拾壱之拾壱 検討会
「体を使うゲーム……ですか?」
舞花さんと東雲先輩のやりとりに、私は思わず口を挟んでしまった。
だが、舞花さんは気にした素振りも見せずに「それってどういうの?」と東雲先輩に問い掛ける。
「ゲーセンにある運転できるゲームとか、銃を撃ったり、剣で切ったり……」
質問に答える形で例を挙げる東雲先輩に、舞花さんは首を傾げながら「太鼓とか、ギターとか?」と指を立てながら尋ねた。
頷きながら「そういうヤツだな」と口にした東雲先輩から、私に視線を移した舞花さんは「舞花、太鼓のヤツやったことあるよ!」と手を挙げて教えてくれる。
舞花さんに「私も今上がったヤツのいくつか逸ったことがありますね」と返してから、私は東雲先輩に尋ねた。
「それじゃあ、そういった感じのゲームを出現させるって事ですか?」
「方向性としてはそうだな」
「「方向性?」」
タイミングを合わせたわけでは無いが、舞花さんと言葉だけでなく、首を傾げる姿までリンクしてしまう。
それを見た東雲先輩は慌てて口元を押さえて視線を逸らした。
まあ、客観的に考えて、急に私と舞花さんのシンクロが視界に入ったら、思わず噴き出してしまうのは仕方が無い。
私が同じ体馬なら噴き出してしまいそうな気がするので、敢えて追い打ちをかけないように東雲先輩の復帰を待つことにした。
「それで、それで?」
私が待ちの姿勢を見せたのに合わせて、待ってくれていた舞花さんが、普段通りに戻った東雲先輩に早速催促を始めた。
好奇心の強い舞花さんにとって、待ち時間は興味を高める時間だったらしい。
「普通にあるゲームをそのまま出して貰うのも意味があるとは思うんだが、凛花ならもっと凄いものが出せるんじゃないかと思って」
そう口にしながら東雲先輩が私をジッと見詰めてきた。
期待の籠もった視線に、私はどうにか応えたいという気持ちで一杯になる。
「東雲先輩の中には何かイメージがあるんじゃないですか?」
私の問い掛けに東雲先輩は「そうだな……少し恥ずかしいんだが、もしできるなら剣術の練習が出来るものが良いかなと思ってる」と答えてくれた。
なるほどと思いつつ、気になったことを聞いてみる。
「あの、東雲先輩……今の話の中に、何か恥ずかしい要素ありました?」
どちらかというと、天下五剣の法が少しアレかなーと言う気がしていたので尋ねたのだけど、東雲先輩は「うっ」と言葉を詰まらせた。
チラリと見た舞花さんは随分とワクワクした目で東雲先輩を見詰めていたので、これは躱せないだろうなと、切っ掛けを作ってしまったことを申し訳なく感じてしまう。
流石に放置は出来ないだろうと思い、何か声を掛けようと決心したのだが、私の決断は少し遅かった。
東雲先輩は気まずそうに視線を泳がせ他モノの、長く息を吐き出す問いを決して話し出す。
「実はオレ、剣術を学んだことも練習したこともないんだよ」
「ん?」
東雲先輩が何を告白したのか、理解が追いつかず、そのまましばらく固まってしまった。
「えーと、つまり、東雲先輩は、剣術を練習できるような仕組みを生み出したいって事ですね」
「……そうなる、な」
私の確認の言葉に、東雲先輩は少し頬を染めて頷いた。
気恥ずかしそうな態度は、普段の冷静な様子と違ってなかなか可愛く思える。
とはいえ、それを指摘するのは羞恥心をかきたてるだけなので、触れないことにした。
「リンちゃん、リンちゃん」
「なに、舞花さん?」
「顔ニヤニヤしてるよ」
「えっ!?」
舞花さんにこっそりと耳打ちして自分の表情を教えられた私は慌てて口元を隠す。
が、時既に遅かったらしく、考えているままは伝わらなかったとしても、微笑ましく思ったことは伝わってしまったらしく、東雲先輩は赤みを増していた。
これは余計なことを言うと、更に状況がおかしくなるなと判断して、私は強めに咳払いをする。
「と、とにかく、剣術の練習になるような仕組みを考えないといけないですね!」
私の発言に、東雲先輩は「そ、そうだな」と同意してくれた。
とはいえ、具体的にどうするかというアイデアがあるわけでは無い。
なので素直に東雲先輩に聞いてみることにした。
「それで、具体的にどういうことが出来れば、剣術の練習になると思いますか?」
私の質問に対して、東雲先輩は両手で刀を握るような素振りを見せる。
その姿勢のままで「まず、こういう風に何も持っていないのでは勉強というか、訓練になら無いから、重さや握った感覚は体感したいな」と要望を口にした。
「剣とか銃とかのゲームでも、ちゃんと持てるのあるもんね」
舞花さんの言葉に東雲先輩は「そうだな。あんな感じで実際に刀を持てた方がいい気はするな」と頷く。
「実践経験に繋がるように……ですよね」
だとすると、ゲームセンターに置いてあるものよりも、アミューズメントパークなどにありそうな専用のモノの方が向いてるんじゃないかと思えてきた。
そうなると、もの凄いサイズのモノを出現させないといけないのでは考え始めたところで、舞花さんが私の袖を引っ張った。
「ねぇねぇ、リンちゃん。舞花思い付いたんだけど!」




