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「本日は突然の謁見の申請にもかかわらず快く快諾していただき誠にありがとうございます。ローリエ男爵も同じ気持ちでおります。」
膝をつき頭を下げたままの二人に顔を上げるようにカイルが言うが二人はそのままの体勢でいる。ノエルも事務官も何事かと見ている。
「どうしたのだ。頭を上げてくれないと話も出来ないだろう。」
「その前に一言よろしいでしょうか。」
「?なんだ?許可する。」
・・・片膝をついて頭を下げていた二人は
「大変申し訳ありませんでした‼」
と両膝をつき頭を床に押し付け土下座しながら謝った。
ポカーンなカイル。もちろんノエルも事務官も。比較的早く現実に戻ってきた事務官は、謁見の内容を書き留める書記のようなことをしなければならないが「これは一体どう書けば良いのか、、、」と頭を悩ませた。
「なぜ謝る?それが今回謁見を申し込んだ目的か?私には貴殿方に謝られる理由が思い付かないが。」
「はい。そうでこざいます。謝る理由はございます。すべて娘のミラから聞きました。殿下はお許しになって下さったとの事でしたが、この国の貴族である以上娘のやったことは許される事ではありません。よって爵位返上でもなんでも罰は受けます。」
「私もです。娘のマリアからもすべて(蹴りあげたことは聞いてない)話を聞きました。身代わりで王妃様の茶会へ参加するなど言語道断。殿下にも大変ご迷惑をお掛けしたようで。(お茶会はお見合いの場だったし、関係ないマリアが行って大変ご迷惑お掛けしました。の意)殿下、どんな罰でも甘んじてお受けいたします。」
(ちょっと待って。この人達娘の行いを謝罪しにきたの?アントニオ男爵すべて聞いたって言ったよね?ご迷惑とも。すべてってあれも!?あいつ言っちゃったの!?)
口をパクパクさせるカイルを助けるようにノエルが声をかける。
「ピレネー子爵にお伺い致します。一体どのような話を聞いてこちらへ来たのでしょうか。」
ブライアンは、ミラにそそのかされマリアが王妃主催のお茶会へと無断で入った事。それがバレて二回ボーデン公爵へとマリア共々呼ばれた事。二回目には殿下自ら公爵家へと足を運び王宮へ報告することなく二人を許してくれたという事。ノエル様にも大変ご迷惑をお掛けしましたなとどいう事を簡潔に述べた。ブライアンにも同じ質問をしたがほぼ同じ内容だった。
一安心なカイル
「もう良い。この話を大事にする気はない。」
二人は納得出来ず「でも、しかし」といい募るが、カイルの「もう、終わった事だ、これ以上これを話題にすることは禁じる。」との言葉にやっと口をふさいだ。
ふと二人がいないことに不安になったカイルは聞かずにはいられなかった。
「ところでミラ嬢とマリア嬢の姿が見えないが?謁見の申請には二人の名前があったはずだが。」
「はっ!入城の際、謁見が認められたのは私達二人だけとの事で娘達二人は別室で待つよう言われました。ですから二人は案内役の侍女に連れられて行きましたが。なにか不都合でもございましたか。やはり二人にはもう一度謝らせま」
「やられた‼行くぞノエル‼」
ブライアンが最後まで言い切る前にカイルとノエルは瑠璃の間を飛び出していった。
置いていかれたブライアンとアントニオは勝手に帰るわけにもいかず顔を見合わせる。事務官はそんな二人の為に椅子へ座るように勧めお茶を出した。
二人は戸惑う使用人達にかまわず王宮の廊下を走る抜ける。
(間に合えよ‼どこだ!紅玉の間は絶対違う。王妃の部屋はありえない。王妃付きの侍女が頻繁に出入りしているのは)
「ノエル!あそこだ!」
「琥珀の間。急ごう。」
『バーン‼』
カイルが琥珀の間の扉を遠慮なく開けるとそこにはお菓子と紅茶を楽しむミラとマリアの姿があった。
「間に合ったか。おい!急いでここを出るぞ!」
急に出ると言われて驚く二人だったがただ事じゃないと挨拶もせずに急いで席を立つ。
扉に向かう四人だったが
『カチャ』
扉が外側へと開く、当然四人はまだ部屋の中。扉が開かれた先にいた人物は呑気な声で
「あら?どこへ行くの?」




