幕間という名の裏話
「さて、彼は行ってしまったね」
舞台が変わる。一面真っ白な空間だったのが一瞬にして、高級ホテルの最上階の容貌になる。
「神様として人とはあまり接触してはいけなのは分かるけど、あの最後は絶対面倒になったからすぐに送りましたって、言っているようなものだったよねえ。
まあ、半分はあってるけど。」
部屋にある最高級を感じさせるオフィスデスクと一対としてある、こちらも一級品であろうオフィスチェアに体を沈ませつつ、息を吐く。
そして、先ほど異世界に送った少年について考えながら、彼のステータスを見る。
「ヒトにしては、彼は無欲だったね。
ただ、悪いことじゃないでども、もう少し羽目を外してもいいとおもうさよね。折角の異世界なんだし。
それに、神様としても彼をこのまま行かせてしまうには、余りに振る舞いが少ないんじゃないかな?
すぐに送ったせいで、また彼の中の僕のイメージが悪くなるのは避けたいしね。
うん、そうだね、そうしよう。
転送にはまだ時間が掛かるし、今のうちにステータスを弄っちゃおう。」
これは彼の為にもなるしと、呟きデスクに肩肘を付きその手の上に顔を載せながら、彼のステータスを弄る。
彼がこの場にいたのなら、すぐさまハリセンで叩いていたところだが、生憎と彼は転送してしまっていない。神様を止められる者はもうここにはいないのだ。
しかしながら、この行為があとになって彼の命を救うのだから、結果オーライであろう。
「じゃあ、どうしよかな?
やっぱり彼の目立ちたくないっていう意見は、尊重しないとね。
そうなると・・・、そうだ!
彼は調教師について、とても興味を持っていたね。
モフモフがどうとか言っていたし。
うん、それがいいね。そうしよう。
でも、動物といっても色々いるし、モフモフって言ってたし毛皮がある動物が好きなのかな。
うん、きっとそうだね。そうに違いない!」
――リョウタ・ミカゲはスキル:テイム に [ネコ目] が与えられました――
「うん、これでよし。
でも、これだけだと寂しいし何か他には・・・・・・。
そうだ!僕の加護を与えよう!
そうすれば、彼の平均的な運もそれなりになるだろうしね」
笑いながら二度頷き、姿勢を正す。
次の瞬間には、先程までの子供じみた無邪気な笑顔は無く、神々しさを体中から放ってる。
恰も神であるかのように。
無論、本物の神様である。
「汝、御影 良太に加護を与える。
精進し、己を磨きなさい」
――リョウタ・ミカゲに 称号:異世界神の加護 が与えられました――
「ふう。これで彼も泣いて喜んでくれるだろう。
僕も楽しかったし、いい仕事だった」
そう言って、またデスクに肘を載せ、その上に頭を載せる。
そこから、天井まで届く大きな窓の外を見つつ、見えない世界できっと苦労しているであろう少年を思い浮かべ微笑んだ。
「君に幸あれ」
名前:リョウタ・ミカゲ
種族/歳:人間/15
職業:調教師
レベル:1
HP:160/160
MP:800/800
筋力:25
俊敏:40
耐久:15
魔力:80
運 :100
スキル:MP回復速度上昇(超) 算術 思考演算(上) テイム[ネコ目] ステータス操作 解析鑑定 言語習得 体術 偽装 生活魔法 幸運