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初投稿です。内容はかなりうすいと思います。内容なんてどうでもいい!読んでやるよ!誤字脱字OKという心の広い方向けだと思います。宜しくお願いします。

 「ウフフッ、フフッ、グフフッ」


 茂みの奥から変な声が聞こえる。


 「フフフッ、ジュル」


 涎をすするような音もする。


 (こんな日に不埒な奴め!ここは王宮だぞ!)

 と、この国の第一王子のカイルはイラついた。いや、元々イラついていたのだ。なにせ母親である王妃から、お茶会という名の自分の婚約者を探すお見合いパーティーを無理やり開かれてしまっていたのだから。しかもお茶会当日に強制参加を言い渡された。


 カイルは現在17才。金髪碧眼、イケメン。婚約者がいてもおかしくはないのだが、自分に言い寄ってくる女全般が苦手だった。初恋の女性が完璧過ぎたせいなのだが。初恋のマリアはカイルの従姉妹でカイルの五つ年上だった。想いに気付いた時には婚約中であったし、すでに結婚している。カイルの想いが叶う事はない。ただ婚約者候補のどの女性もマリアと比べてしまいうまくいかないのだ。マリアは優しくて清楚だった。カイルを弟のように可愛がり、辛い時も悲しい時も側にいてくれて優しくしてくれた。現在カイルに言い寄ってくる女は香水臭いし化粧が濃いし好きになれなかった。



 八つ当たりに近いのだが、不埒な奴等に文句でも言ってやろうと侍従であるローレンにここで待てと告げ、茂みの奥を覗くと、そこには鮮やかなオレンジ色のドレスを身に付けた女性が茂みの前に蹲っていた。今日のお茶会に呼ばれた女性だろうか?そして具合が悪くなりここで休んでいたのだろうなと考えた。先ほど聞こえてきた声についてすっかり忘れているカイル。


 「君、具合でも悪いのかい?」

  カイルは先ほどのイラついた気持ちを隠し、大きな、それはおーきな猫を被り誰もが惚れるであろう王子スマイルでその女性に近づき声をかけた。


 女はよほど具合が悪いのか顔も上げず何も答えない。


 カイルはもう一度声をかけた。


  「大丈夫?そんなに具合が悪いのかい?」


 それでも女からは返事がない。


 カイルはひらめいた!

 (この女性を口実に、今日のお茶会というなのお見合いに出なければいい!こうなればさっさとこの女性を医務室にでも連れていき、城下にでも逃げだそう。)


 カイルはその女性にそっと近付き肩に触れた。その時、、、


 「、、、っさいわね。」


 女性がなにか呟く。


 「えっ?」

 カイルが聞き返すと


 

 『うるさいのよ!聞こえないわけ?今良いところなんだから邪魔しないで!私に触らないで!どっか行って!』とこちらを見ることなく一息に捲し立てられた。


 「えっ?はっ?」

 カイルはまた声を出してしまう。


 そのすぐ後「きゃっ」と誰のか分からない小さな悲鳴が聞こえると同時に、騎士とメイドが女性が蹲っていた茂みの奥からカイル達とは反対方向へと飛び出して行くのが見えた。


 残されたカイルと女性。

 カイルは自分が何を言われたか脳内会議中。あっけにとられていた。女性へと目を向けるとまだ蹲ったまま肩を震わせていた。未だかつて女性から罵られたことのないカイル。さっきのは空耳でこの女性はやはり具合が悪いのだと思い込もうとし、声をかけようとしたときだった。


 「あなた何してくれんのよ。今いいとこだったのよ!邪魔してくれちゃって絶対許さないから!」


 女性はそう叫びながらすっと立ち上がり、顔を伏せたままカイルの前に立つと、カイルの顔も見ずに右足を一旦後ろに下げ勢いよく前へ高く蹴り上げた。


 「うっ、、、くっ、、、」

 

 急所を蹴り上げられたカイルは声にならない声をあげその場に崩れた。


 女性は去り際「お大事に」と告げスタスタと去っていった。



        ~王宮 薔薇園~


 庭園にはこの国の子爵家以上の15才から19才までの未婚の娘達が集められていた。どの娘もいつも以上に着飾り、香水を撒き散らし、厚化粧。カイルに見初めてもらおうと必死である。逆効果なのだが。

 将来、娘になるかもしれない令嬢達に王妃も目を光らせている。王妃の人を見るめは確かなのだ。

 (あの子はダメね。あ、あの子はまだマシかしら。あーあれはないわ。ん?あの子は誰かしら??)

 

 「キャサリン様!!」

 

 王妃の元へ慌てた様子の侍女が駆け寄り何かを告げた。


 「なんですって!!それで、、ええ、、分かったわ。」


 侍女と会話を交わした王妃は集まった令嬢達に話し掛けた。


 「皆さん、折角集まって頂いたのですが、ここに来るはずのカイルは執務が忙しく来れないのですって。ごめんなさいね。残念ですが、さぁ、まだまだお菓子も紅茶もありますから楽しんでいらっしゃいな。」


 令嬢達は折角王宮まできたのに王子に会えず不満だろうが、王妃にそう言われれば「「分かりましたわ」」と声を揃える。


 「まったく王子ってえらいのね。何様よ。」と呟くのは鮮やかなオレンジのドレスを纏い、紅茶を優雅に飲む令嬢だった。見た目は完璧な令嬢だが次に出た言葉が、、。

 「さて、次はどこを探してみましょうか。楽しみだわ。フフフッ、、、」




        ~医務室~


 「う~うぅ~うっ、、、」唸るカイル。


 「カイル様。さぁ、痛み止めを飲んでください。少しは落ち着きますから。、、、なぜこんな事に、、。」と話し掛ける医務室長のトーラス。トーラスはカイルが生まれた時からずっとカイルを診てきた。主治医といっても過言ではない。実の子供のように温かく見守り、時に厳しく、健やかに育つよう支えてきた。カイルを見る限りどんな状態なのかはすぐに分かったのだが、どうしてこうなってしまったのかがまったく分からなかった。カイルはこの国の第一王子。王子に危害を加えるなど反逆罪で酷ければ死罪である。もちろんその一族共々。そのときの状況を本人に聞きたいがこの状態では話すこともままならないだろう。



 なぜ医務室に居るかというと、あの後なかなか戻らないカイルを心配したローレンが、蹲り声なき声で苦しむカイルを見つけ、医務室へと運んだのだ。カイルの当初の予定では女性を医務室に連れていくはずだったが、当の本人が運ばれるという結果に。

 ローレンから言付かった侍女により王妃へとこの事が伝わり、お茶会という名のお見合いは中止になった。めでたしめでたし。



   




 









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