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月の声が聴きたくて ~恋心下暗し~  作者: 沢鴨弓摩
第三章

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第十五話 反省はした。後悔は……?

 家路にあるいつもの坂。

 この坂を一人で上る時は頭の中の整理をする時間。

 そして、必ず目に入る大きな木々。

 その中へと向かう道。

 幼馴染を思い出す瞬間。


「いつもならこんな時、話を聞いてもらえるんだけどな」


 祭りを楽しんだ後、自然と明るくなっていた表情。

 左斜め前方から真横、そして左斜め後ろへ。

 木々に埋もれるように見える道が位置を変えてゆく。

 夜の暗さで道の角が分からなくなる。

 表情は寂しげなものに変更された。

 俯き気味になり、歩きを早める。


「ただいま」


 綿志賀家の雰囲気はあまり良いものではなかった。

 母である時子が帰宅した長女に事情を聞く。


「何で出て行ったの?」


 ろくに理由を言わずに振り切った早貴。

 この質問が来るのは外出する時から分かっていた。


「約束があったから……」


「その約束とやらが何なのかを聞こうとしたでしょ」


「祭りに誘われていたの。ちゃんとガードマンさんみたいな人も数人いてくれて」


 腰に手を当てて質問を続ける時子。


「誰なの? さっぱり話が見えないよ。ちゃんと話しなさい」


「怪我をした時にお世話になった人で……」


 木ノ崎について簡単に説明をした。

 いつまでも閉じこもっているのは良くないからと誘ってくれた話。

 早貴は木ノ崎から話があるからという理由を変えて伝えた。


「確かにそこまで気を使ってくれる人なら大丈夫かもしれないわね。それならそうと、先に話しなさい。それでも何かあったら私が動けないでしょう。余計な心配はさせない事。理由がはっきりしているなら許すでしょ。この母親は信用されていないのかな?」


「……ごめんなさい、反省しています」


 横で聞いていた妹が口を挟む。


「どうだか。相変わらずお姉ちゃんは突っ走るねぇ」


 呆れていることが誰にでも分かるような言い回しをする。

 早貴は、母親に深々と頭を下げて自室へ向かう。

 香菜はリビングのソファーに座って携帯を手に取った。


「千代姉ちゃんに報告しなきゃ」


「あんまり事を荒立てないでよ? 千代ちゃんに余計な心配させたくないから。ただでさえ心配させてばかりなんだから」


「はぁい。でも千代姉ちゃん、後から知って辛い思いをすることが多いから教えてあげた方がまだマシだと思うの」


「マシ……ね。香菜は大袈裟に言いがちだから気を付けてよ」


「やだなあ。千代姉ちゃんを困らせるようなことしないよ?」


「実の姉にも優しくしなさいな」


「優しい妹だと思うけどなあ」


「そうね。香菜は早貴のことが大好きなんだもんね」


「……改まって言われると恥ずかしいから!」


 珍しく顔を赤くしてソファー上でクルッと反転。

 うつ伏せになり、顔を隠した。


「ふふ。可愛い子だらけで毎日楽しいわねえ。……でも早貴ったら、また始まったのかしら」


「たぶんそうだと思うよー」


 クッションに顎を乗せて香菜は言う。


「香菜が言うなら……そういうことよね。多駆郎君、何しているのかしら」


 長女を案じる母。

 もう一人の姉に連絡をする妹。

 心配の種をまき散らしながら歩いてゆく早貴。

 見えない歯車が回り出す。

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