episode3
長く、平和な月日が流れ、シャルロッテとウェンが14才になる頃、二人は翌年王立学園へ入学する事が決まった。王立学園には様々な子供が入学してくるが、一際多いのは貴族の子息、令嬢だ。シャルロッテは貴族令嬢として。ウェンはそんな彼女の付き人として学園へと通うこととなる。
しかし、シャルロッテはそれだけではなかった。
「シャルロッテよ。お前に嬉しい話がある。」
いつもシャルロッテに手を焼いていた父がとても嬉しそうな笑みを浮かべて話しかけてきたのだった。
「隣国の王子殿下がこの間お忍びでこの国へと来たらしい。そこでお前を見かけて是非婚姻を結びたいと仰っていたそうだ。」
たしかに数日前、ウェンを共だって街へと出かけていた。その時迷子で泣いている子供をあやすために魔法を使って見せたり、奴隷商に攫われそうになっている子供を助けるために、ウェンと共に体術でボコボコにしたのは記憶に新しい。
「お前も本来ならもっと早くに婚約者を持つべき所、お前のヤンチャが噂になってそう言った話が来なかったのだ。いやぁ、よくやったぞ、シャルロッテ。」
「はぁ...それをお断りする事は...」
「出来ないに決まっているだろう!」
断ろうとしたシャルロッテは間髪入れずに反論されてしまった。
「急な話だが、明日、王子殿下が我が家へと訪れてくださる事になった。私もいるが粗相のないように頼むぞ。」
「...わかりましたわ。明日ですね。」
「あぁ!私は楽しみで仕方ないよ。」
父が嬉々としてはしゃいでいるのを見て、シャルロッテは大きなため息をついた。
「王子殿下は一体あの日のどの場面を目撃されたのでしょうね?」
ウェンがシャルロッテも気になっていた所をついてきた。
「まさか奴隷商をボコボコにしている所を見られて...いや、そんな場面を見て婚姻を申し込む人はいないでしょう。もしそうだったら相当な変わり者ですわよ?」
「ロッテ様も充分変わり者かと...」
「何か言ったかしら?ウェン?」
「いえ、何も...」
ウェンは引き取られた頃に比べ少し性格が丸くなっており、シャルロッテ相手にも引けを取らない男児へと変貌していた。しかし、シャルロッテに何かあるとタガが外れ手荒くなってしまうが、基本、シャルロッテのブレーキになる存在へとなっていた。
「何だか僕まで楽しみになって来ましたよ。」
「ウェン!貴方まで何を仰っているのです!」
「会うだけ会えばいいんですよ。もし嫌になったら仮病を使うなり、暴れるなりすれば?」
「一国の王子殿下相手にその様なマネは出来ませんわ...」
味方だと思っていたウェンに裏切られたショックもあって、シャルロッテは王子殿下会う覚悟を決めたのであった。




