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「、、、お前今度は何をしたんだ」
王宮から手紙と一緒に届いた大量のお見合い用の絵姿を前に不安を隠せないマリアの父アントニオ。
「何もしてないわ。なぜこんなものが?お父様、私まだ結婚するつもりはないわ。あら?手紙がついているみたい。」
「なに?どれ、、、ははっ、、」
宰相からの手紙をフランクに解説すると。
『娘16だよね?そろそろ婚約者決めなきゃじゃね?こっちで良さそうなの見つけて紹介するわ。わかってるよね?じゃ、決まったら連絡してね。あんまり待てないからなるべく早くよろしく。ちなみに子爵のとこにも送ってるから取り合いにならないようにね!もし決まったら人がいるならそれはそれでいいから!じゃ!』
「ねぇ、お父様。なんて書いてあったの?」
なにも言うまい。
「もうお前も年頃だ。好いた男は、、、いないだろうな(本ばかり読んでいるようだし)。この中の誰でも間違いはない(なにしろ王宮から選ばれた者しかいないのだから)。選びなさい。」
「嫌よ。」
「ほら、これなんか侯爵家の三男だぞ。なかなか格好いい青年じゃないか。それとも好いた男でもいるのか?」
「、、、いないわ。」
「マリア、間違いなく近いうちにミラの婚約が決まる。そしたらお前は一人だぞ。それにお前は跡取りではない。いつまでも家に置いておくことは出来ん。」
「分かったわ。選べばいいんでしょ!これでいいわ。」
と、適当に目についた上から五番目の閉じられたままの絵姿をポイっとアントニオに渡す。
「おい!こんな選び方でいいのか!?もっとちゃんと」
「別にいいわ。私の赤が好きなの。ほらその表紙キレイな赤でしょ。じゃぁ宜しくお願い致します。お・と・う・さ・ま。」マリアはそう言いながらキッと睨んで出ていってしまった。
自分だってこんな風にマリアの相手を選ぶことになるとは思ってもいなかったのに、マリアに睨まれたショックで半泣きのアントニオは「嫌われたかな」と心配で絵姿を見ることなく返信用の封筒に入れ宰相宛に送ってしまった。
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「じゃぁミラのところにも!?」
互いのところに王宮から見合いの絵姿が届いていたことを知った二人。
「それで婚約が決まったのよ。私はもう少し後でもいいかなとは思っていたんだけれどね。」
口ではそんなことを言っているが顔が完全ににやけている。
「嬉しいくせに。私の前だからって無理しなくていいわ。おめでとうミラ。きっとジェーソンとなら幸せになれるわ。」
「ありがとう。ごめんなさいね。で、マリアはどうしたの?」
「私?」
諦めたような顔で適当に選んで父親に渡したこと、絵姿は一切見ていないことを告げられたミラは「マリアあなたバカね。でもあなたらしいわ」と笑った。笑ったが悲しかった。マリアは本を読んで主人公になりきるのが好き。悲恋も読むけどハッピーエンドが好き。現実は物語のようにならないのも分かっている。禁断の恋は本だから成立することも。探しているのは禁断の恋なんてものじゃなく、自分にとってのたった一人の人だって早く気付きなさいよ。いつまでも恋に恋しちゃってるのね。まぁそこが可愛いのだけれど。
「でも、顔くらいは見るべきだったんじゃない?」
「んーでもこれでいいわ。初めましてで恋に落ちるかもしれないじゃない。これでも結構楽しみなのよ。」
マリアは無理やり笑って子爵家をあとにした。




