拾之参拾伍 初プレイ
画面に大写しになった『ウーノ』がパチンと右目でウィンクをすると、目元から光が散って、右耳に流れフェアリーをもしたイヤリングが現れた。
次いで左目と左耳でも同じ演出がされる。
左のイヤリングが輝いた後で、再び顔の正面にカメラが移ると『ウーノ』は目を閉じた。
両手をそれぞれの目の上に重ねた後で、横にスライドさせると、その軌跡に沿うように閉じられた瞼に色が入る。
次いで口ぶりが大写しになると、右手の中指と人差し指がが左の唇の端に添えられた。
二本の指が唇をなぞって右の頬から離れると、今度は唇に濃いめのピンクが輝く。
更にポンと左右両方の頬に、それぞれの手が置かれ、離れると共に頬かオレンジに近い朱色に染まった。
最後に全身が映し出されると、天高く上げられた右手に、宙を舞っていたリボンの持ち手が上空から勢いよく落ちてきて収まる。
持ち手を掴んだ『ウーノ』は、大きく腕を動かしてリボンをらせん状に回転させた後で、決めポーズが入り衣装チェンジが終了した。
「はっ」
思わず『ウーノ』の衣装チェンジに見入ってしまっていた私は、実体の方がどう変化しているのか、確認していなかったことに気付いた。
慌てて視線を向けたが、既に実体の『ウーノ』もアイドル衣装で決めポーズをしている。
違いと言えば、リボンを手にしていないことくらいだ。
これは後で実体の変化も確認しなければと思いつつ、画面の方に視線を戻す。
画面には『チャレンジするステージを選んでね』という文字と共に、ステージの名前と難易度を示す星の描かれたアイコンが並んでいた。
志緒さんは「初めてなので、一番難易度が低いのでやってみますね」と宣言してボタンを押すと、すぐに画面が切り替わる。
選んだステージアイコンと同じステージが出現し、その中央に現れた『ウーノ』が大きく手を振った。
今度は見逃さないように、実体の『ウーノ』を見てみると、同じように腕を振った後で、曲の始まりを持つような姿勢で、動きを止める。
間もなく曲が流れ出した。
画面に表示されるマークに一致したボタンを押す、ここだけ聞くと単純なゲームだけど、長押しだったり、連打だったり、複数のボタンの同時押しだったりと、押し方のヴァリエーションは豊富だ。
しかも、曲に合わせてボタンを押すタイミングが決められているので、決して簡単というわけではなさそうに見える。
それを志緒さんはまるで機械のように正確にボタンを押し、開始からノーミスどころか、最上級の『GREAT』判定だけを重ねていた。
志緒さんのノーミスプレイに目を奪われかけてていた私だったが、画面ではなく、実体の『ウーノ』もチェックしなければと、途中で気が付いて、慌てて視線を向ける。
テーブルの上で踊る実体の『ウーノ』はきちんとステップを踏んでダンスを決めていた。
画面上の『ウーノ』は様々にアングルが変わったり、志緒さんのプレイによって、花火が散ったり、光線が飛ぶような演出があって、超人的なダンスに見えたのだが、実体の方を見ると踊れそうな気がしてくる。
それでも、時々入る両足ジャンプはなかなか難易度が高そうで、この先に待っている自分たち自身をモデルにしたプレイだとどうなるのか気になってきた。
踊っている『ウーノ』は私の分身とはいえ、人形なので体を動かしているのが筋肉なのか、ロボットのようにモーターなのか、それとも未知のエネルギーなのか、それすらも判明していないので、自分に当てはめてイマできているから、自分も出来るとはなら無いと思う。
一方で、私の場合、知らずに羽が生えてきた過去もあるので、出来てしまいそうだなと思ってしまった。
複数の声が重なった「「おお~~~」」という歓声に、パチパチという拍手が重なった。
テーブルの上では『ウーノ』が決めポーズを決めていて、画面上ではそれに加えて『ステージクリア』の文字と共に、獲得ポイントが表示されている。
結花さんの興奮具合から見て、かなりの高得点のようで、どこか志緒さんの得意げな反応が微笑ましかった。
そんなクリアの余韻を挟んだ後で、志緒さんが皆に向けて「それじゃあ、カードを作るね」と告げる。
私たちがそれぞれ頷くと、志緒さんはボタンを押して操作を始めた。
まず、四つあるカードの中から一つを選ぶ。
志緒さんと結花さんの解説によると、トップス、ボトムス、グローブ&シューズ、アクセサリ&メイクアップの四種類で、それぞれを図案化したものがカードに描かれていた。
四つのアイコンの内、スカートだと思われる描かれたカードを選ぶと選択肢が現れる。
表示されたのは『カラーを変える』『コーデを変える』の二種類だ。
カラー変更は今来ている衣装の色違いを選べるようになっていて、、モデルである『ウーノ』のスカートがピンクベースから、水色ベース、黄色ベースと、元の色を含めて三種類選べるようになっている。
二人の解説によると、カラーバリエーションはコーデによって色の数が違っている上に、色が変わるとデザインまで変わるものもあるそうだ。
コーデを変えるの方は、文字通り違うコーデの衣装に替わる。
制服のようなプリーツスカートやくるぶし丈のパンツ、太ももが見えるショートパンツと、ボトムスはスカート限定というわけではなかった。




