表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第玖章 驚愕開発
257/814

玖之参拾参 同期

「なかなか優秀な成果じゃないか、素晴らしい」

 月子先生の拍手が非常に白々しく思えてしまった。

「どうも」

 そのせいで淡泊になってしまった私の反応に、月子教授は「もっと、年相応に喜んでくれてもいいんだがね」と言い出す。

「年相応というのなら、この反応で正しいともいますけど?」

 私の返しに、月子先生はとてもつまらなさそうに「内面じゃなく外見に合わせたまえ」と言い放った。

「外見と違う内面というのは、ギャップを生んで面白いかも知れないが、その裏で期待を裏切っているのだということを忘れてはいけないよ」

「……それは……」

「君、期待を裏切るのは嫌だろう?」

 ズバリと言われてしまった私は「うぐっ」と言葉に詰まってしまう。

 そんな私に、月子先生は更なる言葉を重ねてきた。

「何も身も心も少女になれと言っているわけじゃあないさ……ただ、見た目に合った少女らしい振る舞いや演技が出来た方が、対応できる幅は広がるだろう?」

「……それは、そうかもしれませんが……」

「演技だと思えば、恥じらいをそれほど感じなくなるかも知れないよ……まあ、君に向いているかどうかは君が実践する意外に方法はないけどね」

 月子先生はそう言い終えたところで、ピタリと動きを止める。

 不可解な月子先生の動きに不安を覚えて、慌てて声を掛けた。

「どうしました?」

 私の問い掛けに、月子先生は、唸ったままで反応してくれない。

 思索に入ると自分の世界に没入するのは、割と遭遇しているので、私はモヤモヤした気持ちのまま終わりを待つことにした。


「いろいろ試してみたいんだが、良いかね」

「ふぇっ!」

 待っている間にウトウトしてしまっていた私は、椅子から転げ落ちるようになりながらも、どうにか床に転がらずに起きられた。

「ああ、済まない。待たせすぎたね」

 私の醜態を冷静に見ながら、月子先生は謝罪してくる。

 揶揄(からか)う様子がまったく見えないのは、研究というか検証に意識が大きく傾いてるからだと思われた。

 なので、私も気持ちを切り替える。

「試すというと、何をですか?」

 私の問い掛けに、月子先生は「まずは、この『オリジン』を他のヴァイア……凛華君が作り出したヴァイアと同期できるかを試してみたい」と口にした。

 ヴァイアについて言い直したのは、単純にヴァイアだと、市販されている『SHカンパニー』の商品全部を含みかねないので、私の出現させた『オリジン』『シャー君』『リンリン』の三機に限った話だと明確にするためだと思う。

 些細な誤解を挟まないように念を押しての行動に、月子先生がかなり本気ということが感じ取れた。

「その……同期させるとどうなるんですか?」

 私の問い掛けに月子先生は真面目な顔で「三機の間で、情報を共有したり、相互通信をすることで、バックアップを取り合える体制がまず構築できるんじゃないかと考えている」と人差し指を一本立てた。

「次に、相互監視……というと、言葉の印象がよくないが、要は他の機体の状態を相互に認識し合うことでそれぞれの現状をヴァイアのある場所それぞれで認識出来るようになる可能性だね」

 立てられた中指と共に語られた月子先生の言葉に、知識が追いついていない私は頷くしかない。

 そんな私に対して、月子先生の講義のような説明は続いた。

「現状想定しているのはそれぞれの機体の状態を相互に認識し合う程度だが、もしも周辺情報も観測できるようになれば、それだけで警戒網を駆逐できる。神世界でも使用可能となれば、比較的少ない機材で最新鋭の防犯監視態勢に近い環境を駆逐できる可能性まで考えられる」

 話が急に大きくなってしまったせいで、あまり理解できている気がしない。

 それでもちゃんと聞いていることを伝えようと口にした言葉は「な、なる……ほど」と辿々しくなってしまった。

 そんな私の反応から、状況を的確に読み取ったのであろう月子先生は「ふむ」と一言口にする。

 少しそこから間を開けて月子先生は「そうだね……例えば周辺情報を得られる状態のヴァイアを、監視員や警備員と考えてみてくれ」と例を出してくれた。

「設置した箇所だけになるが、それでもその周辺はヴァイアが情報を集めてくれるわけだ」

 そう言われると理解がとてもスムーズになる。

「その警備員さん達が連携して周囲に警戒をしてくれるようになるって事ですか……」

「警戒の負担がその分軽減されるだろう?」

 私が「はい」と返すと、月子先生はフッと笑いながら大きく頷いた。

 それから、月子先生は三本目、薬指を立てる。

「これは現状必要ではないが、三つ目の可能性は『並列化』だ」

「並列化?」

 私の聞き返しに頷きながら、月子先生は手元の『オリジン』触れる。

「例えば、そうだね。学級新聞を作るとする。三つの記事を三人の人間がそれぞれ書き上げて、新聞の台紙にできあがったものを貼り付けるというのが、小学校らしい表現かな?」

 月子先生はそう言って苦笑染みた笑みを浮かべた。

「どちらの方法でも学級新聞はできあがるわけだが、一人で台紙に全部の記事を書き上げるより、そうした方が処理が早いだろ?」

「それは、はい」

「つまりそれが並列化の概要だよ」

 私は素直に、月子先生の説明に「なるほど」と頷く。

 対して月子先生は「まあ、並列化はオマケみたいなものだけどね」と笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ