episode6
学園の校庭にはシャルロッテ達と同じ、新入生で溢れかえっていた。皆シャルロッテの存在に気がつくと、「あれが噂のオベール家のシャルロッテ嬢...」「鮮血の舞姫だ...」とコソコソと喋りあっている。そんな中、シャルロッテ達の元に一人の男性が歩み寄ってきた。それは言わずもがな、ジークハルトその人であった。
「やぁ、ロッテ。久々だね、会いたかったよ。」
彼はそう言うとシャルロッテの手を取りそっと口づけた。
「ジークハルト様。公衆の面前でよして下さいな。」
彼女が身震いをしながらそう言うと「しかし」と彼は言葉を続けた。
「君が私の愛しの婚約者だと見せつけたかったんだよ?」
「頼んでいませんわ。」
「まぁまぁ。私がそうしたかったんだ。」
シャルロッテの反論を聞いてもなお熱い視線を送り続けるジークハルト。そんな彼に彼女はため息をついた。
「寮の部屋に荷物を置いてきたいのですが?」
「あぁ、そうだったね。私も手伝うよ。」
「ジークハルト様の手を煩わせる訳にはいきませんわ。」
「いいからいいから。」
ジークハルトはそう言うとシャルロッテの手に持たれた荷物を奪っていった。
「さぁ、行こうか。」
彼がそう言って公衆の面前から離れようとすると、一人の男子生徒が「ちょっと待ったァ!」と声をかけてきた。
「お前があの鮮血の舞姫と噂のシャルロッテ・オベールだな。」
彼はそう言うとシャルロッテ達の道を阻んだ。
「オレの名はアラン・バロンだ!お前に勝負を挑み込む!!」
アランがそう言うと、ジークハルトがシャルロッテの前に出て彼女を守ろうとする。しかし、シャルロッテはそれを断るようにジークハルトへ声をかけた。
「ジークハルト様、よろしいですわ。」
「しかし...」
「こう言った方は一度痛い目にあって頂かないと。」
「...君がそう言うなら。好きな様にするといい。」
「ありがとうございます。」
「...ゴチャゴチャうるせーゾ!勝負するのか?!しないのか?!あぁ。もしかして噂ばかりが先走って、実はそーでも無かったりするのか?」
アランがニヤニヤとしながらそう言うと、シャルロッテは瞬時に彼との距離をつめ見事なアッパーカットをお見舞した。
すると、アランの身体は空中へと舞い、地面てと叩きつけられた。
「グッ...!!」
「コレでよろしくって?」
ジークハルトがそう言うとジークハルトがクツクツと笑いながら近づいてきた。
「ジークハルト様?」
「いや...好きにすると良いとは言ったが...フフッ、まさか一発、それもアッパーカットで男相手に買ってしまうとは。流石私のロッテだ。」
「...貴方様のモノになった覚えはありませんわ。」
「つれないなぁ、ロッテ。」
そう言い合いをしている最中、誰かが呼んだのか教師が三人、駆け寄ってきて「何事だ!一体何をしている!」と声をかけてきた。
「先生。丁度よろしいですわ。あそこで伸びている彼を医務室へ運んであげて下さらないでしょうか?」
「君はシャルロッテ・オベールだな。入学早々問題を起こすなどと...」
「お言葉ですが。問題を起こしたのは彼女ではなくそこの彼だよ。彼女は護身術を使ったに過ぎない。」
「!!ジークハルト王子殿下!」
アッパーカットを護身術と言ってみせた彼はやはりどこか変わっている。
「さぁ、もういいかい?彼女らを寮へ案内したいんだ。」
「か、かしこまりました...」
ジークハルトが教師らに向けそう言うと、彼はシャルロッテ達を連れて学園寮へと消えていった。
彼らが去った後の校庭では、男子生徒も女子生徒も「流石シャルロッテ嬢!!」と彼女を称える声で溢れかえっていたのであった。




