第2話「大昔でバースディを……」参
「一体どこまで続くんだ。歩いても歩いても、きりがない」
イズルは、月明かりを背に呟いた。
「もう、くたくたなの〜」
「ひかるさんッ、大丈夫ですかッ!」
庵野は、疲れ切ったひかるを心配しているが、ただ、オドオドしている。
「わたくし、もうダメですの」
結花乃が脱力したように、その場に座り込む。
つられたように、他の三人も座り込んだ。
どこまでも続く夜の荒野。
まるで四人は、永い遠に続く絨毯の上に置かれた駒のようだった。
「会長、大丈夫?」
「先程、足をくじいて……」
「腫れている」
イズルは、ハンカチを取り出し、結花乃の足首を固定した。
月光がイズルの横顔を照らしている。
「宝路君……」
結花乃は一瞬硬直したが、頬を赤く染め、うつむいた。
「月明かりって、こんなに明るいんだね」
イズルは、空を、広がる大地を見渡した。
ベージュの絨毯にそびえ立つ数々の岩も、月光に浮かび上がる。
「こんな明るい夜は、初めてですわ」
「見て、会長。月に、輪がかかっている、こんなにくっきり見えるなんて」
「宝路君……」
結花乃の瞳が月光を映し、潤んで揺れる。
「イズルちゃん、ひかる、おなかすいたなの〜」
突然、ひかるが後ろからイズルに抱きついた。
「うん、僕もだよ」
「でも、ひかる、イズルちゃんと一緒だからいいの〜」
幸せそうに、イズルの背中に頬を擦りよせるひかる。
「ひかるさぁんッ、こんな奴にくっついてはいけません!」
庵野が飛んで来た。
「そうよ、一年生、宝路君はお疲れですのよ。離れなさい」
「ひかる、イズルちゃんと一緒なの〜」
「ダメです!」
「ダメですわ!」
二人が同時に言った。
「ああ〜、もう。喧嘩している場合じゃないよ」
イズルが静め、
「どうしよう」
ため息混じりに荒野を見渡した。その時、少し離れた岩陰に、サッと人影が隠れた。
「今のは……?」




