出来て当たり前だと思っていたけど、USBで挿す小さなアンテナ一つで本来のサイズよりはるかに小さいとは言え、巨大な施設が動くのは、確かに凄いのかもしれないと思えた。

 と、考えを巡らせたことで、私は自分が出来て当たり前じゃ無いかもしれないと思ってしまったことに気付く。

 こうなると具現化出来なくなったり、具現化する際のエネルギーの必要容量が増えてしまうので、確実によろしくないことだった。

 そもそも、二人が内緒話のようにして話していたのも、私に事実を教えないためだったと、今なら推測が付く。

 やらかしたという気持ちが、どうしようという焦りを私の中に巻き起こした。

 そのまま混乱しそうになった私に、那美ちゃんが「大丈夫ぅ、大丈夫よぉ」と声を掛けてくれる。

「那美ちゃぁん」

 思わず発した声が、縋るように震えていてもの凄く恥ずかしかった。

 一方那美ちゃんは冷静な態度で「落ち着いてもう一度作れそうか確かめてみてぇ」と言う。

「う、うん」

 言われるままに、頭の中でイメージをしてみると、具現化自体は出来そうだなと感じられた。

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