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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾壱章 想定離脱
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拾壱之伍拾陸 動画再生

 那美ちゃんの人形を囲んでの検討会に志緒ちゃんを初めとした有識者が集まっている間に、私は東雲先輩に見逃した変身の流れを見せて貰うことにした。

「じゃあ、再生するぞ」

 東雲先輩の確認に対して、私は「お願いします」と頭を下げる。

 再生するのは東雲先輩の使っていたパソコンなので、申し訳ないなと思いながら少し横に避けて貰って、新たな椅子を持ち込んで横に座らせて貰った。

「それじゃあ、再生するぞ」

 東雲先輩がそう口にしたタイミングで、那美ちゃんが「あ、待ってぇ~~」と声を掛けてくる。

「私もぉ、見せて貰っていいかしらぁ?」

 断る理由はないものの、検討会の最中だったので「あっちの話し合いは良いの?」と聞いてみた。

「私の説明はぁ、終わったからぁ、それでぇ、私もぉ見直したいと思ったんだけどぉ」

 那美ちゃんの説明に「そうなんですね」と頷いた私は、東雲先輩に視線を向ける。

「良いですか、東雲先輩?」

 私が確認すると、東雲先輩は「もうこの再生ボタンを押すだけだ」と口にして立ち上がろうとした。

 恐らく席を空けてくれるつもりだったのだろうけど、那美ちゃんが「まーちゃん、大丈夫よぉ」とストップを掛ける。

 直後、那美ちゃんは「ちょっとぉ、ごめんねぇ」と言いながら私の座る椅子に横から座ってきた。

 なんだか、正真正銘の小学生だった頃にやった椅子取りゲームを思い出す。

「リンちゃん、吸われてるぅ?」

「大丈夫です」

 座り心地は流石に悪くなったものの、意外に椅子は二人で座っても受け止めてくれていた。

「じゃあ、ちょっと狭いけどぉ、このままでも良い?」

 もう一個椅子を持ってくればいいんじゃ無いかと思わなくは無いけど、那美ちゃんが楽しそうなので「良いですよ」と受け入れることにする。

「ありがとぉ、リンちゃん、大好きよぉ」

 にっこりと微笑む那美ちゃんに、苦笑を返しつつ「それじゃあお願いします」と東雲先輩に再生をお願いした。


 東雲先輩が既に調整してくれていたので、再生後すぐに変身シーンが始まった。

 ステラの『なっちゃん! ミルキィ・チェンジだよ!』の呼び掛けに』、なっちゃんの人形は「はぁい」と口にしながら右手を挙げるのと同時に、同じ声で「わぁっ」という驚きの声が収録されている。

 ここで、意識を体に戻されたのかと思いながら確認すると、一瞬だけ那美ちゃんの人形が硬直したように見えた。

 もしかすると、人形と那美ちゃんの意識が切り替わるタイミングで、無の時間というか、体を動かせない時間が生じるのかも知れない。

 意識が戻ったらしい那美ちゃんの人形は笑みを浮かべると、上げていた手を手首でくるりと回転させた。

 手首が一回転して元の位置に戻ってくると、掌から出現した水が一旦上へと吹き上がり、手首に向かって弧を描いて流れ落ち、右手を球状に包み込む。

 手をすっぽりと包み込んだ水球が、急に大小の水球に分裂すると、握り混まれた手の中にペンサイズの小さな棒が出現していた。

 宙に浮いていた分裂した水球達が吸い込まれるように、手の中の杖に吸い込まれていくと同時にそのサイズは巨大化し、いつの間にかバトンサイズへと変貌を遂げる。

 バトンサイズへと姿を変えた杖をクルクルと回転させると、那美ちゃん人形の周囲に無数の水の球が出現し始めた。

 水球のサイズは大小様々で、何かにぶつかって弾けた水がそこで一時停止をされたようにピタリと空中で制している。

 そんな水球に囲まれた那美ちゃんの人形は、ふわりとスカートを膨らませながら、体を回転させた。

 流石にアニメのように、カットが切り替わったりしないが、静と動が共存する全体像はとても神秘的で、見ているだけで高揚感を覚える。

 一瞬呆けそうになったところで、那美ちゃん人形は不思議な行動に移った。

 バトンサイズになった杖を振るって、二つの少し大きめな水球を左右の脚の前に、周囲に浮かぶ水球を集めて作り出す。

 足よりも大きくなった二つの水球に、那美ちゃんの人形はためらいなく脚を通すと、上履きと白の靴下が、青のショートブーツへと変化を遂げた。

 脚の変化を確認すると、再び那美ちゃん人形は杖を振るって、足下にあった水球を胸の辺りまで浮上させる。

 ショートブーツへの変化をしたせいで少し小さくなっていた二つの水球は、移動途中にも宙を舞っていたいくつかの水球を吸収して、浮上を終える頃には元の大きさに戻っていた。

 那美ちゃん人形は、流れるような動きで杖を空中に投げると、胸の前に二つ並んだ水球に、手の空いた両手を突っ込む。

 水球を抜けた手は手首までの青いグローブへと変わり、上に向けて広げられた掌の上にピタリと放り投げていた杖が着地を決めた。

 手にしたばかりの杖を振ると、肘の直前で止まっていた水球がゆっくりと肩へと向かって動き出す。

 移動中に周囲に浮いていた水球を吸収し、肩に辿り着くとそのまま首へと移動してい気、左右の水球は一つのドーナツ状の塊へと変化した。

 那美ちゃん人形はそのタイミングで杖を上から下に震う。

 首にあった水の塊はゆっくりと今度は胴体に合わせて上から下へ移動し始めた。

 水のドーナツが通り過ぎた後には、魔女服が出現している。

 白のトップスに青いスカートという共通の組み合わせが出現し、制服のスカートの裾が水のドーナツに包まれ、魔女服のスカートが裾まで出現したところで、水のドーナッツはその場で細かな水球へと分裂した。

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