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最後に数行付け加えました。
「カイルと二人で呼ばれたって事は何かあるね。父さんもいるらしいし。」
「大したことじゃないといいけどな。」
「まぁあれじゃないの。婚約者決めろとかさ。」
「まだ自由がいい。見合いなんてこりごりだ。」
「それわかる!そうそう、うちの母親が最近おかしいんだよね。やたら機嫌がいいし見合いの話も持ってこなくなったし「髪の色と合わせるならドレスの色は何がいいかしら?」なんてドレスとか家の内装の相談とかしてくるんだけど。はぁ?自分のなんだから父さんに聞いてって感じでしょ。」
「うちもそういえばこないだの茶会から口うるさくなくなったな。なんか気持ち悪い。」
「勝手に相手決められてたりして。」
「無理、お前に譲る。」
「断る!」
「俺も断る!」
「ハハハッそれダメじゃん。マリア嬢とミラ嬢とかだったら毎日飽きないんじゃない?」
「暴力覗き女と王宮に不審者を入れるし急に大声で怒鳴る女か?非常識すぎて無理、、、ププッ」
「まぁ二人が選ばれる事はないだろうけどね。」
「だな。もし選ばれたら逆立ちで庭園一周するわ。」
「言ったな。絶対だからな。」
「はいはい。」
王の執務室へと向かう二人に危機感はない。
トントン
「入れ」
「失礼致します。カイルでございます。お呼びと伺い参上しました。」
「まぁ、座れ。」
すでにフリックはソファーに座っていて、ルイスはフリックの横に立っていた。フリックの向かいにカイル、カイルの横にノエルが座るように勧められる。
「失礼致します。」
「ルイスお前もここに座れ。」と言われてルイスもしぶしぶフリックの横に座る。
「今日二人を呼んだのは他でもないカイルの婚約者の事だ。婚約者にしたい相手はいるのか?」
「いいえ。おりません。」
「ではノエルにも同じ質問をしよう。どうだ?」
「いいえ。私にもそのような相手は今のところおりません。」
「そうか。では単刀直入に言うが、ボーデン公爵家に招いた令嬢二人とはどんな関係だ?お前が婚約者にしたい相手ではないのか?それともノエルの恋人か?」
「はっ?あの言っている意味が良く分かりません。それになぜ二人の事を知っているのですか!」カイルは焦って言う。
「質問で返すな。答えろ。」
平常心平常心と言い聞かせ。
「二人とはもう会うことはないでしょう。ピレネー子爵家のミラ嬢とは先日のお茶会で知り合い少し話をしただけです。たまたまその時にローリエ男爵家のマリア嬢の話が出て折角だからとノエルを含め会う約束をしてしまったのです。安易に決めてしまったことは申し訳なかったと思いますがただそれだけです。」
なぁ?と視線をよこすカイルと父ルイスにお前もはっきり言いなさいと目で促されるノエル。
「カイル殿下の言う通りでございます。会う約束をしたのはいいものの場所に困ってしまい私の判断で公爵家へと招きました。ただ殿下の言った通りもう二人と個人的理由で会うことはないでしょう。もちろん私もです。」
「本当だな。」
「「本当です。」」
「ではなぜ明日二人との謁見を入れたのだ。もう二度と会わないのではなかったのか。」
「「はっ?」」見事に息が合う二人。
その様子からカイルは明日の謁見の相手を知らされていなかった、もしくは聞き流したと判断したルイスが話しかける。
「カイル殿下、明日謁見が入っているのはお分かりですね。」
「あぁ、なんでも相手が急ぎとの事で事務官が無理矢理入れこんだと言っていた。事務官が許可を出したし、相手も必死だったと聞いたから受けることにした。」
「そうですか。相手が誰かも確認しなかったのですね。この国の第一王子ともあろうものが事務官がいいといったらなんでも引き受けるのですか?ノエル、お前はカイル殿下の側近として側にいるのだぞ。いつまでも友達ではいられない。よき王になれるよう支えなければならない立場にある。次期王がただの事務官の言いなりなど言語道断だ。側にただいるだけなら誰でもお前じゃなくてもい、、、っと、失礼。少し熱くなってしまいました。私が言いたかったのは、明日の謁見の場に現れるのはピレネー子爵とローリエ男爵、そしてその娘達だという事ですよ。」
「・・・・・」
黙ってしまったカイルへフリックからの爆弾が落とされる。
「なぜかキャシーが勘違いしている。カイルのお嫁さん候補が来ると触れ回って、、、。明日の謁見の場にも出ると張り切っている。」
憐れんだ目でカイルを見るノエルだったがルイスもまた爆弾を落とす。
「ノエル、お前もレイラにきちんと話なさい。嫁が来ると言ってドレス生地を集めたり、邸の模様替えの業者と打ち合わせを始めている。」
「はぁ?母さんが?」ついつい家にいるような口調になるノエル。
「二度も二人を招いたのは分かっている。使用人達のいい噂のネタになっているぞ。私はお前が本気ならどちらの令嬢でも迎え入れる気はあるがな。」
「それでドレスや内装の話が!?」
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翌日の謁見の場にはカイルと側に控えるノエルの姿があった。
はじめは謁見そのものをなんとかしようとしたが今更謁見を無しには出来ない。キャシーにバレないよう謁見の間を二階の紅玉の間から一階奥の瑠璃の間へと移した。フリックとルイスには絶対に王妃を令嬢達に会わせるなと何度も言われた為この措置となった。
「ピレネー子爵、ローリエ男爵お着きになられました。お通し致します。」事務官が告げる。
「許可する。」
そして入ってきたのは事務官に連れられたピレネー子爵とローリエ男爵の二人だけだった。




