紡ぐ
言葉を紡ぐ、というには、少し大仰過ぎるだろう。
ただただ、思いつくばかりの言葉を散らかして、何となく片付けて。
一人称を、いつも迷う。
「僕が」、「私が」、「自分が」。
どれもこれも、何だか主張し過ぎているように感じてしまう。
それはこれを綴っているわたしに、主体性、のようなもの、或いは確固たる信念のようなものが無いからだろうか。
欠落。
欠落している、と言ってもいい。
多分それは、元々無かったものなのか、それとも何処かに落としてきてしまったものなのか。わからないけれど。
何となく生きて、何となく死にたいと思い、何となく日々を過ごしている。
ただこうして、言葉を吐き出す作業をしていると心が落ち着いて。
だからわたしは日々、こうやって言葉を散らかしては、片付ける。それを繰り返す。毎日毎日、ただ繰り返す。
紡ぐ、とはそもそも何だろう。
糸を紡ぐ、と言う。
織物のように丁寧に、文字を、言葉を紡いで、文章というかたちにする。言葉を紡ぐとは、きっとそういう作業なのだろう。
だからわたしが吐き出しているこれは、言わば、散文、のようなものなのだろう。
日々は散文だ。
わたしは紡げない日々を、365日、繰り返す。
そうしないと生きていけないから。
いつか、紡げる日々というのはやって来るのだろうか。
紡ぐことに不安さえ覚える。覚えてしまうわたしは、きっとやっぱり、欠落している人間なのだろう。
紡ぐことが出来ないわたしは、だめなひとですか?
散らかして、片付ける。
繰り返す、日々。