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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾章 遊戯創造
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拾之肆拾伍 ミル・サンディ

 結花さんの人形の『ミルキィ・チェンジ』の掛け声と共に、杖から七色に輝くオーロラを思わせる布状の魔力が、マントのように大きく広がり、その体を包み込んだ。

 マント状の魔力は、体をすっぽりと包み込むと球状変化したせいで、一瞬顔と丸い体だけの雪だるまのようなシルエットへと変わる。

 そこから球状の体部分がもの凄い勢いで小さくなっていき、収縮した事で包み込めなくなった脚が、腕が球体から外へと飛び出した。

 飛び出した手足は、元々のラインに沿うようにピッタリとマント状の魔力と同じ七色に輝く光を纏っている。

 更に球体の収束は進み、更に体のラインが明確になっていった。

 首から下が七色の光によって包まれると、それを切っ掛けにしたように杖をクルクルと回転させながら結花さんの人形が動き出す。

 最初に杖の先が触れた胸は、触れた場所を起点に白い光が放たれ、七色の光が白一色に塗り替えられていった。

 丁度、お腹から上、肩までが包まれると、光は輝きを散らし白い上衣へと姿を変える。

 続いて、杖を頭の上で回転させると、その軌跡は円形の白い光のラインになった。

 識者の指揮棒のように杖を振るって、出現したばかりの光の輪を足下まで下げると、結花さんの人形は片足でちょんとジャンプして、輪の中心に立つ。

 直後、杖を振るうと、光の輪は脚を通り抜けお腹の当たりまで移動し、キュッと輪を狭めた。

 体に合わせるように変形した光の輪が、ピタリとお腹から腰にかけて張り付くと、白い光がブワッと溢れ出す。

 あふれ出た白い光は、徐々に布のような形に変化して、膝上までを隠す程広がると真っ白な折り目もない縫い目もないスカートへと変貌した。

 変化更に続き、現れたばかりの白いスカートの下にもう一枚光の布が出現し、白いスカートよりもやや長く伸びたところで、今度はヒダが七色になっているプリーツスカートへと姿を変える。

 結花さんの人形は膝を折るようにして、右足を太ももに触れさせると、そのくるぶしを杖で叩いた。

 杖が触れたくるぶしを起点に七色の光が白一色に変わり、ブーツの形状をとると、光が弾ける。

 出現した白いブーツは太ももまで長さがあって、縁取りをするように七色のラインが出現し、スカートと縁の間にある肌は肌色を取り戻した。

 くるりと杖を回転させた結花さんの人形は、跳ね上げる脚を左に切り替え、同様に左のくるぶしに杖を当てる。

 左足がブーツに包まれ、スカートと縁の間の肌が肌色に変わると、今度は杖の先で左手の手首に触れた。

 左手首を発した白い光は、腕の形の沿って広がり、肘の上まで覆い尽くすと白いグローブへと変化する。

 グローブの縁には七色のラインが現れ、白い光は腕を登り肩から二の腕を白一色で塗りつぶした。

 上腕を包んだ光が弾ければそこには、元の肌色が顔を出す。

 再びくるりと杖を回転させた結花さんの人形は、バトンのように回転させたまま、躊躇なく上へ投げた。

 寸分の狂いもなく、待ち構えた左手で杖を受け止めると、そのまま右の手首を先端で触れる。

 右手でも左手の変化をなぞりように、白いグローブが出現し、縁が七色にいどろられ、肩から二の腕に肌色が戻った。

 再び放り投げた回転する杖を、右手でキャッチすると、左、右の順で肩を杖の先端で叩く。

 触れた肩を起点に、光が溢れ出しスカートにかからない程度の長さまで伸びていった。

 さっと、左右に杖を振った直後、マント状に広がった光は輝きを失い、白地の布へと姿を変える。

 マントは全面白でオレンジの魔法文字が縁に刻まれていた。

 結花さんの人形が動くとマントは揺れ動き、裏地の七色が顔を覗かせる。

 首から下が魔女ミル・サンディの衣装へと替わった結花さんの人形は杖を髪に当てた。

 ブワッとボリュームを増した髪はポニーテールへと結ばれるが、勢いが強いのか縛られた先でひまわりのような形に広がる。

 髪色はオレンジへと変わり、にょっきりと円錐状の白い三角帽子が姿を見せた。

 ニッと笑みを見せた結花さんの人形は『命育む太陽の魔力を放つ魔女ミル・サンディ』と名乗りを上げる。

 続けて、杖で左右の頬に、唇に触れると、頬は赤みを増し唇はオレンジを帯びた赤へと口紅を引いたように塗り変わった。

 目を閉じ光を散らしながら杖を振るう。

 現れた光は宙を舞って、左右の耳に触れ、金色に輝く太陽を模した髪飾りへと姿を変えた。

 グンと杖を持った右手を空高く掲げて、左手を握りこぶしにして腰に当てた結花さんの人形は足を大きく開くと、勢いよく目を開ける。

『光溢れる庭へ、お招きいたしましょう』

 結花さんの人形が見せたどこか勝ち誇ったように見える強気な笑顔が、立ち姿とセリフによく似合っていた。

 一度『アル』の変身を見ていたことで耐性が出来ていたのあって、全員が変身から間を置かず拍手を贈る。

 目を輝かせながら舞花さんは「スゴイ、お姉ちゃんは、ミル・サンディだったんだ!!」と嬉しそうに飛び跳ねた。

 一方、名前を出された結花さんは「え、ちがっ」と焦り顔を浮かべる。

 が、盛り上がってる妹に水をさせない結花さんは、オロオロしながらも舞花さんが落ち着くのを待ちしか出来なかった。

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