episode19
午後の授業も終わり、夕食をとりに三人が食堂を訪れると、デジャブかのように「お姉様!」と声を張り上げる生徒がいた。...エリザベスだ。彼女は三人の元へとやって来るとシャルロッテに向き合い、彼女に対して特注のヒラヒラの制服のスカートを持ち上げ礼をし、あいさつをしてきた。
「授業、お疲れ様でしたわ、お姉様。お席はもうとってありますの。...ジークハルト様とお付の方の分も。で、ですから...もしお嫌で無ければ私とお夕飯をご一緒してはくださらないでしょうか...?」
エリザベスは目をウルウルとさせ、シャルロッテを見つめてきた。...実はミサトしかり、シャルロッテはまるで小動物の様に接されてしまうのに弱いのだ。シャルロッテから見る今のエリザベスは、まるで子犬の様であった。シャルロッテは「うっ...!」とたじろぎ、少し考えた後、「私でよろしければ...」と返事をした。するとエリザベスは"パァッ"と顔を輝かせ、シャルロッテの手を引き、「こちらですわ!」と案内した。
「エ、エリザベス様?これは一体...?」
彼女達が案内されたテーブルへと着くと、テーブルにはまるでパーティーでも始まるのではないかという量の料理が並んでいた。
「お姉様に喜んでいただけるようにシェフにお願いいたしましたの!なんでも、剣術の授業でジークハルト様に勝ったらしいではありませんか!そのお祝いですわ!いやぁ...私もお姉様の舞のような剣術、拝見させていただきたかったですわ...!」
エリザベスは頬を"ポゥッ"と紅潮させ、目をキラキラさせていた。
「エリザベス様。今日はもうご用意していただいたのでこちらの料理をいただきます。しかし、今度からは権力を振り翳した我儘でシェフを困らせてはいけません。その日用意していただいてるお料理をいただきましょう?ご一緒する事は構いませんから。ね?」
「や、やだ私ったら...!申し訳ありませんわ、お姉様...。」
シャルロッテの言葉にエリザベスは"シュン"としてしまった。
「エリザベス様。分かってくだされば良いんですよ。さぁ、折角エリザベス様がご用意して下さったんです。いただきましょう?皆様。」
「は、はい!お姉様!」
「そうだね、ロッテ。ウェンもいただこう?」
「はい...」
そうして食堂の一部はまるでパーティー会場の様になったのだった。エリザベスは初めてシャルロッテと食卓を囲む事が出来たのにご満悦で、シャルロッテに「これが美味しいですわ!お姉様!」と食事をとても楽しんでいた。シャルロッテはエリザベスに「良かったですわね。エリザベス様。」とエリザベスを見守っていた。ジークハルトとウェンはそんな様子を見て、「一日にして姉妹の様に...」と遠い目をして食事を始めた。すると、思い出したかのように、エリザベスは急に食事の手を止めジークハルトを見つめた。
「ジークハルト様も今までのご無礼、申し訳ありませんでした。...しかし!これからは、お姉様をめぐるライバルとしてよろしくお願いいたしますわね!」
...どうやらジークハルトとウェンの杞憂は当たってしまったのであった。




