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彼が始動する話

sevenーー七峰はとある小説を読んでいた。


七峰の生活はまずエゴサーチから始まる。七峰は自分がどう見られるか世間の反応を異常に気にしている節があり、書籍化した作家だとしても慢心すまいと始めた日課…だったのだが、今では形骸化しており対抗馬を下見しつつ穴だらけだと嘲笑する日課へと変貌を遂げていた。


日課のエゴサーチの結果目に付いた作品がこれ、『鏡面感染性Alice』だった。


「…成る程、傷跡を残す為だけに生まれた小説か。児戯にも劣る。…ん?待てよこのペンネーム見覚えが…ほぅ?」


ペンネームは真田懐。

真田で、懐。

威勢の良い産業廃棄物供の名前が確かそうだったか。


「くはっ!」


自然と笑みが零れる。


「くはははははっ!!成る程、成る程。小賢しい事よ!!あの産廃供は勝負を投げたか!!実に面白い!俺好みの展開ではないか!!」


七峰はモニターに映る文字列を最早見てはいない。


「がーー、ふむ。俺は全力は出さないと言ったな。で、あれば同じ土壌で戦い、圧倒的に勝利する。うむ、実に胸がスッとする。腹の底から『ザマミロ&スカッとサワヤカ』の笑いが出てしょうがねーぜッ!…おっと、俺らしからぬ発言だったか」


七峰の次なる一手は確定してしまった。


「吠え面はいつの時代も好いものだ」


才能の怪物は産廃を嬲り殺しにせんと筆を走らせるーー。


■■■■■■■■■■■■


「反応は上々だな」


「ああ」


俺たちはついに感想欄の八割がたを批判コメントで埋め尽くす作品へと進化を遂げた。

一部改変したがそれでもちょくちょく不適切だとクレームが来る。


「全く、小説で炎上商法狙うって如月さんも挑発的っつーか何つーか」


あれからも如月さんに話を聞いたりして『炎上商法特化型作家』として頭角を現しつつある俺たちだった。

と、言うのも。

『sevenには絶対に取れない戦法』だと如月さんが断言したからだ。

理由は教えてくれなかったが、文化祭当日には分かるらしい。結果を見れば一目瞭然、と言う事のようだ。


「さて、ガンガン胸糞書いて貰うぜ?取り敢えず俺は『さよ●らを教えて』の事実上一択のエロシーン見ながらプロットを練る事にするわ」


「エロゲー見ながらプロットを練るってどうなんだろう…」


「不満か?じゃあ『マ●ラヴ』にするか?」


「それはそれで問題アリなのに気付けよ!?」


真田が画面を食い入るように眺める中、俺は原稿用紙に向かって只管筆を走らせていた。

書けば書くほどより洗練されていくのが分かる。

無駄を削ぎ落とし、思い描いた鏡面と臓物の世界に意識をシフトしていく。


紅よりも緋く。

銀よりも鈍く。


文章でだめなら内包する世界で勝負に出るしかない。

無限に剣を内包する固有魔術みたいに…。

そこにこそ慢心キングーーseven打倒への鍵があると信じて。


さぁ、俺たちは進み続けているぞ慢心キング。

いつまで惰眠を貪れるかな。


ーープロットの貯蔵は充分かッ!!

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