episode8
シャルロッテとジークハルトはウェンと再び合流すると校内を探索し始めた。探索と言っても、明日の入学式後、正式な校内案内がされるため、ただのヒマ潰しの様なものである。
「流石、伝統ある王立学園ですね...。年季は入ってますが何処も綺麗に手入れがしてある。」
ウェンがそう言うとシャルロッテが「そうですわね」と返事をするが何処か上の空の様であったため、ウェンは疑問を持った。
「ロッテ様?いかがなさいましたか?」
「...!い、いえ。何でもありませんわ。さぁ、今度は武道場へ参りましょう。」
「?」
「ウェン、ロッテなら大丈夫だよ。彼女の言う通り武道場を見に行こう。」
「...分かりました。」
ウェンは何だかモヤモヤと煮えたぎらない感情を抱きながら二人に従うのであった。
そうこうしているうちに、三人は武道場に着き足を踏み入れた。そこでは在校生が体術や剣術、魔術に磨きをかけていた。そんな光景にシャルロッテは目をキラキラさせ、先程までの大人しさは何処へやったのか、興奮気味にはしゃぎ始めた。
「お二人共!とても凄いですわ!この様な光景を目の当たりにすると...私、何だかうずうずしてきましたわ!」
シャルロッテの声に気が付いたのか、在校生の一人が「あれ?君たちは...?」と話しかけてきた。
「鍛練中申し訳ありません。私武術に目がなくて...」
「ロッテ様、宝石やお菓子では無いのですから...」
そう二人がやり取りしていると、在校生の彼はクスリと笑った。
「全然構わないよ。好きなように見ていっておくれ。あぁ、僕は2年のダニエル・トーマス。よろしくね。」
「私はシャルロッテ・オベールと申します。」
シャルロッテが名乗ると彼、ダニエルは「そうか、君が噂の...」と呟いた。
「良ければ僕と簡単な手合わせでもするかい?こう見えて武術の成績はいい方なんだ。」
「けれども...」
シャルロッテはジークハルトへと目をやると彼は「良いんだよ」と声をかけた。
「先程の騒ぎの原因はあの男だ。だがダニエルさんとなら別に構わないよ?あの無粋な男とは違う様だからね。それに私もここに居る。」
「!ありがとうございます、ジークハルト様!」
「ジークハルト?」とダニエルが声を出して呟くと「あぁ、失礼」とジークハルトはダニエルに名乗った。
「私はジークハルト=ヴァロワ。隣国のヴァロワ皇国の第一王子でシャルロッテの婚約者です。」
すると、ダニエルは慌てた様に声を上げた。
「王子殿下でいらっしゃいましたか!御無礼をお許し下さい。」
「別に無礼では無いので構いませんよ。それよりも早く彼女の相手をしてあげてはくれないでしょうか。」
ダニエルはジークハルトに促されシャルロッテへと向き合う。
「では始めようか。対戦方法は何がいい?」
「それでしたら体術で!」
そう言い放つ彼女にジークハルトはブハッと声を上げて笑った。
「ロッテ、君は本当に体術が好きだね。フフッ」
「あら。気にしなくて良いと言ってくださったのはジークハルト様ではありませんか。」
「そうだったね。すまない。」
そうして二人のやり取りが終えるのを見計らってダニエルが声をかけた。
「では、始めようか。互いに手加減は無しだよ?」
「もちろんですわ。よろしくお願い致します、先輩?」
二人は不敵な笑みを浮かべながら手合わせを開始させるのであった。




