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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾弐章 構築新生
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拾弐之拾 思いつき

 制御部分をパソコンに委ねるという那美ちゃんと東雲先輩のアイデアを元にイメージを膨らませると、体の中からエネルギーが漏れ始めた。

 両の掌を向き合わせると、体中から出たエネルギーは自然と掌の間に向かって動き始める。

「あらぁ、もう始めたのぉ?」

 私の様子を眺めながら、那美ちゃんが尋ねてきた。

 頷きながら「頭でイメージをしていたら、エネルギーが勝手に動き始めちゃって」と答える。

 少し言い訳くさいかなと思ったのだが、東雲先輩は「イメージしただけでエネルギーが動き出すのは、今後注意が必要かも知れないな」と口にした。

 何に注意すべきと言ってるんだろうと思っていると、私の視線に気付いたらしい東雲先輩が「凛花の能力を発動するのには、エネルギーが不可欠なわけだが、そのエネルギーの正体はわかっていないだろう?」と尋ねてくる。

「そうですね、未だそこは結論が出ていません」

 私の答えに頷いてから東雲先輩は「エネルギーの出所は神世界と言う可能性もあるが、凛華自身の体から何らかのエネルギーが抽出されている可能性もあるだろう?」と更に質問をしてきた。

 東雲先輩の問いに対して、私は今のイメージを言葉にしてみることにする。

「……あくまで、私の感覚ですけど……神世界からエネルギーを得ているというのは、言われるまで気付かなかったくらいで、全部私の中からエネルギーが出ているイメージなんですよ」

「なるほど」

 頷いた東雲先輩は真剣な顔で「だとしたら、余計言えることだが、無意識にエネルギーが体が出て行ってしまうなら、自分自身が動く力が失われてしまう可能性があるだろう?」と聞いてきた。

 ようやく、東雲先輩が何を危惧しているのか察した私は「イメージで勝手にエネルギーが放出されるなら、最悪、余計な考えを巡らせてしまって、敵の攻撃を避けられないなんて事もあり得るって事……ですね?」と返す。

 ゆっくりと深く頷いた東雲先輩の様子に、確かに危険だなと感じた私は、対策を考える事を決めた。


「それじゃあ、このまま感覚に任せて具現化してみます」

 私は那美ちゃんと東雲先輩にそう伝えた。

 二人が頷くのを見て、私は先ほど勝手に溢れ出し、掌の間に集まりつつあったエネルギーを具現化可能な状態にするために、m名代どう仕切れていないエネルギーを送り込む。

 台風多感施設をパソコン経由で制御出来るものという具体的なような、曖昧なようなイメージで集まったエネルギーだが、漠然と成功させられるという感覚だけはあった。

 これも実験と割り切って、私は自分の感覚に従うことに決めたので、わざわざ『感覚に任せて』と言葉を足したのである。

 その決意表明が良かったのか、エネルギーの流れはとてもスムーズであっという間に、完全な球状にまとめることが出来た。

 このまま具現化が始まるイメージ送れば、形になるだろうと思ったところで、何故かはわからないが、私はヘルメットに表示される映像情報も取り込めるのでは無いかと閃く。

 これまで、視界映像は、花子さんの『異世界netTV』経由という思い込みがあったけど、ヘルメットが見せる映像を記録することで気づけることがあるかも知れないと思うと、それがとても言い考えのような気がしてきた。

 とはいえ、勝手に判断して突き進むのはやらかしに繋がるのは流石に学習したので、私はそこで踏み止まる。

「恐らくこのまま具現化すれば、体験施設制御用のパーツを具現化させることは出来ると思うんです」

 私がそう切り出すと、東雲先輩は少し首を捻ってから「何かあるのか?」と聞いてきた。

 東雲先輩の問い掛けに頷いてから、私は「今思い付いたんですが、このパーツに、ヘルメットともリンクする機能を加えれば、ヘルメットが映し出す映像も記録出来るんじゃ無いかと思ったんです」とありのままを言葉にする。

 目を閉じて何かを考える素振りを見せた東雲先輩は「もし、その機能を追加する場合、凛花の負担は増えそうなのか?」と尋ねてきた。

 私はエネルギーが流れ込まないように強く意識しながら、機能を追加した場合、それがどの程度私に影響を与えるかをイメージしてみる。

 ややあって、私の中に一つの答えが浮かんだ。


「多分ですけど、多少追加でエネルギーを送り込まないとですけど、負担になる程ではなさそうです」

 浮かんだ言葉を言葉にすると、東雲先輩は「わかった。じゃあ、試してみてくれ」と頷いた。

 あっさりと許可が出たことに驚いていると、那美ちゃんが「リンちゃんの負担にならないならぁ、まーちゃんはオールオッケーなのよぉ」と笑う。

 那美ちゃんの言葉に私が視線を向けると、東雲先輩は「オレだって、新しいことに好奇心が刺激されているからな。負担眼愛なら止める理由も無い」と苦笑を浮かべた。

 その一言で、私はもの凄く気持ちが明るく前向きなるのを感じて、東雲先輩に抱き付きたい衝動に駆られる。

 が、急に抱き付くのは良くないという私の冷静な部分が引き留めてくれたことで、行動を起こすギリギリで踏み止まった。

「どうした、凛花?」

 東雲先輩の問い掛けに、抱き付こうとしてmしたと素直に答えるわけにはいかないので、私は「きょ、許可を貰えたのが嬉しくて」とだけ答える。

 すると、東雲先輩は照れたように頬を掻きながら「那美も言っていたが、凛花に負担が無ければ、反対なんかしないぞ」と言い切った。

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