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月の声が聴きたくて ~恋心下暗し~  作者: 沢鴨弓摩
第三章

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第二十話 ミッション完了

「浜砂君、よくやってくれた」


 重厚感漂うインテリアが妙な圧を掛けてくる部屋。

 その部屋にある唯一の大型窓の外を向いていた人物。

 無駄にスペースを取っている大型の椅子を回転させ、室内に視点を変える。

 その目線を合わせられた浜砂が会釈をする。


「いつも君には助けられているな。今回もしばらくはゆっくりしてくれたまえ」


「ありがとうございます」


 一言の挨拶だけを返し、部屋を出てゆく。

 この部屋はゼフストリー株式会社の副社長。

 浜砂が会話を交わしていたのはこの部屋の主である副社長である。

 ゼフストリーは木ノ崎と貝塚の父が共同で立ち上げた会社。

 ツートップなのだが、実質のトップは技術力で優っていた木ノ崎の父。

 貝塚の父親は副社長に甘んじていた。

 だが、二人で立ち上げたはずの会社。

 最終決定するのは木ノ崎。

 貝塚は主軸以外の指揮を任されてきた。

 日に日に不満が募っていった。

 そして、今回の騒動。

 いよいよ貝塚が真のトップになるために動いたものだった。


「茂。亮太はどんな様子だ?」


「例の女にお熱でね。間抜けな状況だよ」


「あはは。仕事になっていないじゃないか」


「おまけにモノにも出来ていないしね」


「そんな奴がお前を使うなんてあり得んな。やはり一気に動いたのは正解だろう」


「上手く行くのか?」


「誰に聞いている? お前の父親がトップじゃないからこんな事でもしないとあっちに勝てない会社のままなんだろう」


「まあ、結果が出れば分かるけどよ」


「任せておけ。お前はその結果が出るまで言う通りに動けばいい。亮太が使い物にならないことは分かっただろう。茂、お前だって上に立つべきなんだ」


「確かにあいつにはがっかりしたけどな」


「あっはっは! あいつらを退かせばお前を副社長にするからな」


「それは早すぎるだろ。それに仕事はしたくない」


「何もしないならたとえお前でも金は出せんぞ。せめて役ぐらい付け。後も継いでもらわにゃならん。そのために社の事を知れよ」


「めんどくせえなあ」


 会社を後にした浜砂は、帰り道で一言呟いた。


「多駆郎君……」



 ◇



 多駆郎宅。

 二階の床に寝転んでいる多駆郎。

 何度か浜砂に電話をしてみるが、繋がらない。

 研究所からも連絡が無く、ただ待つだけの時間。

 すっきりしない気分を誤魔化そうとするが、思いつかないようだ。


「連絡が取れないってことは、休暇中だから? それともやっぱり……」


 何の情報も届かない。

 手に入れる術もない。

 手詰まりな状態に耐えられず、一階に降りてみる。


「飲み物……」


 何か飲み物を探す。

 二組のティーカップがシンクにある水切り網にあるのが目に入る。

 無かったことにするように冷蔵庫に手を伸ばす。

 そして、いつものペットボトルティーを取り出した。


「なんだか、久しぶりに飲んだ気がするな」


 浜砂がいなければ、いつも通り飲んでいたお茶。

 毎日飲んでいるはずなのだが。

 ゴクゴクと飲み切ってペットポトルをシンクに置いた。

 それを眺めながら呟く。


「早貴ちゃんに連絡するか」


 ペットボトルティーが幼馴染を思い出させたようだ。

 心が寂しさを感じた今。

 思い出したのは幼馴染。

 それは、連絡を小まめにするという約束からか、心が寂しさを感じたからか。

 多駆郎はしばし台所前で立ち尽くしていた。

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