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綺麗なバラには棘がある  作者: 朱音小夏


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episode9

手合わせの結果、シャルロッテの圧勝であった。

そんな二人の手合わせの様子を見ていた生徒達からは、「あのダニエルに勝つなんて...」「鮮血の舞姫の噂は本当だったのか」と口々に声が上がった。


「いやぁ、参ったよ。シャルロッテ嬢。」

「こちらこそありがとうございます。とても楽しかったですわ」

「実にいい動きだったよ。もう授業は要らないくらいだ。」

「いえ、私などまだまだですわ。」


二人が称え合っているとパチパチパチと手を叩きながら一人の老人が付き人を引き連れこちらへとやって来た。


「二人共。じつに王立学園の名に相応しい素晴らしい勝負であった。」

「!学園長!!」

「えっ?」


ダニエルが老人を学園長と呼ぶと、シャルロッテは鳩が豆鉄砲でも食らったかの様に目を点にした。


「シャルロッテよ。ようこそ王立学園へ。私共教師一同、皆で君を...いや、ジークハルト王子殿下、付き人ウェン。君達の入学を心より歓迎する。まぁ、入学式は明日だがフライングで祝わせてもらうぞ。」

「「「ありがとうございます、学園長先生」」」


三人が礼を言うと学園長はホッホッホッと笑いながらその場を去っていった。

その後は祭りでも始まったかの様に武道場は歓声で溢れかえった。「あの学園長が直々にいらっしゃるなんて」「ジークハルト王子殿下...なんてお美しいのかしら...」そんな言葉を聞きながらシャルロッテ達も学園長同様、武道場を後にしたのであった。

そして学園寮へと戻って来ると、食堂で夕食を済ませ、シャルロッテはジークハルトとウェンの二人と別れ、自室へと向かう。そして部屋へと辿り着き中に入ると、ミサトが疲れた様な、それでいてどこか楽しそうな顔をしてシャルロッテを出迎えた。


「お帰りなさいませ!シャルロッテ様!」

「ただいま、ミサト。何だか楽しそうですわね?」

「あ...わかりますか?」

「えぇ。とても良い顔をされてますわよ?」


シャルロッテはフフッと笑いながらミサトを見やる。ミサトは照れくさそうに言葉を紡いだ。


「あれからメイド長に連れられメイドの集いに参加させて頂いたんです。メイドの作法はオーベル家でしっかり学びましたが、それでも知らない事だらけで...でも皆様はとても良くして下さったんです。それが嬉しくて嬉しくて...」


元々は孤児だった彼女はたくさんの人と交わる事を知らなかった。だから余計に楽しい時間となったのだろう。シャルロッテは優しい笑みを浮かべ、ミサトの頭を撫でた。


「良かったですわね、ミサト。貴方が嬉しいと私まで嬉しくなりますわ。」

「シャルロッテ様...」

「さぁ、明日の入学式は早いですわ。就寝の仕度をお願いします。」

「はい!シャルロッテ様!」


シャルロッテはミサトにそう言うと寝るためにドレスから寝巻きへと着替えた。そしてミサトに「おやすみ」と声をかけ彼女から「おやすみなさいませ、シャルロッテ様」と返事を聞き、彼女が部屋を後にするのを確認する。すると余程疲れていたのか、緊張の糸が途切れたかの様に深い眠りに着くのであった。

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