表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RPG~Real Playing Game~  作者: KAITO
序章「全ての始まり」
1/37

第一節

 気が付いたら、草原に立っていた。

 透き通るような青空に白い雲がちらほらと浮かんでいる。高いところにある太陽はさんさんと陽光を大地に降り注ぎ、頬を撫で前髪を揺らす風は優しく吹いている。

 辺りを見渡すと付近に小さい丘が、遠くに林か森の入り口らしき木々が見える。地平線の彼方には山々が聳えていた。

 丘と木々を避け草原を横切るように一本の線が伸びている。土色のそれは道のようにも見える。

 のどかと言える光景の中に居て、しかし俺は混乱の極みにあった。

 俺は、こんな景色を知らない。

 いや、そもそも何でこんな場所にいるのか分からない。

 そして、頭に浮かぶ【特典】とは何だろう?


 そう思っていると、【特典】に関する知識が「湧いてきた」。そう、それはまさしく湧いてきたと表現できる。まるで初めから知っていた知識を思い出したかのような感覚だ。そのせいかこの現象に違和感を感じないのでかえって不気味だ。

 その知識によると、俺は何者かによってこの世界に呼び出されたようだ。そして強制的に呼び出す代わりにある程度の【特典】が貰えるらしい。色々な【特典】があり自由に選べるようだが、ポイント制な上にポイントの量も不定だそうだ。

 俺の保有ポイントは「6」。これが多いのか少ないのかは分からない。とりあえず貰えるのなら欲しいし、どんな特典があってどれくらいポイントを使うのかを確認したい。

 そう思っていると再び情報が頭に浮かんでくる。本当にどうなっているんだろう。

 まず【経験点:一万点:1ポイント(複数可)】。さっそく訳が分からない。ポイント数は必要なポイントだろうし、複数可っていうのも文字通りだろう。ただ、経験点とかまるでゲームだ。

 俺の狼狽なんてどこ吹く風とばかりに情報が浮かぶ。


 経験点とは神の恩恵であり、神の加護を得るためのもの。経験点を使用することによって【能力】の上昇や【技能】の獲得および成長が可能。


 芋づる式に色々出てくるな。この一万点って数がどれくらいのものなのか分からないのが不安だが。

 てか神の恩恵って。この世界には神がいるのか。説明の内容から考えるに【能力】やら【技能】やらってのが神の加護?

 じゃあ次は【能力】と【技能】についてはっと。


 能力とは各個体の持つ力であり、【筋力】【耐久】【敏捷】【感覚】【魔力】の五つである。各能力は【等級】で表される。

 技能とは各個体の持つ技術であり、技能を持つ個体はその技能に関する経験や感覚を得る。ただし、知識においてはその限りではない。技能は【等級】で表される。


 つまり、【能力】とはゲームで言うところのステータスか。で、【技能】はスキルとかジョブみたいなものか?

 そしてこの等級っていうのはレベルだろうか。そう疑問を感じた時には答えが浮かんでいた。


 等級とはこの世界の様々な対象を評価する方法であり、評価の低い方から「一級」「二級」と数える。基本的には「十級」が最高評価となるが、特に優れている対象は「特級」と表される。


 基本は十段階評価で例外判定が特級ってことか。

 とはいえ基本的な、もしくは平均的な評価が何級なのか分からない上に自分の能力が技能の等級も分からない。

 確認する方法はないのか?

 と思ったら今度はステータス画面のような情報が浮かんできた。

 それによると、俺の能力は【筋力:二級】【耐久:二級】【敏捷:二級】【感覚:二級】【魔力:二級】で、技能は【魔術:一級】らしい。また、現在保有している経験点は五百点だそうだ。

 出たな経験点。試しに【筋力】を成長させようと意識してどれくらい経験点を使うのか確認しようと思ったのだが、意外にも分からなかった。しかし「成長させることができる」という感覚はある。

 つまり、いくつの経験点を使うのかは分からないということか?

 とはいえ、二級から三級に上げるのに五百点も使わないと考えると、一万点は凄まじい数値じゃないのか?

 さて次、能力の等級を見る限り、基本的な等級は二級なのか?

 だとすると、魔術の一級しかない俺の技能は散々なものだということになる。

 そもそもこの【魔術】の技能って何なんだ?


 【魔術】の技能を持つ者は、魔法を行使する技術を得る。


 案の定と言うべきか、答えが浮かんだ。

 しかし、魔力に魔法か。素晴らしい!

 そして魔力と魔法に関する知識は…浮かんでこないか。

 ただ、技能のおかげか魔法の使い方は感覚的に理解した。

 この感覚は表現し辛い。例えば健常者なら「手足はどんな風に動かすの?」と聞かれても答えようがないだろう。

 そんな言いようのない感覚だが、「できる」という確信は持てる。これが技能か、凄いな。


 さて、脱線が長くなったが【特典】確認の続きだ。

 【武器:五級以上:(任意の種類):1ポイント(複数可)】と【防具:五級以上(任意の種類):1ポイント(複数可)】か。

 それぞれについて考えてみたが、何も浮かんでこない。全て文字通りということか。等級がランダムなようだが、いくつ以下などという制限がないところを見ると十級が出る可能性もあるのか?


 次は【特殊:自動翻訳:1ポイント】。

 特殊ってなんだ?


 特殊とは特殊能力のことであり、技能よりも強力かつ専門的な技能または性質である。


 【自動翻訳】とは使用される言語に関係なくその意味を理解し無意識に使用することができるようになる特殊能力である。ただし、一定以上に体系化された言語を用いていなければならない。また、自動翻訳による情報は自身のもっとも慣れている言語として認識される。


 自分が聞く時には日本語、相手が聞く時には相手の良く使う言語として聞こえるということか。もし読唇術の技能とかあったらどうなるんだろうか。無意識に使用されるってことは、文字の方もいけるのか?

 で、「一定以上に体系化された言語」をって条件から察するに、動物とかの言葉は分からないということだろう。

 しかしこれは定番かつ必須だな。そもそもこんな特殊能力が特典の中にある時点で今のままだと言葉が分からないと言っているようなものだ。


 他には【特殊:限界突破:1ポイント】に【特殊:経験の深化:1ポイント】か。


 【限界突破】とは自身の限界を無効にする特殊能力である。

 【経験の深化】とは自身が得られる経験の効果を高める特殊能力である。


 えらくさっぱりした説明だな。具体的な効果が分からん。

 【経験の深化】の方は経験点の入手に補正をかけるタイプだろう。

 【限界突破】は…能力や技能なんかの等級の限界を無効にするのか? それとも脳のリミッターを外す的な?

 どちらにせよ、非常に有用な特典だ。


 どんどん行こう。【特殊:勇者の加護:1ポイント】。

 …え? 勇者?


 【勇者の加護】とは全ての行動に神の加護が与えられる特殊能力である。


 さっぱり分からん。加護ってなんだ? いや、そもそも勇者?

 何これ。呼び出されたってのは知ってるけど、これっていわゆる勇者召喚だったの?

 だとしたら呼び出した奴が目の前にいるものじゃないのか? こう、城の広間みたいな場所にいて王様とか王女様とか兵士に囲まれてたりとか。

 全く訳が分からない。


 とりあえず次行こう次。【特殊:特殊創造:?ポイント】。また変なのが出てきた。


 【特典:特殊創造】とは任意に特殊能力を創造する特典である。ただし、その効果に応じて必要となるポイントが決定する。


 これ凄まじいな。好きな特殊能力を創れると。ただし下手に強すぎる特殊能力を創ったらポイントが酷いことになるみたいだが。

 どれくらいの特殊能力ならいくらのポイントになるのか予測できないのがきついな。

 どうやら【特典】については以上のようだ。

 このままノリとテンションに任せて決めてもいいが、とりあえず一旦落ち着こう。


 今まで現実逃避し続けたが、「この世界に呼ばれた」? 魔力に魔法?

 ここは、異世界なのか? 夢とかじゃなくて?

 と言うより、そうじゃないとおかしい体験をしたばかりだ。なんだよ知識が湧いてくるって。怖いわ。

 確かに俺は今まで異世界トリップとか異世界転生に憧れ求めてきたが、まさか本当に経験できるとは。

 しかし帰れるのだろうか? きっとここにはアニメやゲームはおろか、漫画もラノベもないだろう。当然続きなんて見られない。

 いや、ここはきっと剣と魔法の世界。しかも俺は既に魔法が使える。加えて【特典】と言う名のチート付き。

 元の世界に帰りたい理由なんて趣味が満たせないくらいだが、魔法が使えてチート持ちなんて夢のような状態ならこの世界で生きた方がいいに決まっている。

 うん、未練なんてない。むしろこの幸運に感謝しよう。

 そうと決まれば【特典】をどうするか考えないと。幸い、今すぐに決める必要はないようだし。

 その前に今の状況をどうにかする方が先か。とりあえず水と食料がないと死ぬ。魔法で水は出せるかもしれないけど飲めるかどうか分からないし、どの道食べ物はない。

 道っぽいものも見えてたし、とりあえず道に沿って歩くしかないか。

 時間はあるしじっくり考えよう。ついでに魔法の検証もしよう。




 こうして俺のゲームな異世界での生活が始まった。


 初投稿です。誤字・脱字のご指摘や感想など頂けると嬉しいです。

 不定期更新になると思いますが、完結目指して頑張っていきたいと思います。


 本編はしばらく設定語りが多くなります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ