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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾章 遊戯創造
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拾之肆拾陸 変身解除

「ごめんね、お姉ちゃん!」

 燥いでる途中で動揺する結花さんに気が付いた舞花さんは、そこで自分の暴走に気が付いた。

 まったく無意識で口走った『お姉ちゃんはサンディ』発言が、結花さんを困らせたのだと気付くと、慌てて「思い込んでるわけじゃないから!」と訴える。

 その言葉で安堵した結花さんは、今現在、舞花さんに謝り倒されていた。

「もうわかったから、吃驚しただけよ」

 どこか照れくさそうな表情で舞花さんにそう告げると、結花さんはこの話はここまでと打ちきってしまう。

「それよりも、早速、リンちゃんの『アイガル』でどうなるかを試してみたいんだけど……変身解除しても良いかしら、しーちゃん」

 結花さんの問い掛けに、志緒さんは笑顔で「もちろんダメー」とダメ出しをしてきた。

 タブレットと付属のペンを手に「スケッチしてからね!」と志緒さんは訴える。

 対して、結花さんは「じゃあ『アル』の変身解除はしても良いかしら?」と動じることなく質問を切り替えた。

「いいけど、私も見学するよ?」

「もちろん良いわよ、ね、リンちゃん」

 急に結花さんに話を振られて、少し慌ててしまったものの「う、うん」と頷くことには成功する。

「それじゃあ、早速、変身解除して貰いましょ!」

 ウキウキとした声でそう言うと、志緒さんは『アル』の立っている机にかぶりついた。


「『アル』変身解除してくれる?」

 私がそうお願いしうると『アル』は同意を示すように頷いて、動きを止めた。

 これまでに、舞花さん、結花さん、志緒さん、那美さんとお願いしても、私と同じ頷いて動きを止めているので、変身解除の条件を満たしていない事を確認した私達は頷き合う。

「『スーちゃん』にお願いしないと、変身も解除も出来ないって事だよね?」

 皆の考えが一致しているのかを確認するように舞花さんが問い掛けてきた。

「多分、舞花さんの中に、ミルキィ・チェンジは『ステラ』の合図で始めるっていうイメージがあると思うんですよ」

 私の発言に対して、那美さんが頷きながら「だから『スーちゃん』が合図しないと変身できなかったワケよねぇ~」と相槌を打ってくれる。

「じゃあ、変身解除は? 舞花、別に変身解除に『スーちゃん』の合図が必要って考えたことないよ?」

 舞花さんの疑問に対して「えーと、私の能力は、考えていないこと、能力を使う人がイメージできていないことは、辻褄が合うように自動で補われるみたいなんですよ」と返したものの、言葉選びが悪かったのか、首を傾げられてしまった。

 そんな不甲斐ない私に代わって、結花さんが「マイが考えていないところは、おかしくならないように、リンちゃんの能力が代わりに考えてくれるって事よ」と説明してくれる。

 舞花さんはソロで納得がいったのか、こちらに向いて微笑んだ。

「リンちゃんが助けてくれたって事だね! ありがとう、リンちゃん!」

 真っ直ぐな感謝の言葉に、私はつい早口になりながら「いや、単純に舞花さんが変身には『ステラ』の合図って言うのを反映して、変身も解除も『ステラ』の合図が必要になっただけで、その、私は感謝されるようなこと何もしてないから!!」と一息で言い切る。

「お姉ちゃんやしーちゃん、なっちゃんも、舞花が出来ないところを助けてくれるけど、それと同じ事でしょう? だったら、ありがとうだよね?」

 舞花さんは私の話に対して、そう切り替えして笑みを深めた。

 その感謝の笑みを見ているのが無性に恥ずかしくて、私は「ともかく、変身解除が出来るか、実験しましょう!」と『アル』に視線を向ける。

 クスリと笑うような声がした後で、舞花さんはオーダを出した。

「『スーちゃん』にお願い。『アル』に変身を解除するように言って」

『まかせて!』

 ステラは舞花さんのオーダーにそう答えると、机の上で動きを止めたままの『アル』に向かって指示を出す。

『リンちゃん、ミルキィ・チェンジを解除して!』

 私がそういう言い回しになるんだと思った瞬間、動きをピタリと止めていた『アル』が動き出した。

 手にした杖を大きく空に掲げると、杖の先端から白い光が放たれる。

 光の強さに目を細めた一瞬で、ミル・セレニティの姿はかき消えていた。

 驚く間もなく、意識なく倒れていた『アル』がゆっくりと起き上がる。

 延々と増え続ける疑惑は解消されたなと思いながら制服姿に戻った『アル』を見詰めていると、志緒さんが「これはあれですね」と口にした。

 どういうことだろうと思いながら振り返ると、私の思いを察していたのであろう志緒さんは、真面目な顔で話し出す。

「セレニィじゃないんですけど、アニメ本編で、変身解除して元の姿に戻るシーンがあるんですけど、その時一瞬画面が光で白くなるんですよ。そのイメージが採用されたのかなって思って」

 理路整然とした志緒さんの説明に私は素直に「なるほど」と感心しながら頷いた。

 そんな私に、舞花さんは「やっぱり、リンちゃんはスゴイ!」と抱き付いてくる。

「何ですか、急に!?」

 驚く私に向かって、体を離した舞花さんは「だって! アニメの設定資料にも書かれてないことをリンちゃんの能力は表現したって事だよね!」と興奮気味に私に問い掛けてきた。

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