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月の声が聴きたくて ~恋心下暗し~  作者: 沢鴨弓摩
第二章

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第二十話 のんびりとイライラ

 夏休みが近づいている葉桜高校。

 夏服の生徒たちが季節を彩る。


「画面から風出ないのかな」


「無茶を言うなってメーカーに怒られるよ?」


「でも、出来たら売れるよ、絶対」


「そうでしょうけど」


 定位置に座っている三人。

 早貴、千代、奏だ。

 (あたか)も風が出ているように携帯画面を喉元に向けている。

 そこへ千代が突っ込みを入れたところである。


「画面から風が出ない事が不思議になってしまいました」


 早貴の真似をして携帯の画面を喉元に向けていた奏。

 すっかり早貴の言葉に乗せられてしまった模様。


「ああ、なんて可愛い子なんでしょう。よしよしよしよし……」


 大袈裟に両手を広げてから奏に抱き着いた早貴。

 犬猫を可愛がるように頭を撫でる。


「もお。私、猫じゃないんですから」


「奏が猫!? それ、最高じゃない! アタシ飼うわ」


「だから猫じゃないと言っているのに。……もお」


「牛の奏でも飼うよ! はい、笑顔!」


 早貴は携帯を掲げて奏に見るよう促す。

 言われるままに笑顔を作って携帯を見る。

 それに合わせて早貴が頬を付け、自身も笑顔を作った。

 絶妙なタイミングでシャッター音が鳴り響く。


「ずるい! あたしも入れてよ~」


「ほら入って! 奏、もう一回笑顔!」


 千代は二つの頭の間に乗せ、顔のトライアングルを作った。

 今度は連写音がする。


「連写されると色んな顔したくなっちゃう」


「私、少ししたかもしれません」


「ほんとに!?」


 早貴が撮りたてのファイルを呼び出す。

 順番に見ていくと、連写の中に一瞬口を尖らせた奏があった。


「すごい! あの速さでよく表情変えられたね」


「恥ずかしい……。これは消してください」


「それは無理。アタシのお宝になりました」


「もお。早貴ちゃんはずるいんですよ」


 千代は早貴の耳元を(かす)めて、画面を覗き込んだ。


「うわあ、凄く可愛い。あたしも欲しいな」


「駄目ですってば。早貴ちゃんのお宝なんですから」


「やった! 消さなくていいのね?」


「あ。……誰にもあげないなら、いいですよ」


「残念。それじゃあ時々早貴に見せてもらお」


「お二人だけですからね、見ていいの」


 ハイタッチをする早貴と千代。

 体に染みついている絶妙なタイミングでいい音を立てる。

 その音を開け放たれた教室の扉越しに聞きながら廊下を歩いている二人の男子がいた。


「最近、どうなんです?」


「あんまり上手く行ってねえ」


「そうなんすか」


 廊下の角を曲がる。

 木ノ崎と貝塚だ。


「何度か連絡はしてみたんだが、どうも前ほど相手にされなくてな」


 ズボンのポケットに突っ込んでいた両手を天井へ向けて伸ばす。

 歩きながら伸びをすると、同時にあくびも出た。


「以前のようにいかないのがイライラしちまってな」


「怪我の件が終わったからじゃないっすか?」


「そういう事になるのか。くっそ」


 一般的には受け入れ難そうな怪しい笑みを浮かべて貝塚が問う。


「まさか惚れたんじゃないでしょうね?」


「……悔しいけど、そうらしい」


「マジっすか!?」


 大袈裟に自分のおでこを平手打ちする。


「それは厄介ですね。私情が入ると上手く行かなくなりますぜ」


 少しボリュームを落とした声で話を続けてゆく。


「瀬田の息子と引き離す事が任務ですけど、本気になるのはヤバイですよ」


「でもよ、引き離せばいいだけだろ? 結果としては問題ない」


「しかし……」


「俺にしてみれば、報酬の上乗せをするだけだ」


「感づかれないようにだけはお願いしますよ」


 若干素の目つきを見せながら貝塚を睨みつける木ノ崎。


「俺に説教か?」


「そんなことしませんよ。ただ、本部をナメると大変なんで」


 貝塚は、腰の高さに両掌を出して抑えるような仕草をする。


「木ノ崎さんとは立場が違い過ぎますから。事と次第によっては何をされるか分からねえんで」


「すまねえ。俺の動き次第でお前の扱いが変わるんだったな。何にせよ情報が欲しいのは変わらねえ。探りは頼むぜ」


「分かりました。任せてください」


 二人の男子生徒は自分たちのクラスへと戻っていった。

 いつもお読みいただきありがとうございます!

 楽しんでもらえていますか?

 こちらはひたすら完結へ向けて書き進めます。

 追いかけていただけると幸いです。

 よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 50m走を2秒でこけた人ですぞ!追い付けるかなぁ…
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