第2話 プロローグ(2)
the説明回。
などと意味不明な供述を宣っており。
「心外だなあ。意味不明だなんて」
あれ、俺喋ってないよな?
「それはね、僕が心を読めるからだよ」
うっそ、すげえ。ところで、そんなことのできる貴方様って。
「うん。君の思ったとおり神様だよ」
そう、俺の曇りきった目ん玉の前には、超絶美少年がいた。
その金色の御髪は、それ自体が聖遺物であるのを主張するように神々しく輝いている。その碧色の瞳は、地上全てを見通しているように澄み切っている。背中からは、神様の代名詞たる後光がさしている。
この少年が神様と仰るのら、それはその通りなのだろうと思わせる風格がある。
「案外冷静だね。ここに来る者は、大抵慌てたり暴れたりするのに。
まあ、そのほうが都合がいい。
状況は飲み込めたかな?君は死亡し肉体から魂が離脱したよ」
まあ、そうでも言わないとこの状況を説明できないですし。
「ホントに冷静だね。
さっき言ってた死んだ時のことを覚えてないってことがいい方に効いたみたいだね」
ここは、そうみたい、としか言えないな。それで、俺はこれからどうなるんだろう。自分ではそれなりには善良だったから、地獄行きは勘弁して欲しいですけど。
「うん?ああ、君の考えてるようなことにはならないから」
では、どうして俺はここに呼ばれたんですか?
「うん、いい質問だね。
実はね、いきなり言ってもびっくりすると思うけど、異世界に行ってもらおうと思ってね」
なるほど。で、どういう世界でしょう?
「あれ?どうして驚かないの、異世界だよ?世界を渡るんだよ?」
そう言われましても、予想できた一つですし。世界を渡るのがどれほどすごいかわかりません。
「なるほど、理解したよ。無知は力なり、だね。
あまり褒められたことじゃないけど、知らない方がいいこともある。難しい問題だ。
さて、話がずれてしまったね。君に異世界に行ってもらう理由だけど、二つあるんだ。
突然だけど君は、この世界がどれほどの質量を許容できるか理解できるかな?
もちろん、天国や地獄なんて場所も含めてね。
色んなもの全て合わせると不可説不可説転と言われているよ。
なぜこんな回りくどい話をしているかというと、実はその不可説不可説転という莫大な許容量が限界にきそうなんだ。
そこで、数ある物質のなかでそれなりに容量を取る人間を違う世界に送ることで世界の容量を減らそうとしてるんだよ。
ここまではいいかい?」
ダイジョブッス。てか、そんなこと言われても、まじか、としか思えないです。
「あはは。だよね。でも、一応説明して納得して行ってもらわないと後で他の神様にうるさく言われるんだ。僕が。なんで最後までちゃんと聞いてね」
ハイッス。(色々大変なんだな。)
「まあね。さて、二つ目の理由はね、これも容量を減らすためなんだ。
どちらかと言うと、こちらの理由があるから、人間が選ばれたともいえるよ。
また話を飛ばすけど、君を送る世界は剣と魔法の世界なんだ。
そこでは、マナと呼ばれるエネルギーが世界中にあるんだ。
ここまで言うと分かるかもだけど、この世界にも実はマナはこの世界では余り使われてないんだ。
なのに容量ばかり取るからそれを少なくしたんだ。
でも、マナそれ自体を異世界に送ることはできないから、人間に添付して送ることにしたんだ。
以上が理由かな。何か質問は?」
俺が送られる世界は魔法がある世界なんですか、初耳なんですが?あと、なぜマナだけでは送れないんですか?
「あ、ごめんごめん。言い忘れてたよ。僕ってよくおっちょこちょいとか、のほほんとしてるか言われんだ。
また、話が反れたね。ごめん。
それでマナだけ送れない理由は、分かりやすく言うと、水面に風を吹きかけても空気は水面を揺らすだけでしょ。
水の中に空気を入れたいなら石何かを入れればいい。
そういう事だよ」
な、なるほど・・・。それって俺水面に落とされるわけですか、危険じゃなですか?
「ダ、ダイジョウブだよ。何度もやってることだよ?しし、失敗しないよ」
吃らないでくださいよ!余計怖くなります。
「ごめんごめん。じゃあ、他にないかな?」
なんか、話そられてませんか?まあ、いいですけど。異世界に行かないって選択はあるんですか?
「そんなことないさ。
で、行かないって選択肢かい?もちろんあるよ。
でも、僕は行くことをオススメするよ。
行かない場合、君の魂は、地獄に落ちて、極刑の罰が下るよ。
なんたって神様の願いを無碍にするんだからね」
それ、最初から選択肢なじゃないですか!
「あはは。そうとも言うね。
でも、悪いことばかりじゃないよ。
行ってくれるなら、マナが大量に宿る訳だし。あ、全部じゃないよ。
他にも、餞別として色々な能力を与えてあげるよ」
ハーー、もういいです。まあ、行くつもりでしたからいいですけど。
能力って例えばどんな?
「フフ。言うと思ってたよ。
能力の話はあとにしよう。与える時に教えるよ。」
魔法は俺にも使えますか?
「もちろんさ。
因みに、君が行く世界の名は、エーデンクルク。
時代にして中世のヨーロッパだと思えばいいよ。
この世界はステータスによって自己の能力が縛られる世界だ。
まあ、それだけじゃないけどね。
エーデンクルクでは、誰しもが、魔法を使えるからね。君も使えないと困るだろうから、使える体を用意するよ」
体を用意ってさすが神様。あと二つだけ、どうして俺なんですか?
「それはね、君がマナを吸収しやすい体質だからだよ。もちろん、他にも、善良性や将来性等もチェックしてるよ」
なるほど。なんとなく分かりました。
最後に、俺って死んだんですよね。家族とか友達とかどうしてますか?
「皆悲しんでいるよ。でも、気を落とさないで。向こうに行ってくれるなら神の奇跡でいい方向に向かうようにするからさ。君は安心して異世界で生きなさい」
ホントですか!ありがとうございます。話は長いし、自分でおっちょこちょいとか言っちゃうし、吃ったりするし、横暴だし、神様の株、暴落中でしたが、ちょっと持ち直しました。
「はは。君もちょっとオブあラートに包もうか」
でも、分かっちゃうんでしょ?
「まあね」