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2-Chip-発明

この物語はフィクションです。

実在の人物、地名、団体名等とは、一切関係ありません。

BrainChip(ブレインチップ)、それが今回の発明です」


「BrainChip・・・?」


「皆さんは見たことも聞いたことも行った事もない場所の風景を

鮮明に思い浮かべる事ができますか?」


正一の発言に会場はまたざわめきだした。


「出来るわけない、不可能だ」


「本来このチップは脳内記憶装置として開発が進められていたもので

人間の記憶をこのチップにバックアップする事が目的でした。

しかし今回の発明はそれだけでなく、予めチップに入れておいた情報も

自分の記憶として利用できる、言わば記憶を作ることの出来る装置なんです」


「記憶をつくる・・・?」


「記憶には短期記憶と長期記憶と言う物があり、

その違いは情報のありかが脳のどこにあるかなのです。

短期記憶を司る海馬に情報がある段階では、

その知識は短期記憶のままです。ですが海馬にあるその情報を、

電気の波が長期記憶を保存する大脳皮質へと移動させられると

その情報は長期記憶となるのです。

そして今回注目したのは電気の波です。

私はその電気の波を人工的に作る実験に成功しました」


会場に来ていた学者達は目を丸くし完全に言葉を失っていました。

正一(かれ)はここまで常識を覆すことができる人間なのか

と驚き、怯える様に見つめました。


「ありとあらゆる情報を脳に入れることが出来る。

すばらしいと思いませんか?

その他にも、独自の最先端技術を駆使したCPUを搭載しているので

自分の脳を最新のコンピュータとして作動させることも可能にしました。

これぞ人間の限界を超えた発明なんです!」


会場は一度静まり返り

そして一瞬のうちに歓声と拍手で溢れた。

それから発明の安全性、実用性等詳しい説明が続き、

発表が終わったのは開始から約6時間後だった。


そして発表が終わった後、

正一は学に話があると言い研究室に呼び出した。


「お疲れ様です!」


「お疲れ。本当に疲れた」


「話ってなんですか?」


「ああ・・・」


「??」


正一は完成したチップが入っているカプセルを手に取り溜息をついた。


「確かにこれは完成している。しかしそれはデータ上であって

人体実験はまだ行ってない」


「その事でしたら大丈夫です!研究員の中から手配してありますから!」


「その事なんだけど・・・」


「どうしたんですか?」


「俺が自分で試してみようと思うんだ」


正一の発言に学は愕然とした。

確かにそれは正一の性格上十分予測できたことだった。


「絶対駄目です!!リスクが高すぎます!!」


「そう言うと思った。でも決めたことだから」


「なんでいつも一人で決めてしまうんですか!!」


「悪い。だがもし、この実験で研究員が死んだらどうだ?

仕方ないで済まされると思っているのか?」


「それは・・・」


「それに俺は自分の発明に誇りを持っている。

だからこそ、自分で完成させたいんだ」


「それなら僕がやります!僕にやらせ下さい!」


「駄目だ。いくら学の頼みでもそれは・・・」


「正一さん!!」


「頼む、わかってくれ。この事はこの研究を受け継いだ時から

決めていたことなんだ。学なら分かってくれるだろう?」


しばらくの間沈黙が続いたが

学はそっと口を開いた。


「わかりました」


「学!!」


「でも、無茶はさせません。オペには僕も参加します」


「もちろんだ!」


こうして人体実験は正一本人が行う事となったが

その事実は政府や研究所の反対を考え

手術に必要な極僅かな人間だけに知らせることとなった。



それから数日経ち手術を3日後に控えた正一はその準備として

研究所内の施設に入院し手術前の検査を繰り返し、

その事は他の研究員達には人間ドックの為の入院と伝えていた。


そんな時、特殊部隊に装備させていた人工知能型探索記録ロボット

通称、Mvil(ムビル)が研究所に記録データを送信してきた。


「遅れてすまない。で、肝心のデータは?」


「いえ、それよりお体の方は大丈夫なんですか?。」


「問題ない。データを」


「はい、こちらです」


「これは・・・」


隊員達の健康状態はすべて情報化されMvilへ送られる。

よって彼らの生死はMvilから送られてくる情報により把握できる。

しかし電波妨害により今までMvilからは一切連絡はなかった。

それが今となって送られてきたと言う事は

Mvilが人工知能を駆使し何らかの方法でデータを送信したか、

敵がわざとデータを送らせたのどちらかである。


「部隊が全滅だと・・・」


「データ上ではその様ですね。

しかし、敵がわざとそう言った情報を

送信させた可能性もあるのではないでしょうか?」


「可能性は捨てきれない。だが、ほぼありえないだろう。

Mvilのセキュリティがこんな数日で破られるとは思えないし、

そこまでして送らせたとしても、あいつにはなんもメリットもない」


「ですね・・・」


「他のデータは?」


「映像も送られてきているみたいです。

もう少しで解析が終わります」


「どれくらいかかりそうだ?」


「少しお待ち下さい」


「早くしてくれ」


「はい・・・・・解析が終了しました」


「見せてくれ」


「今モニタに映します」


・・・・・


・・・・・


・・・・・


「兄さん、元気?」


モニタに映像が映り、

幼く綺麗な声が通信室に響きわたった・・・。

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