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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾壱章 想定離脱
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拾壱之参拾肆 クリア

 ステージ選択を終えると、いよいよゲームが始まった。

 最初は『ウーノ』が制服から、ミル・セレニィの衣装に着替える。

 仕組み的には衣装チェンジ演出はスキップできるが、今回は何も操作せずにチェックすることになった。

 画面中の『ウーノ』が両手に棍棒を手にすると、やや遅れて実体の手に、ヒカルで棍棒のシルエットが現れる。

 クルクルと画面内の『ウーノ』がそれぞれの手で棍棒を回転始めたタイミングで、実体の方の『ウーノ』の絵に主ツイ減した棍棒からは光が消え画面とほぼ同様の状態になった。

 落ち着いて観察してみると、画面と実体にははっきりとした時間差があって、画面上で起きた事が、やや遅れて実体側で再現されている。

 先行する画面に視線を向けると『ウーノ』が棍棒を巧みに使い、体が映らないように画面を隠していた。

 カメラを遮った棍棒がくるりと回転すると、制服のブラウスを着ていた『ウーノ』の上着がミル・セレニィの麻城服へと替わる。

 一方、それを後追いする実体の方では、普通に棍棒の演技が続いていた。

 棍棒がカメラを遮っている間も、その演技は途切れない。

 ただ、恐らくカメラを遮っていたであろうタイミングで、ブラウスがほんの一瞬だけ光を纏い、その光が消えた後には、上衣は魔女服のモノへと変わっていた。

 画面では再び棍棒が視界を遮る状態になり、再び棍棒赤目らから離れると『ノーラ』スカートが制服から魔女服へと変化を終えている。

 後追いの実体の方で確認すれば、クルクルと回転しながら、棍棒だけ動きを止めている間に、制服のスカートが光り、その光が消えると、もう魔女服のスカートになっていた。

 その後も二回、棍棒がカメラの視界を遮る場面があり、その度に手と靴、最後に帽子とマントといった具合に変化が起こる。

 一方、後追いの形になっている実体の方の『ウーノ』は、途切れること無く棍棒の演技を続け、棍棒を前方に突き出したり、棍棒の動きを止めて体を回転させるようなカメラの視界を遮る演技のタイミングで、手足、あるいは頭部が輝いて、制服から魔女服へと一瞬で着替えを終えた。


 演技の終わりを示す決めポーズを取ると、画面の中の『ウーノ』の手から棍棒が消え、『3』『2』とカウントダウンが始まった。

 曲の始まりを待つ『ウーノ』は新たなポーズを取ってその時を待つ。

 やや遅れて、実体の『ウーノ』から棍棒が着れたところで、画面の方ではプレイが始まった。

 ここからは画面と実体の両方を観察する余裕は無い。

 なにしろ、あまりプレイしたことが無いとはいえ、録画されているので無様な姿は見せたくなかった。

 基本的に、ボタンをタイミング良く押せばいいので、リズム感があればどうにかなるはずだし、一度プレイした時もそれほど悲惨なことにはなら無かったので、落ち着いてやれば大丈夫なはず……だと思う。

 というわけで、画面に流れてくるトランプの四種類のマーク(スート)に合わせて、同じ色のボタンを押すことに集中した。


 集中してプレイしたものの、押す間がある時は完璧に出来たのだが、同時押しや連打が混ざるとどうしてもミスが出てしまった。

 とはいえ、私は初見で対応しきれる程の反射神経はないので、練習を重ねるしかなさそうだなと反省する。

 その間に画面は次に映っていた。

「それじゃあ、排出するカードを選んで」

「あ、はい」

 結花ちゃんに画面を指ささされて指示を受けながらカードの選択に移った。

 カードの選択は、プレイ前に選んでいたコーデの他に、プレイ結果によって選べるコーデが増える。

「あ、これ、クールの子のアイドルドレスだ」

 選択肢の中に現れたドレスを見て声を上げた結花ちゃんに「クールの子?」と尋ねてみた。

「あー、えっと『アイドルガールズ』にはカテゴリー毎に、代表のアイドルの子がいて、これはクールの子が最初に手にするオリジナルドレスなの」

 口早に説明を終えた結花ちゃんに「なるほど」と答えて、画面を見る。

「じゃあ、折角だから、新しいカードを出してみても良いかな?」

「もちろん、リンちゃんのプレイなんだから、リンちゃんの思う通りにやれば良いのよ」

 結花ちゃんの太鼓判に頷いてから、ボタン操作をしてカードを作成してみた。

 画面に『今印刷してるよ! 少し待ってね!』とメッセージが表示される。

 カードの印刷は、本来の『アイガル』だとどのくらいかかるのかわからないのだけど、ここにある私の出現させた筐体ではほぼ一瞬だ。

 あっという間に印刷が終わり、カードの排出口から、1/3程顔を覗かせる。

 画面の表示が『印刷が終わったよ! カードを取り出してね!』というメッセージに変わり、私は排出口から抜き出した。

「これが、今回作ったカードです」

 私はそう言いながら取り出したばかりのカードを撮影しているカメラに見せる。

 排出したのは『テクノステージコーデ』のボトムスカードだ。

 コーデのスカートが大写しになっていて、その背景に『テクノステージコーデ』を着たウーノが描かれている。

 結花ちゃん敏夫ちゃんの説明によると、モデルになるキャラクターの衣装は印刷されたカードの振るコーデの姿になるらしく、チグハグな姿にはならないらしかった。

 そして、このカードを使えば、クリアした時に他のトップスやグローブ&ブーツ、アクセサリーも排出できるようになるらしい。

 よく出来てるなぁと思いながら、私は手の中のカードをマジマジと見詰めた。

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