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6 月を欲して


君は

アシュレ・ウィルクス

という月を

欲しがって泣く

子どもだった


空の月は

はるか彼方に

眺めればこそ

清く貴く

麗しいのだ


だが

後先も

欲する理由も

ついぞ

自分に問うことなく


君は月を

取ってくれと

せがんで泣いた


飽きもせず10年

取ってくれと

泣きつづけた


よしんば

手に入れたところで

君はその月を

どうしたろう?


間近で

眺めてみようにも

月はあまりに

大きすぎ


それより何より

どうやって

君はその

か細い腕に

月を抱こうと

考えたろう?


俺は

詰問したかった


いや事実

君が興ずる

月採り遊びが

いかに無謀で 

馬鹿らしいかを


俺は

手を変え

品を変え

事あるごとに

説いたはず


恨むらくは君が

もう少し

大人だったら


君が

もうほんの少しでも

目の前の男の

涙ぐましい心の内を

察するに

敏かったら


そんなときの

俺の口調が

嫉妬に

狂わんばかりだったと

一目瞭然だったはず


だがしかし

月採り遊びに

夢中の君は


幸か不幸か

そんなことには一向に

頓着しようと

しなかった




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