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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第拾章 遊戯創造
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拾之弐拾肆 合流

「なるほど」

 那美さんの意見に対する私の感想は、まさにその四文字だった。

 いきなり私自身がキャラクターの代わりをするのは難しいだろうから、その練習を兼ねて『リンリン』で模擬ゲームを組み上げてみようというのである。

 確かに練習にもなるし、ヴァイアである『リンリン』も、着せ替えのために出現させる衣装も、カードをセットして着せ替えさせる筐体も、私が出現させるのだ。

 最早原形を留めていないような気もするが、それらは全て『分身』と『変化』の産物なので、人間が参加する前にそれらで検証するのは、安全面でも優秀なアイデアだと思う。

 だが、そんな那美さんのアイデアに対して、意外にも志緒さんが消極的だった。

 なにやら「リンちゃんがよかったけど、確かに『リンリン』は分身だし……」とブツブツ言っていたが、理解してはいけないと本能が訴えてきて、私はどうするかの岐路に立たされる。

 だが、選択をする直前に、那美さんの囁きで気持ちを決めた志緒さんが「先に『リンリン』でやってみよう!」と言ってくれたので、この計画は実行に移されることとなった。


 それぞれ相棒のヴァイアの検証をそれなりに重ねたところで、こちらの同行が気になった舞花さんと結花さんがこちらに合流してきた。

「なになに~?」

 そう言いながら舞花さんが、私、志緒さん、那美さんで囲んでいる机をのぞき込んでくる。 

「次の実験の準備らしいわ!」

 先にこちらに来ていた結花さんが、舞花さんに応えて、自らも机をのぞき込んだ。

 私たちの手元では、まずは『アイガル』のゲームがどういうものか確認するために、動画投稿サイトにアップされているゲームの遊んでる姿の動画を流れている。

「あ、『アイガル』だ!」

 のぞき込んだ舞花さんが、見てすぐに作品タイトルを口にしたので、私は「知ってるんですか?」と尋ねてみた。

 すると、舞花さんは「うん、舞花もカード持ってるよ! お姉ちゃんも持ってるよね?」と話を結花さんに振る。

「ええ、ユイはクール系のカードが多いわ!」

「舞花はポップ系が多いかな~」

「クールに、ポップ?」

 二人の言葉にストレートに反応してしまった結果、そこから双子の説明ラッシュが始まってしまった。


「なるほど、キュート、クール、ポップ、セクシーの四グループがあるんですね」

「そういう事ね」

「リンちゃん、飲み込みが早い! さっすが~」

 結花さん、舞花さんの順に頷いて貰えた私は、どうにか間違えなかったことに安堵した。

 双子の話によれば、カードの種類というかカテゴリには様々な分け方があるらしい。

 その中で一番大きなくくりが、今上げた四つの属性によるもので、そのものズバリコーデの雰囲気というかデザインコンセプトになっているとのことだ。

 さらにジャンルというか手五リームもあるらしい。

 ジャンルはロリィタ、カジュアル、フォーマルなどの種類があって、ロリィタのキュートはクラロリ、クールだとゴスロリ、セクシーならパンクロリ、ポップなら夢ロリと言った具合で分かれるらしいが、言葉だけは頭に入れたものの区別がつく自信は全くなかった。

 ただ、救いとしてカードに、マークがついているようなので、そちらを覚えれば凌ぐことは出来そうなのが救いである。

「それでー、なんで『アイガル』やってるとこ、みてるの?」

 首を傾げながら尋ねる舞花さんに対して、志緒さんが「ふっふっふっふっふ」と怪しげな笑いを始めた。

「しーちゃん?」

 舞花さんが少し戸惑いながら名前を呼ぶと、当人である志緒さんは「簡単に言うと、リンちゃんの能力を使って、『アイガル』のゲームを出現させられないかと実験するつもりなんだよ!」と何故か自慢げに胸を張る。

「え~~~~」

 舞花さんは驚きの声を上げるに留まったのだが、意外にも結花さんの方がすぐに食いついた。

 私にグッと近づいて、私の顔をのぞき込んだ結花さんは、真剣な表情で「本当なの、リンちゃん!」と尋ねてくる。

「はい」

 いろいろ頭に浮かんだ言葉はあったものの、シンプルなものが良いような気がして、一言だけ口にして頷いた。

 それだけで、結花さんの目が輝く。

 私が思った以上に、結花さんは『アイガル』が好きなようだ。

 そんな結花さんの表情は、突然切り出された志緒さんの「ただね、そのまま再現するわけじゃないの」という発言で曇ってしまう。

 が、それも一瞬のことに過ぎなかった。

「私たちがキャラクターの代わりになって、コスチュームチェンジできるようになるのを目指すの!」

 志緒さんの言葉に、舞花さんが「私たちがアイドルするって事!?」と大きな声を出す。

 一方、結花さんは私を見て「あの、リンちゃん、もしかして登場するキャラに変身できたりもするのかな?」と真剣な表情で尋ねてきた。

 私は結花さんの問い掛けに対して『なるほど』と思う。

 志緒さんの話に流されるまま決めていたので、全然考えが及んでいなかったけど、ゲームの再現、イコール、着せ替えゲームだと思い込んでいたけど、そもそもゲーム自体に自分自身がクリエイトしたオリジナルのアイドルを育成する要素もあるのだ。

 着せ替えだけでなく、そちらに興味があるという子もいて当然で、実際に結花さんがそのタイプなんだと思う。

 自分自身が変身するという要素は、分身体を操って盛るという将来達成したい目標の練習になると思い「未だわからないけど、可能なら挑戦してみたい機能だね」と結花さんに返した。

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