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ここはカイルの執務室
「カイルはいるかしら?」
「申し訳ございませんが、只今席を外されております。」
「そう。あら?それはなに?」
「こちらでございますか?これは殿下にきている謁見の伺いでございます。明日の予定のもので、確か急ぎとの事でしたので早めに入れたようですね。」
「そう。ありがとう。」
目を輝かせる王妃の姿がそこにあった。
スキップでもし出すんじゃないかと思うほど浮かれているキャシー。向かう先はもちろん
『バーン‼』
王の執務室だった。
「フリック様!明日はなんの日かお分かりになる?」
「明日かい?キャシーが嬉しそうだから誰かの祝いの日だったかな?んー分からないな。なんだい?」
「明日はカイルのお嫁さん候補がここにやって来る日よ。しかも二人も。楽しみだわ。フリック様も一緒に会いましょうよ。」
スキップどころか踊り出しそうな王妃を前にフリックは冷静に聞いた。
「なぜそんな事が?誰に聞いたんだい?」
「カイルの事務官が教えてくれたのよ。急ぎでカイルに会いたいのですって。ほらこないだ言っていたミラとマリアが父親と揃って来るのよ。私もカイルの母親として立ち会わなくてはね!あ、そうそうマリアはローリエ男爵の娘でしたわ。」
キャシーは明日着るドレスは何がいい、ネックレスはあれだ、靴も合わせなくちゃ、もぉ時間がたりないわなどと言いながら「ちょっと待て‼」と言うフリックを振り返ることなく去っていった。
「このままではマズイ」
フリックは室内の呼び出しベルを鳴らし、王付きの事務官に「ルイスを呼べ」と言った。
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キャシーは王の執務室から自室に戻る途中で廊下の端によって頭を下げる男に向かって
「ルイス、残念だったわね。ミラもマリアも二人ともカイルのほうがいいのですって。でも諦めちゃだめよ。ノエルにもきっといい人ができるわ。ふふっ」と言い放った。
「???何だったんだ???」
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トントン
しばらくして王の執務室に蜂蜜色の髪を一纏めにし背中に垂らしている細身の男が入ってきた。
「お呼びでしょうか?」
「ルイス、これから大変なことになる」
「なる?なったじゃなくて?」
フリックはルイスにキャシーの暴走の原因となったカイルとノエルの手紙の話からすべて語った。
「カイル殿下がねぇ、、 。」
「そうなんだよ。ああなったキャシーには、何を言っても通じない、、、。」
机に肘をつき両方の手のひらで顔を覆うように項垂れるフリック。
「大変だな。」
机を挟むように立って、さっきの王妃が言っていたことはここに繋がるのかとどこか遠い目をして納得するルイス。
この国の宰相でノエルの父であるルイスとフリックの二人は学生の頃からの友人でもあるので気安い口調だ。
「ノエルにも困ったものだ。今公爵家ではノエルの恋人のことで賭けまで行われてるようだし。勝手に令嬢二人を家に呼ぶなんてことしたから元々噂にはなっていたんだけれどね。うちのやつも王妃同様「早くノエルが紹介してくれないかしら?女の子が欲しかったのよね。お嫁さん楽しみだわ。」なんて言ってたよ。で、ミラとマリアというのがその令嬢で間違いないんだな。」
「そうだ。このままキャシーの暴走が続けば、、、。」
「それは困るな。カイル殿下の婚約者が決まったって城内外がお祭り騒ぎになる。まぁ本人に聞くのが一番だな。ついでにノエルも呼ぼう。」
「私も同席しよう。これ以上の混乱は避けたい。」(主にキャシー。)




