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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾章 遊戯創造
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拾之参拾参 プレイ開始

「まあ、仕方ないわねー、じゃあ『コリンちゃん』で」

 最初のおっぱいちゃんから始まり、胸や母に関する名前を経由して、ヴァイアの時の候補だった『コリンちゃん』に落ち着くまで、それなりの時間を要してしまった。

 決めてる最中は私が否定する度に不満そうな表情を覗かせていた那美さんだったが、私がぐったりし『コリンちゃん』に決まった直後には、ツヤツヤとした笑顔を浮かべたのである。

 完全に遊ばれていたとわかる状況に、私は苦笑するしかなかったが、那美さんが満足げだったので、それで良しとした。


 那美さんの人形の名前が決まったこともあり、志緒さんや結花さんのソワソワが増した気がするので、さっさと『ウーノ』のテストプレイに移ることにした。

「プレイは動画で勉強しましたけど、どの程度再現できてるかわからないので、チェックをお任せしますね」

 私の言葉に、志緒さんと結花さんは静香に頷く。

 視線を那美さんに移せば、笑顔と共に「まかせてぇ~」と胸を張った。

 次いで舞花さんが「がんばる!」と寮の拳を握って、力の入り具合を示してくれる。

「じゃあ、志緒さん、結花さん、お任せしますね」

 私はそう告げてから席を立って、ゲーム筐体の一部を模した機械の前を開けた。

「じゃあ、早速、このカードで試すね」

 志緒さんの制限に、結花さんが無言で頷く。

 その手に収まっているのは、さっきテストで排出させた『フェアリーステージコーデ』の四枚だ。

 都度、頷き合いながら志緒さんと結花さんは、テストプレイを慎重に進めていく。

 最初のコーテーはゲームモードの選択だった。

 当初は操作パネルとカード排出部分だけで十分だと思われていたのだけど、ゲーム開始までの選択などを進めるには画面が必要ということで、半透明なプラ板のような部品が追加され、なんとここにゲームのコンソールが表示される。

 多分技術的にはスゴいことな気がするけど、千度する志緒さんが出来て当然みたいな様子な上に、事実確認できそうな花子さんや月子先生もいないので、出来てるんだから、出来るんだろうなという納得をすることにした。


 ゲームモードはリアルの筐体をベースにしているので、一人で遊ぶ、二人で遊ぶ、カードを購入するの選択肢があり、そこから選ぶ形になっていた。

 この中で『二人で遊ぶ』場合は、プレイキャラクターが二人必要になるので、まず先に『一人で遊ぶ』を選ぶ。

 三つ目の選択肢である『カードを購入する』は、1枚か10枚を選んで『アイガルカード』を購入するモードで、ゲームプレイがないので今回は選択しない……というか、志緒さん、結花さんに確認してないので、この機能が再現されているかどうか、私は知らなかった。

 ともあれ、現時点での選択肢は『一人で遊ぶ』しかないので、志緒さんは決定ボタンを押して先に進める。

 すると今度はキャラクター選択画面に移った。

 プレイ動画だと、左側に全身の立ち姿が写り、右側に四角いアイコンが並べられている。

 アイコンにはキャラクターの顔のアップが描かれていて、手元のボタンで左右上下を移動してキャラクターを選ぶ仕組みだ。

 私たちのゲームでもそこは再現されていて、アイコンには顔写真が並んでいる。

 が、ほぼ私の顔なので、思わず遠い目になってしまった。


 現実逃避していても仕方が無いので、私は頭を振って気持ちを切り替えると、画面を確認した。

 正直同じ顔が並んでいるのに、どうやって見分けるのかと思ったが、左側に表示されている立ち姿の下にポップな丸文字で名前が掲載されている。

 志緒さんが検証を兼ねてボタンを操作すると、達絵が次々と変わり、名前の表記も伴って変化していた。

 私の分身は『卯木凛花ウーノ』『卯木凛花アル』と言った具合で、フルネームに括弧書きで先ほど決めた呼称が記載されている。

 私の分身五種に、ヴァイアの『きらり』『ぴかり』『リンリン』、そして志緒さんの分身である『葛原志緒』と表示されて、右下までいくと、選択しているキャラクターを示す1Pと描かれたピンクの四角の枠が左上に移動した。

 上から下、下から上、右から左、左から右と、1Pと書かれたピンクの四角枠が飛ぶのを確認したところで、志緒さんが『ウーノ』に選択を戻す。

「じゃあ、次、行くね」

 志緒さんはそう言うと、決定ボタンを押した。

 すると、画面の中で選択された『ウーノ』が大きく右腕を振って見せる。

 同じ行動を、テーブルの上に立っている『ウーノ』もとっていた。

 実態の動きが映し出されているのか、あるいは動きがリンしているだけで、画面の映像が本体を移したモノでないのかは判断が付かない。

 ここは要検証だなと思い、心の中でメモしておいた。

 一方、画面の中では『衣装を読み込んでね!』と先ほどの名前と同じフォントでメッセージが表示される。

 どこか緊張した面持ちで、志緒さんと結花さんが頷き合って、カードを一枚、筐体の操作パネルの真ん中にある同サイズの四角の上に重ねた。

 この箇所は半透明になっていて実機の方はカードリーダーが搭載されていて、これによってカードのQRコードを読み取って認識する仕組みらしい。

 そこが再現できているか、排出されたカードは正しく認識されるのか、それが反映できるかは、肝といえる部分なので、自然都民あの意識が集中し、場の緊張は一気に高まった。

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