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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第玖章 驚愕開発
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玖之肆拾参 考察

「しーちゃん、どうぞ」

 那美さんにそう促されて、志緒さんは深く頷いた。

 そこから大きく口を開いて、たくさんの空気を吸い込んで吐き出す。

 深い深呼吸のお陰で気持ちが整ったのか、志緒さんはゆっくりと話し出した。

「可能性はいくつか考えられると思うんだけど、まずは一つ目」

 志緒さんの言葉に、私と那美さんはほぼ同時に頷く。

「『シャー君』や『リンリン』が検索して、動き方を学習して教えた……というか、組み込んだ可能性ががあるんじゃ無いかと思う」

 言葉の選択に悩みながらも、志緒さんの一つ目の仮説が提言された。

 これは要するに、犯人『ヴァイア』説である。

 二人の『動かして』というオーダーを実行するに当たり、ぬいぐるみにふさわしい動きを情報収集で見出して、プログラムしたという仮説だ。

 十分に納得出来る内容だったが、どうもこの案は本命ではなかったようで、すぐにこの可能性を否定するような要素が、志緒さんの口から上げられる。

「ただ、ぬいぐるみが動いた後で『シャー君』と『リンリン』のログを調べてみたんだけどね、私やなっちゃんのオーダーは記録されているんだけど、直後に『ぬいぐるみの動作を実行』となっていて、検索をしたり、プログラムを構築したような痕跡は見られなかったの」

 志緒さんの言葉に私は思い浮かんだままを言葉にしてみた。

「検索やプログラムが『ぬいぐるみの動作』の一環になってたから、ログにないって事は?」

 私の言葉に志緒さんは「その可能性()あると思う」と頷く。

 志緒さんの言葉に軽く違和感を覚えたが、そこについて考えるよりも先に那美さんが口を開いた。

「でもぉ、お願いしてからぁ、クロロン達はぁ、すぐ動いたよねぇ」

 私が「最初からですか?」と尋ねると、那美さんは目を閉じる。

 改めて振り返ってくれたのだろう那美さんは確信を込めた頷きと共に「うん、早かったと思ぅ」と言い切った。

 那美さんの話から、私は成立しうる可能性を言葉にする。

「一瞬で検索してプログラムを組んだ」

 そこまで言ってから、私は苦笑を浮かべて「……わけないよね?」と続けた。

 那美さんは困り顔で「そうねぇ」と頷く。

 一方、志緒さんは「もしかすると『オリジン』なら出来るかも知れませんけど……」と口にしつつ私を上目遣いで見た。

 そこで志緒さんは言葉を切ってしまったが、恐らく『シャー君』や『リンリン』では無理と続くのだろう。

 この中で電子機器に詳しい志緒さんが、そう判断する以上、スペック的には無理ということだ。

 と、ここで、一つ志緒さんが知らないかも知れない情報を思い出す。

「そう言えばなんだけど……」

「ん? なに?」

「昨日、同期っていうのをしたんだよ。その……『オリジン』と『シャー君』と『リンリン』で!」

 志緒さんは頷きながら「同期したのは知ってる」と返してきた。

 その上で、志緒さんは「リンちゃんは同期したことで『オリジン』の処理能力を利用できたんじゃないかって考えてるんだよね?」と口にして首を傾げる。

「え、あ、うん?」

 正直、そこまで考えていなかったので曖昧になってしまったが、よく考えるとこれは確認しなければならない内容だと思って発言を付け足した。

「その『シャー君』と『リンリン』が同期を利用して、その……並列作業? それで検索とプログラムを『オリジン』に任せられるんじゃないかと思う……んだけど……」

 探り探りになせいで、少し辿々しくなってしまったが、それでもどうにかまとめられたと思う。

 そんな渾身の私の質問に対して、志緒さんは「そうだね」と頷いてから、今ある情報を加えて説明してくれた。

「まず、同期については『シャー君』と『リンリン』にログがあったから知っているんだけど、これって、私となっちゃんが『ぬいぐるみを動かして』ってお願いした後なんだ」

 志緒さんの言葉に、私は自分の勘違いに気が付く。

 月子先生は『同期』の後で『那美さんと志緒さんがぬいぐるみを動かした』と聞いた。

 だから、時系列は同期が先だと思っていたのだけど、実際は逆だったらしい。

「ん~~『同期』の方が後なら『シャー君』と『リンリン』が『オリジン』の処理能力を借りた可能性は無くなっちゃうか……」

 私の発言に対して、志緒さんは「ログに残っていないだけで、通信をしたり、計算力を借りた入りした可能性が、全くのゼロってワケじゃないけど……」と語尾に向かうにつれて声を小さくしながら申し訳なさそうに口にした。

 この態度からしても『オリジン』のスペックを借りた説はかなり無いのだろう。

「じゃあ、自分で調べて、自分でプログラムした可能性はほとんど無いね」

「うん」

 私の発言に対して、志緒さんが申し訳なさそうに頷いた。

 そこで私と志緒さんは黙り込んでしまったのだけど、那美さんが「ということはぁ、しーちゃんの考えた二つ目の可能性が大きいって事かしらぁ?」と切り出す。

 那美さんの明るめの声と共に振られた問い掛けに、志緒さんの表情が変わった。

「私が考えた二つ目はね。元々用意されていた可能性だよ!」

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