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放課後カミカクシ  作者: 雨音静香
第玖章 驚愕開発
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玖之拾捌 リモコン

「リモコンいらないの、便利かもぉ」

 ニコニコとしながらそんな感想を漏らしたのは那美さんだ。

 対して、志緒さんは眉を寄せながら「んーー、イメージだけで操作できるのはスゴイですけどね」と返す。

 そこに何か含むものを感じた私は「何か気になることがあるんですか?」と尋ねてみた。

 すると、志緒さんは「気になるというかですね……触らないと動かせないの不便じゃないかなぁって……」と言う。

 その言葉を受けて、不便かなと考え込んでしまったのを、悪い感触だと受け取ってしまったのか、志緒さんは慌てて言葉を重ねた。

「だ、だって、テレビを見るなら距離を取らないとでしょ? デッキのそばだと……」

「でも、今は凄く近くで見てない?」

 話の途中で飛んできた那美さんの言葉に、一旦停止した志緒さんは、キョトンとした表情で「これはタブレットだから」と返す。

 そんな志緒さんの返答には、流石の那美さんも返しに困ったらしく「そ、そっかぁ」と曖昧な発言になっていた。

 とはいえ、志緒さんにとってはテレビとタブレットは別物だっていう考えで、那美さんには同じものというイメージがあるのだろう。

 私もタブレットはスマホの仲間というイメージがあるけど、デスクトップのモニターやテレビとは、ちょっと種類が違うような気がする……となると、プロジェクターのスクリーンはどうだろうと、考えが転がり出したところで、志緒さんに「リンちゃん?」と声を掛けられた。

「え? ……あ、はい」

 とりあえず返事をしてしまったが、その先が繋がらなくて、目を瞬かせることになってしまう。

 そんな私を見て志緒さんは「また、想像の世界に入ってたんでしょう」とジト目を向けてきた。

 既にいつものこと扱いになりつつあることに引っかかるものがあったが、志緒さんの指摘は正しいので素直に「うん」と認める。

 すると、志緒さんは「もう、しょうがないなぁ」と言いながら笑い出した。

「うーー」

 気恥ずかしさで思わず唸ると、志緒さんは「話を聞いてないリンちゃんが悪いんだからね」と言われてしまう。

 唸っていても仕方ないので「それで、何の話?」と質問してみた。


「いろいろ試すためには、リモコンもあった方が良いかなと思って、さっきはストップしちゃったけど、お願いして良いかな?」

「あ、うん」

 タブレットとモニターの話がいつの間にか、そんな話になっていたのかと驚きつつも、同意して両腕を突き出した。

「それじゃあ、出すね……リモコンって、レコーダーのだよね?」

 エネルギーを集め始める前に、一応、確認をしてみる。

 話を聞いていなかった間に、話がスゴイ脱線してエアコンのリモコンだったとか言われても困るので確認は大事だ。

 志緒さんは「うん」と口にしつつ頷く。

 が、頭を下げたところで固まってしまった。

「志緒さん?」

 動きの止め方が少し気に掛かったので声を掛けてみると、志緒さんは何かを考えるように左右に目を動かしながらゆっくいりと顔を上げる。

「ねえ、リンちゃん」

 どこかで見たことがアル好奇心に満たされたキラキラする目を志緒さんに向けられて、つい「は、はぃ?」と声が上擦ってしまった。

 なんとなく嫌な予感がしたからだけど、私の気持ちを察したらしいしお産は唇を尖らせる。

「もう! 別に変なことは言わないよ?」

 志緒さんの言葉に、那美さんは頷きながら「たしかに」と口にした。

「ね?」

 那美さんの同意を得て、少し時9審ありげに胸を反らして言う志緒さんはとても愛らしい。

 が、那美さんの「突拍子も無いことは言うけど、変ではないかなぁ」と付け足された言葉にガクリと肩を落とした。

「もう、なっちゃん!」

 不満げに聞こえるが志緒さんの顔は笑っている。

 本当に仲が良いなぁと微笑ましい気持ちで見ていると、那美さんが私を見た。

「それ、さっきまでのシーちゃんとリンちゃんを見守ってる時に気持ちと一緒」

 急な指摘に、思わず「ううぇっ」と妙な声が出る。

 それを見て笑い出す名お産の背後に、頬を染める志緒さんを観てしまった私は、ツッコむことも出来ずに視線を逸らすことしか出来なかった。


「ヴァーチャルアシスタントAI……ですか?」

「うん、そう」

 志緒さんがストップを掛けたのは、今私が口にした『ヴァーチャルアシスタントAI』を出現させられないかという話だった。

 このAIは、スマホやタブレットなどを中心に搭載されている人工知能の一種で、音声認識によって人間の指示を理解して、行動してくれる。

 例えば、部屋の照明やテレビのON/OFFの切り替えなどの電気機器の一元管理は当たり前、WEBと連携することで、天気予報を知ることや検索なども出来るし、遠隔地からでもAIの端末が置かれた部屋の電気機器をコントロール出来るのだ。

 リモコンの話題から志緒さんは、このAI端末を出現させられないかと考えたらしい。

「AI自体の存在は知ってはいましたけど、触ったことはないですよ?」

 私の言葉に、志緒さんは「大丈夫! 私も知らないから!」と返してきた。

 目を丸くする私を見て、那美さんが吹き出す。

 が、志緒さんはそんなことなどまるで気付いていないかのように、更に踏み込んできた。

「失敗でも良いから、試してみてくれないかな? 私、触れてみたかったの!」

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