何故ここに?
バイトに完全に遅刻した。
もう間に合わない・・・
先輩(仮)め!
カランカラン
喫茶店の中に入る
「すいません、今日からバイトの月宮ですが…」
店員らしき人に声をかけると、そいつは
「お前!!」
銀髪に金色の瞳が美しい先輩(仮)だった
「先輩(仮)!!何であなたが!」
「かっこかり?なんだそれ。つーか、お前何で逃げたんだよ。俺はあのとき、」
「騒がしいよ。司。お客様に失礼でしょ?君でしょ、今日からバイトの子って。僕は惑夜高校にかよう二年生、木林 流 よろしくね!」
先輩(仮)の話を遮り声をかけてきたのは木林となのる新緑色の髪にダークグリーンの瞳をした先輩(仮)と同じく整ったかおをした男だった
ホールから移動した私は応接室のような場所に案内された。なぜか先輩(仮)もついてくる。
「あ、あの遅刻して申し訳ありません。月宮光です。お願いします。」
「あー、いいよいいよ。大方司のせいだろうし。」
「えっと、司って…」
木林さんに謝ると木林さんは苦笑いしながら司のせいだと言った
そういえばさっきも出てきたな。私がそれを聞くと、木林さんの隣に立っていた先輩(仮)が不機嫌そうにまゆを歪めて口を開いた
「俺の名前だ!俺は天宮 司かっこかりじゃなくて一つ上の先輩だ。」
「なんだー。名前も教えてなかったのか。じゃあまだ聞いてないのか。」
「何のことですか?」
木林さんの漏らした言葉に私が食いつくと木林さんはニヤッとわらった
「僕と司、それからあと6人が前世では王子さまで、惑夜高校の言い伝えと同じような事が現代で起こるんだって。それを阻止するために二人の魔法使いを探してるらしい。で、君が司が見つけた魔法使いってわけさ。おもしろいでしょ?」
「だからほんとのことだっていってるだろ!」
木林さんの話に私が口を開けていると先輩(仮)じゃなくて、天宮先輩がほえた
必死の形相。それは冗談でも何でもなく
私には本当のことに思えた。
「まぁ、それはおいといて、今日からこの喫茶店“リトルレディ”へようこそ。これがマニュアル。今日は店長いないからわからないことは僕に聞いてね。基本的に君は接客。司と僕。それからあと二人いるからまた時間のあるときに教えるね。それじゃ始めよう!」
木林さんはマニュアルを手渡すと先に部屋を出ていった
「……お前も信じられないだろ」
二人になった部屋で天宮先輩がぼそりと漏らした
でも私が言うことはもう決まっていた
「……信じるのはそう簡単にできません。でも、天宮先輩が本当のことを言っているのは分かります。」
“……信じるのは難しいですが貴方が嘘を言ってないのは分かります”
いってる言葉となんだかんだ聞き覚えのある言葉がこだまする
「じゃあ、」
“本当か?”
「私が魔法使いであるなら、協力させていただきます」
“もちろん。しがない魔法使いですが、協力させていただきます”
頭に響く声をききながら私はどこか懐かしさを感じていた
そして私の前にいる天宮先輩は私に聞こえないような声でなにかを漏らし涙を流していた。