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1-Chip-希望

この物語はフィクションです。

実在の人物、地名、団体名等とは、一切関係ありません。

【 2116年8月 】

世界は22世紀にして16回目の夏を向えた。

この夏、歴史上最も偉大ともされる発明が生まれる事となる。

物語(すべて)はここから始まった。



「現在目的地上空に到着しました」


「数値は?」


「これといった異常ありません。ただ、」


「ただ?」


「電子数値が少し高いかと」


「なるほど、恐らく電子兵器だろう。念の為データをこっちに送ってくれ」


「了解。送信完了しました」


「やはり電子(レーザー)式防御システムか。大丈夫だ機体へのは問題ない。

だが恐らく通信システムは妨害されて使えないだろう」


「了解」


「潜入を許可する任務を遂行しろ」


「了解」


どの国にも属さす、地図にもない、事実上存在しない島がある。

しかしある重要な任務の為

NonCrime(ノンクライム)】通称【NC(エヌシー)

と言われる研究所から特殊部隊がその島へ派遣された。

NC特殊部隊(彼ら)の任務とは・・・


「部隊との連絡が途絶えました」


ここはNC研究所の通信室。


「やっぱ妨害されちゃったかー流石俺の弟ってとこか・・・」


彼は 新堂正一(しんどうしょういち) この研究所の設立者である。


「正一さんも十分凄いですよ!あの電子防御を突破できる機体(マシン)を設計するなんて」


そして彼は 大方学(おおがたまなぶ) 正一のとても優秀な助手だ。


「あれぐらいは当然。まあ通信が途絶えたのは俺の力不足だ」


「そんな事ないですって・・・」


「そんな事あるの。まあ途絶えた以上こちらでは何も出来ない。後は彼らの無事を祈るだけだ」


「そうですね・・・。そ、そう言えば正一さん!」


「ん?」


「例の件ですが・・・」


「ああ、大丈夫。資料なら完成してるから。後で送っとくよ」


「そうではなく・・・」


「なに?」


「本当にあれを世間に発表する気ですか?」


正一は少し飽きれた様子で答えた。


「またそれか。もう決めたことだ」


「・・・」


その返答に黙り込む学。

そんな学に正一はそっと話しかけた。


「確かに、あれは俺一人の力で作った物じゃない。

お前だけじゃなく、この研究所の皆のお陰でもある」


「・・・」


「でもそれだけじゃない。あれは俺のそしてお前の親父達の希望でもあったんだ。

だからこそ、だからこそこれは世間に発表するべきなんだ。親父達が出来なかったことを

俺達が達成させるんだ。お前の親父もそう望んでるはずだ」


「そう・・・ですね・・・」


「そうだ」


「しかしこれはもし悪用でもされたら大変な事になりますよ・・・」


「悪用はさせない。絶対にだ」


「・・・」


「信じろ!」


正一の強い口調に学は大きく溜息をつき、少し悲しい表情を見せた。


「そうですね。今止めた所で会議はもう終わっているし発表も決定した事ですもんね。

それに僕がなんと言ったってどうもなりませんよね・・・」


「学・・・」


「だから僕は正一さんを信じます!これまでそうして来た様に!」


「ありがとう、学」


「いえ!」


学の一番の不安、それは世間の目や経済的な物ではない。

正一の発明で人が傷つくことだ。過去一度正一の発明が悪用され

日本そのものが危険にさらされた事があった。

正一はそれを直ちに解決し、日本を救い、英雄となった。

が、それと同時に正一に対する不満の声が多くなり、

正一を批判する学者まででてきた。

それでも正一が研究を続けられる理由、それは発明だ。

今や日本は正一の開発した防御システムによって外からも内からも守られている。

国内での犯罪は激減し、他の国から狙われる事もなくなった。

正一は日本にとっての希望であり、脅威でもあり、


すでに正一は日本に必要不可欠絶対的な存在となっていたのだ。


が、もしそんな彼の発明によって大勢の命が失われたら・・・

学は不安でならなかった。それは学にとって正一が国よりも大きな存在だったからだ。

しかし、そんな学がここまで今回の発明の発表を拒んでいたのは

今回の発明があまりにも偉大で、脅威的な、歴史上それとない大発明だからだ。

発表を明日に控え。学の不安は肥大していくのであった。


そして翌日、発表は予定通り行われることとなった。

発表は研究所内の完全なセキュリティが完備された施設で行われ

その様子は研究所にある放送局から全世界に生中継で放送される。


「えー...どうも皆さん始めまして、いや、始めましての方は始めまして。

えーその...今日はその...あの...」


「正一さん!」


「・・・わかってる」


正一は人前で喋るのがあまり得意ではない。


「皆さんにも事前にお伝えしたように、ある発明が完成しました。

この発明は自分で言うのもなんですが、とても偉大な発明です。

実はこの発明は私の父も研究をしていました。

しかし皆さんもご存知の通り研究所の事故で父は死に、

研究資料を私に託し、この世を去りました」


正一の父の話が出ると会場はざわめき出した。

(かれ)もまた偉大な発明家であったからだ。


「私は父の意志を受け継ぎ、そしてついに成し遂げたのです。

あの父ですら成し遂げられなかった事を、この私が!」


会場は静まり返り、じっと正一の次の言葉を待った。


BrainChip(ブレインチップ)、それが今回の発明です」


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