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(一体何をって言えるわけないじゃない。禁断の恋探してましたー。別れ話で妄想してましたー。ついでにノエル様のことも、、、)
「どうしました?とりあえずミラ嬢のところまで戻りましょうか。」カイルが口を開く。
ミラのいる場所まで戻ることにした三人の雰囲気は最悪だった。マリアはこの後ミラに怒られるだろうこともそうだったが、公爵家嫡男であるノエルの、妄想とはいえ失礼極まりない発言を繰り返したのだから。(マズイわ、かなりマズイ)まだカイルの事は思い出せない。
ノエルは女性にそんな風に思われていたのかとショックを受けていた。
カイルはマリアが自分を蹴りあげた時も覗きをしていたんじゃないか、いや絶対していたと怒りを通り越し呆れていた。
ミラは三人がなかなか戻って来ないため不安でいっぱいだった。(お願い。マリア変なことしないでね。)手遅れである。
三人が戻って来た。カイルとノエルに挟まれたマリア。ミラはいつかの自分を見ているようだった。三人の表情から何かを悟ったミラはカイルの前へ膝をつき
「殿下、大変申し訳ございませんでした。すべては私がきっかけとなり起きた不祥事でございます。ですから罰はすべて私に。」
「殿下、、、殿下!?」(この人殿下なの!?ミラに一度絵姿見せて貰ったことがあるけど言われてみれば、、、全然覚えてない!)カイルが殿下で何故ミラが謝っているのか分からないが自分を庇っていることはわかった。謝るならノエルのほうじゃないのかと思ったが他に何かあるらしい。ただ事じゃないとマリアも慌ててミラの横へ膝をつく。
「あの、殿下。ミラは悪くないんです。注意されていたのに勝手に動き回って迷惑かけてしまったんです。ノエル様にもご迷惑をおかけしてしまい。でも本当にミラは悪くないんです。全部私が悪いんです。」とりあえず自分の悪かったところを並べてみた。二人は同年代だがミラはいつも自分を妹のように可愛がってくれた。時には怒られることもあったがミラの言うことに間違いは一つもなかった。姉のようであり、親友が自分の為に膝をつき許しを乞う姿を見て悲しくなってグスッグスッと泣き出すマリア。
「もういいよね。」ノエルが言いながら目線を邸へ向ける。窓越しに公爵家の執事やメイド達がどうしたのかと心配そうにこちらを見ていた。
(俺が完全に悪者なんだけど)
「とりあえず立ってくれる?」
カイルはミラとマリアを立たせるとハンカチでドレスに付いた汚れを軽くはらってやる。
「さぁ、座ってくれないかな。じゃないと話もできない。」
四人が席についたところでノエルがお茶を入れる為メイドを呼んだ。紅茶が注がれたカップが四人の前に出されるがまだ誰も手を付けない。
「今日はマリア嬢に聞きたいことがあって来たんだ。正直に答えてくれるね?」
「はい。」
「君は王宮のお茶会に出たことがあるね?」
「はい。」
「それが、いけないことだっていうのは分かる?」
「はい。」
「その時何か変わったことはなかった?」
「変わったこと、、、そういえば男の人に襲われそうになりました。」
「ブーーー」ノエルが勢いよく紅茶を吹き出した。